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過去4 ヒューマン・テイムの実験台

 俺はヒューマン・テイムの力の詳細を明らかにするため、ミアを実験台にする事にした。

 毎朝早くにミアを森の奥深くへと連れ込み、様々な命令を下した。


「ミア、裸になってくれる?」


「うん、いいよぉ」


「ミア、地面に寝転がって足をできる限り開いてくれる?」


「うん、いいよぉ」


「ミア、俺がどこを触っても抵抗しないでいてくれる?」


「うん、いいよぉ」


 ミアはどんな命令も断らなかった。

 性的な要求にも喜んで応じるし、それを嫌がる素振りすら見せない。

 むしろ、俺に何かお願いされると嬉しそうだ。俺の事が大好きで大好きで仕方が無いといった様子だ。

 

 なるほど、ヒューマン・テイムとは要するに相手の好感度を改変するスキルなのだ。

 大好きだからお願いを叶えてあげたい――ダメな吟遊詩人バンドマンに貢ぐセフレみたいなものだ。


「ミア、お金を貸してくれないか。銀貨3枚でいいからさぁ」


「はぁい、どうぞ」


「ミア、毛皮の加工手伝ってくれないか? 親父に頼まれたんだけど、俺一人じゃ骨が折れそうでさ」


「うん、任せてぇ」


 金銭を要求しても、労働を要求しても、ミアは快く応じてくれた。

 持ちうる力の限りを尽くして、俺の願いを叶えようとしてくれる。

 

 だが、ヒューマン・テイムにも限界はある。

 例えば、こんな↓命令を聞かせる事は不可能だ。


「ミア、炎の魔法でたき火をつけてくれよ」


 そう命じると、ミアは困ったように首を傾げてしまった。

 ミアには魔法なんて使えないからだ。

 

 ヒューマン・テイムはあくまで相手に言うことを聞かせるだけの能力だ。

 能力以上の要求をしても、相手はその命令を遂行する事ができない。

 

 テイムした相手がどこまでできるヤツなのかをあらかじめ見極めておかなければ、適切な命令を出す事はできないのだ。

 もしくは、命令の出し方を工夫するとか。こんな↓風に。


「ミア、“できる限り”のスピードで、あの大樹まで全力疾走してくれ。怪我をしないように気をつけろよ」


 このように命令すれば、ミアは“全力”かつ“怪我をしない程度”の案配あんばいで、俺の命令に従ってくれる。

 命令は明確に、そして条件を過不足なく付帯する事。

 それがうまく相手を操るコツだ。

 命令の出し方を工夫すればする程、俺はミアを上手く操る事ができた。


 俺は連日ミアを森に呼び出してはヒューマン・テイムの実験を重ね――そして己の性欲をミアで満たした。


「ミア、舌先でチロチロ俺の全身を舐めてくれ。蛇みたいにねちっこくだぞ。あ、先に服も脱げ」


「はぁい、お安いごようだよぉ」


 最高だった。村の男の憧れの的であるミアが、俺の奴隷のようになっているなんて――

 もちろん、こんな事が村の連中にバレたら大問題になる。

 というか、村同士の戦争に発展しかねない。

 ミアは隣の村の村長の息子に嫁入りが決まっているのだから。


 しかし、その点も俺に抜かりはなかった。


「俺に関わる一切の情報は口外するな。俺との関係性が露見しないように、知恵を尽くせ」


「はぁい。黙ってるね」 


 このように命じるだけで、ミアは俺に体を弄ばれている事を、決して誰にも話さなかった。

 ミアは俺にヒューマン・テイムをかけられてはいるが、それ以外は全くの正常だ。

 ミアが自分で打ち明けない限り、周囲の人間がミアの異常に気づくのは不可能だった。


 ミアと共に過ごす愛欲の日々は瞬く間に過ぎ去り――そして、ついに。


 ミアが隣村の村長の息子に、嫁入りする日がやってきたのだった。


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