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第4章―事件編 第39話 Y乳業事件 【2000.8】

長い目でお付き合い頂ければ幸いです。よろしくお願いします。


 少し時間はさかのぼるが、2000年6~7月にかけて近畿地方を中心に集団食中毒事件が発生した。この事件は、食中毒認定者1万人以上にものぼる戦後最大の集団食中毒事件となる。


6月に近畿地方を中心に集団食中毒が発生した。7月1日保健所と厚生省がY乳業と特定し、大阪工場に立入調査を行い菌の繁殖を検出した。翌2日に大阪工場が無期限操業停止を命じられた。Y乳業社は、幹部が現場の情報を把握してなく混乱していたことが原因で、しっかりと受け答えができないまま記者会見に挑み、企業イメージを大きく棄損させる結果となった。


そして、混乱していることが原因で、記者会見にて大きくイメージを落としたことにより、企業イメージが失墜し、記者会見だけが原因ではないもののいきなり会社が経営危機に陥った。無期限操業停止とマイナスイメージにより、卸先から仕入れお断りの連絡ばかりを頂くことになった。

幹部達は、右往左往し判断ができなくなっている処でメインバンクの農協が主導となり、後援団体となる全農系と全酪連と話し合うこととなった。メインバンクとしては、すぐにも会社毎売却したいが、問題がここまで大きくなった以上、支援会社は現れない。そのため分社化によるグループの解体・再編へと急いで行うこととなった。



メインバンクの農協経由で、銀行から当社に話が来た。東海・関東地区の工場と物流を分離し、新会社を設立した上で、新たに設立した新会社に融資し投資会社の傘下会社にすることを提案された。農協としては資金の目途が立たない以上、分社化して早期に資金が獲得できるため、少しでも早く売却がしたいらしい。


当初は、関西・東海・関東の3地域の工場・会社だった。しかし、今回発覚したのは関西地区の工場だったため、関西地区の工場は調査・検証が必要と伝え、東海・関東地区とは切り離すことで協議が進められた。


協議の中、農協から新会社売却にあたり、前提条件を付けられた。

細かいことは”割愛”して、大まかな事は以下の2点だ。

・工場での生産する商品を変更して、商品を販売する事。

・仕入れ先は、全農連と全酪農を変更しない事。


何をおっしゃってるの?とりあえず同じ商品は販売しても売れないから、販売する商品変更するのに原料は同じなんてできるわけないだろう。全農連と全酪農は、自分らの商品の卸先の確保が絶対条件だったらしい。


非常勤取締役であり法学部教授の笹川教授と相談して、新会社に対して、全農連と全酪農からの仕入れ金額の記載がない事や仕入れ先を追加することに対して、契約書内容から問題ないと答えてくれた。

全農連と全酪農からは、最低限しか仕入れを行わずに別の商品を主力に変更してやる。


なんやこの茶番劇みたいな契約は。まぁいいがさっさと契約結んでさっさと会社を運用させよう。

スピードは大事だよ。



そういえば、”割愛”の意味が分からなくてカツアゲってずっと言っていたの、今思い出した。

言った直後、みんなから無言の間が広がり大爆笑。勝手にカツアゲをするなと突っ込まれた。顔が真っ赤になったことは、前世の記憶だがしっかりと覚えている。



新会社の詳細を確認すると、物流を自前で持っている会社だった。物流部署を自前で持っているのはラッキーだった。


1980・90年代は、地方のスーパーや薬局なんかの店舗は、商品をメーカーから直送していたため、最低発注ロットが合わなければ、ずっとメーカーに発注できないまま商品棚に欠品が続いていた。それを解消させたのが卸会社のセンター集約配送だ。


そのため、最近ではどのメーカーも一旦、卸会社所有のセンターへ配送して、センターから各店舗への配送に切り替わった。メーカーにとっては、配送への負担軽減となる。店舗にとっては最低発注ロットを気にしなくていい。そのためメーカーはセンターに配送するのみとなり、経費節減のため配送を外注する事となり、多くのメーカーは物流部署を解散させ、自前で配送部隊を持つことを辞めた。

卸会社にとっては、メーカーの各店舗への配送を卸会社が代行している名目でセンターフィーなる名目の費用を頂いている。


昨今は、このやり方はメーカーへの下請法のグレーな部分となりつつある。大手メーカーは支払う体力はあるが、中小企業に対しては、下請けいじめになりかねない。



今回、下請法のことは置いておくこととする。

卸会社所有のセンターに配送しない主な商品としては、賞味期限の短い商品やアイスなどの冷凍でも温度変化に敏感な商品などがあり、それはいまだに直接店舗へと配送を行っている。そのような商品を製造しているメーカーは自前の配送部隊を持っている。それが今回の新会社となる。


問題となった会社から分離した会社を買取、新会社を立ち上げる事となった。新会社名をAtoBフードサービスとし、前の名称のイメージを払拭した会社を設立した。乳製品やチーズなどを製造していたが、製造ラインも買い替えてデザート・パン・総菜を中心に変更した。当分の間は、スーパードラックAtoBに弁当やパンを卸す会社として、当分は経営をさせることにした。営業をしていた社員は、スーパードラッグAtoBに出向したり、逆に元スーパーの社員で食品管理者などの業務を従事していた者をAtoBフードサービスの生産管理部署に出向したりするなど、グループ内の食品会社で複数名を入れ替え適正化させることにした。


経営責任者には、父の梅田俊和にした。父は前職で超大手通信会社の取締役まで出世していたが、派閥争いで敗れて子会社に出向していた。経営に関してはある程度経験済なので、食品は素人だが問題はないと思う。今回は生産管理などの部門を、外部から問題点を洗い出すことが急務となるからである。


新会社設立時は、かなり苦労する事となったが、早急に物流ルートも含めて修正し、翌月には商品をスーパードラッグAtoBなどに配送を行うまで回復する事ができた。そしてとある対応で、AtoBフードサービスの売り上げが飛躍的に伸びるが今回は、とりあえずここまでとする。


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1999.3  投資会社立ち上げ

1999.4  投資会社 名古屋駅前に本社移転 

1999.8  不動産会社買収 

1999.9  システム部門立上 システム開発開始

1999.10  薬局/病院資本参入  

1999.11  病院/専門学校買収

2000.4  本社移転と決算

2000.7  AtoB貴金属店立ち上げ

2000.8  AtoBフードサービス立ち上げ


数多くの小説の中で、私の小説を読んで頂きありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
更新お疲れ様です。 集団食中毒……ありましたねぇ。〇印のアレ。 その前にもO-157による集団食中毒事件があったというのに…… 更にはBSE問題もあって食品衛生法が改正されていったきっかけにもなりまし…
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