黒い欠片と悪魔“ベルゼ”①
ベラドンナが消え散った後、そこに残された“黒い欠片”。
その欠片は何かの球体の一部のようだった。丸みを帯びた一部の表面。
モモが欠片に手を伸ばすと、装備する黒曜石のネックレスが輝きを帯び、吸い込む様に欠片を吸収した。
「わ…っ」
「消えた、モモ様のネックレスに…。」
ナナ達も驚きながら、上空に退避していた竜騎士達の迎えに、それぞれ騎乗した。
モモがそっとネックレスに触れる。その様子をじっと見ていたペル。
「どうしたの、ペル?」
「……いや、その“黒い欠片”、もしかしてコレもかなって…」
ペルは腰に下げていた巾着から、ベラドンナとは比にならない大きさの、球体の四分の一ほどの体積と予想される欠片を出した。
「それって…」
「うん…女王蜘蛛が灰になって消えた後に残ったもの。まぁ、遺品的な意味で持ってたんだけど、もしかしてコレも何か――――――」
ペルがその大きな黒い欠片を、モモに差し出すと、モモが受け取る前にベラドンナの欠片と同様に
黒曜石のネックレスに吸い込まれていった。
「――――――っ…」
「モモのネックレス、医療の女神“エイル”の加護があるって聞いていたけど、それだけじゃないみたいだね。ナーガ様から何か聞いていないの?」
ペルの問いに、モモは静かに首を横に振った。
その時、同行している第三騎士隊長オーフェンが口を開いた。
「たしか、昔の文献によると黒曜石には“邪気を浄化する力”があって、悪を封印する物に適しているとか読んだ記憶があります。」
「私も、その文献を目にしたことがあります。」
オーフェンにカロルが続く。
その時、太陽の光がネックレスの黒曜石を照らした。すると、全員の目の前に純白の髪にルビーの様に輝く瞳を持った女性の半身が立体映像で出現した。
「な…ナーガ様…!!」
モモの驚きの声に、全員が啞然とする。
「…っ、ナーガ…様??」
空中でモモ以外の者は、この世界を司るナーガの姿を目にして、ただただ驚くばかり。
『久しぶりですね、モモ。そして、初めまして。モモを、いえ、この世界を守護する者達よ。
あなたたちの活躍をずっと、見てきました。この世界とモモを護ってくれて、心より感謝します。』
ナーガの言葉にモモ以外が敬礼の仕草をとる。
「ナーガ様!私、聞きたいことがたくさんあって…っ」
モモの言葉にナーガは申し訳なさそうに微笑むだけだった。
『そうですね、モモ。あなたにはほとんど何も説明せずにこの世界を託してしまったこと、申し訳なく思っています。ただ、今はゆっくりあなたの、いえ皆の話を聞いている時間はありません。
今、向かっているカピルス村に何があるのか。そして、“エイル”のネックレスについてだけ話しましょう。』
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至らぬところばかりではございますが、楽しんでいただければ幸いです。




