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第2章―会社創業編 第16話 様々な人を中途採用 【1999年6-7月】

長い目でお付き合い頂ければ幸いです。よろしくお願いします。



 先週の一郎さんの実家でのプレゼンがうまく行ったことにより、伯父の一郎さんが入社した。

オフィスでは、おじいちゃん、自分、伯父の一郎さんと3名で仕事に従事する事となった。当面一郎さんの仕事がないので、中途採用を積極的に進めるよう中途採用の担当者と総務に詳しい人の2名を必要かなということで、探して頂けるよう伝手を持っていそうな一郎さんにお門違いを承知で頼んでみた。


採用のプロは、意外と早く採用できた。伯父の一郎さんの伝手は本物だった。さすが不動産業界の元支店長だ。

採用担当の方には、もちろん給料は通常より高めにした。給料の中でも固定部分を少なめにして大半を歩合制とした。一人採用するごとに10万円を支給すると伝えたら、喜んで入社してくれた。もちろんうちのフロア見たときに1フロアで、現時点で3人しかいないのに、こんな小さなフロアで何人も採用できるのかと唖然としていたことは、後日採用担当本人から直接聞いた。

現時点では、1フロア見るだけだとそんなに人を増やせるような会社には見えないのは確かだ。だがおれは会社をもっと大きくするつもりだから、心配する必要は今だけだと思うと伝えた。


事務の方も伯父の一郎さんの伝手で意外と早く見つかって5人体制となった。少しフロアも手狭になりつつあったが、俺は次郎さんの不動産関連の会社を返事が来るまでは、毎日株の取引を続け残高を地道に増やし続ける事にした。



少し時間を戻る事になるが高校時代、テレビで見ていた記録がふとよみがえってきた。

1997年7月の事だった。その日は、大手証券だったY証券が廃業を発表した日だ。発表の場でテレビ越しに証券会社の社長は号泣して、

「私らが悪いんであって、社員は悪くありませんから!」と言って、同情を引くような会見を行った証券会社の社長の倒産時の発言を思い出した。

この会見の仕方は賛否両論があったが、結果として同情論も強かった。泣いたら経営陣の事業失敗のマイナスのイメージが弱くなるので一般大衆の感情論として、最悪にならない事が多いと思う。

別におれは何も思わないが、倒産は経営陣の責任でしょう。たしかに倒産したのは前任の社長などが私物化して、新任の社長ではないかもしれないが、後任の社長も倒産処理をするためだけに社長になってしまったかもしれないが、倒産するであろうと認識していた時は経営陣の一人だったので対して違いはない。社員が悪くて倒産するような会社は聞かない。結局、経営陣のかじ取りの失敗がもっともな原因である。


ということで、Y証券の経営陣ではない社員さんであれば、即戦力になる。いまさら2年も経過しそんな人材が残っているかわからないが、先日中途採用で入社してくれたばかりの採用担当者に、Y証券の社員さんの履歴書を持った人が採用募集に応募してきたら積極的に採用したい旨の話をした。証券会社などは、わりと浮き沈みが激しい業界なので転職を繰り返している方も多いと聞く。



翌月の7月、なぜかY証券名古屋駅前支店の元支店長が応募してきた。履歴書を見てかなり驚いた。入社を判断する最終面談で私も参加し応募してきた佐藤さんに入社に対する志望動機を聞いてみた。


「なぜ、まだ設立したばかりのうちの会社にあなたみたいな経験者が入社を志望したのですか?」


「もちろん会社の名前は、知りませんでした。株式業界の一線の現場の人に聞いたら、最近一気に株式市場で儲けている会社があると聞いて御社ではないかと気づき調べました。」

元支店長の佐藤さんは、社長の私の若さに会った当初驚いたが、席をつくなり私の質問に対して驚くべきことを言った。


「えっ、まだ会社設立数か月しかたってないのに、うちの会社って市場で名前が知られているのですか?」

そんな噂全然知らなかったので、びっくりして佐藤さんの話の続きを真剣に聞いてみた。


「もちろん普通には知られていませんが、これだけ外れ無しで派手に株式市場において動いていたら、わかる人にはわかります。蛇の道は蛇というじゃないですか。普段と違う動きをしたら原因を確かめ、原因となる株を購入している会社が御社にたどり着く人は、何名かいると思います。

せっかく証券会社の支店長まで這い上ったのに前職廃業では、同じ業界には転職活動は難しい。株屋を20年やって違う業界で2年間試してみましたが楽しくない。だったらやはりこの業界で新興企業しかないと思って、ましてや名古屋の会社だったので、引っ越す必要もなく、それが私にとって最適な答えであると思いました。」

佐藤さんは証券業界で名前を知られているという情報を、さも当たり前のようにサラッと話してきた。


「株式市場で、有名になっていないと思っていたのですが、そこは諦めます。しかしあなたがうちの会社に入ってくれれば百人力です。とても心強いです。私は株に関して運用はできますが、今後株関連での対会社向けの交渉があった際に会社の全面に出てくれる人を切実に欲しかったです。僕はあまり交渉が好きではないのですよ。」

私は驚きつつ、そのような話は株屋の一部で話題になっているだけと判断し、問題視するほどのものでもないと安心したような口調で話した。


「派手に動いているという言葉は言い過ぎかもしれませんが、わかる人には気づかれますよ。対会社の交渉は、そこまで経験はありませんが、株で20年飯を食べてきましたので、指示頂ければ対会社向けの交渉を頑張ります。」

「では、株式市場での取引は自分が行いますので、交渉事などはお任せします。」


これで株関連での交渉事を任せられる株屋のプロを獲得した。佐藤さんを部長に任命した。自分みたいな若造が前面にでるより、交渉事は任せたほうがいいかな、俺はコミュ障だからとてもうれしい。



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1999.3  投資会社立ち上げ

1999.3  高校卒業

1999.4  投資会社 名古屋駅前に本社移転

1999.5-7 親族や佐藤さんなど入社


数多くの小説の中で、私の小説を読んで頂きありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
[一言] 山1最後の社長のN澤社長、会見の4ヶ月前に社長に就任させられて、その時に始めて簿外債務(裏の借金)2600億円ある事を知らされてる。それまではリストラや配置転換で山1再建するつもりだったのに…
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