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カピルス村奪還~VSベラドンナ~②

 毒蝶オオマダラの猛襲を撃破した、レンダー・トルチェ・ナナ・カロル・シュア。そして、魔物ベラドンナの分身の討伐に成功したダン・ザック・ペルが、瘴気の陣を浄化しようと魔力を集中させるモモのそばに集結する。


 「まさか…あのオオマダラ達がこんなにもあっけなく…?」


ベラドンナが上空を見上げ、塵と化し、宙を舞う黒とオレンジの羽に言葉を失った。

と、同時に背後にあった瘴気の陣が、一本の聖なる矢に掻き消された。


 「っつ、しまったっ!!」


ベラドンナは悔しさと焦りから、親指をギリっと嚙み締めた。

目の前には、聖蛇の娘を中心に八人が臨戦態勢。


「残るはお前だけだ、ベラドンナ。お前がどこからモモ様の情報を聞いたのか話せば、殺すことはしない。」


レンダーが、標的の守備力を下げる結界をベラドンナの周囲に張った。更にその周囲をペルの糸で包囲。


(―――っちぃ…、こいつら、確かにあの女王蜘蛛(ナルボンヌ)を倒したことだけはある…。今までにあのオオマダラ達が消滅させられたことはなかった。アタクシの分身までも…ここは一旦引いて…)


 そうベラドンナが考えた矢先だった。

空に斜めに一閃裂け目が入ったかと思うと、亜空間から“黒い手”が再び現れ、ベラドンナの細い首を鷲掴みにした。ベラドンナは微動だにせず、ただ額から出る冷や汗が頬を伝って流れ落ちた。


「さっきの黒い手だわ…」


モモがそう口にした途端、ゾクっと不気味な視線を感じとり、咄嗟に背後を振り返った。

するとモモの背後に、以前見た顔があった。


「―――――っ!!」

「モモ!!」


ペルがモモの前に立ちふさがる。

モモの背後にいた人物。それは王都をトロールが襲った時、モモの前にあらわれた魔人。しかし。


「あ…あなた…――――――?」

「ああ―――――、顔は覚えてるけどってやつね。

久しぶりだね、聖蛇の娘。二度目の自己紹介となるが、俺は地底魔王軍四天王ヴァラク様のサーヴァント、クバリー。今度は覚えてね。」

「クバリー…ダンの記憶を混乱させた…」

「そんなこともあったね。」

「モモに何の用だ?」


ペルが殺気を纏った目で、クバリーを睨む。


「ははは。中々コワいペットを飼ってるね、聖蛇の娘。いや、モモちゃん?」

「モモちゃ…」

「なんなの、このモモ様に馴れ馴れしい魔人。燃やしていい?」

「いやいや、早いよトルチェちゃん。もう少し俺の話聞いてー」

「トルチェちゃ…キモイ!!“コルタール・ブラスト!!”」


クバリーを、トルチェの爆風魔法が襲ったが、ひらりと躱され、一定距離をあけてモモと同じ目線に立った。


「モモ様以外も調査済みってことか。お前がベラドンナの黒幕か?」

「それは違うよ、レンダー。俺はただ遊びに来ただけ。」

「遊びだと?」


レンダーの表情が険しくなる。


「ああ、そうさ。この世界がどうなろうと知ったこっちゃない。人間も、魔人も神も。ただ俺はモモちゃんに興味がある。それだけさ。まぁ、俺の周りはモモちゃんの血を狙っているけど、そんなものも俺には関係ない。」

「何が目的なんだ?おまえ」


ダンがアクアの水を纏った魔法剣の切っ先をクバリーに向ける。


「忠告したくてね。モモちゃんをこんなところで失いたくないからね。」

「忠告?」

「そう。あの黒い手の正体はある高名な“悪魔”のもの。悪魔も楽しんでいるんだよ、この世界の荒れようを。」

「あ…悪魔っすか…」

「ベラドンナは今からその“悪魔”の力によって変貌する。今のままじゃ到底キミ達、勝てないからね。

あの毒は厄介だよ。この場から俺ならモモちゃんを助けられるけど、一緒に来るかい?

それともここでこいつらと一緒に死にたい?」


ニマニマ不適は笑みを浮かべながら、クバリーがモモに手招きをする。


「行くわけないでしょ!モモ様は私達が必ず守り抜くんだから!!」


再びトルチェが、火炎魔法をクバリーに向けて発した。

しかし、クバリーはその業火を触れることなく、煩わしい虫でも払うかの様に、素手を振り、掻き消した。


「なっ…」

「トルチェさんの魔法が…」


Sランクの黒魔法使いが繰り出す魔法は、そこらの上級ランクに位置する魔物でも簡単には無効化出来ない。それをいとも簡単にやってのけたクバリーに、ザックもレンダーも息をのんだ。


「どうする、モモちゃん?」


クバリーの問いかけに、モモは自分の壁になってくれているペルの腕を掴み


「行かないわ。私にはみんなと進む道がある。」


その揺るがない瞳にクバリーがやれやれとため息をつき、ペルと視線を合わせた。


「うらやましいよ、ペル」

「?」


クバリーの呟きは小さく、ペルには届かなかった。


「わかったよ、モモちゃん。じゃあ、気をつけてね。こんなところで命を落とさない様に。」


クバリーが指差した先には、どす黒い紫色の大きな実に、その姿を変貌させたベラドンナの姿があった。


「ああなっちゃ、女王蜘蛛(ナルボンヌ)と一緒だねー。ま、頑張って。」


そう言い残して、クバリーは亜空間に消えて行った。


 「ギギギッ…ジュル…」


 さっきまでのベラドンナの面影は一つとして残らず、緑の大きな五枚の葉の中心に、どす黒い紫色の大きな実が大きな半円に達する口から毒液を垂らしながら蔓をこちらに向けて威嚇していた。もはや人の言葉を発する高等な魔物ではない。

 

 シュアが、全員に攻撃力強化、防御力上昇、魔力消費軽減、状態異常耐性を付与。

レンダー、ザックが防御障壁を展開し、ダンはアクアの水を付与した魔法剣を構えた。


「シャアァァァァァ!!」


ベラドンナが毒液を含んだ蔓で、モモ目掛けて攻撃を仕掛けて来た。

カロルが強力な風圧を纏う矢をドンっと、ベラドンナの実に向けて放つ。

蔓の一本が、その矢を打ち払う。


「――――なるほど…」


その一言を耳にしたシュアが、カロルの矢の威力を強化する魔法を付与。


ペルが円網状に蜘蛛の巣を広げ、魔力を通しベラドンナを捕獲しようと仕掛ける。

すると、ベラドンナの実を包む大きな葉が、更に巨大化し、ペルの蜘蛛の巣を掻き消した。


「へぇ…」


レンダー、ザックが防御障壁をダブルで展開しながら、ベラドンナの実に向かって特攻。

続いてトルチェが地獄の炎を詠唱。


「“リプカインフェルノ!!”」


ベラドンナの実を防御する大きな葉が、トルチェの攻撃をカバー。五枚の葉のうちの二枚が焼け焦げた。そこへダンとナナが斬り込み、カロルが強化した矢を放った。

シュアはバフ切れの前に、援護をしていく。

二枚の葉が斬り離された。しかし、その脇から毒液を含んだ蔓がダンとナナの足首に巻き付いた。


「きゃあ!!」

「ナナ!!」


ダンの足を狙った蔓はウェンティの風が斬り裂いていた。

猛毒を含んだ蔓に触れたナナの足首が、酸に溶かされたように爛れる。


「あっ―――――――っ……」


ナナの足に巻き付く蔓を、ダンが断ち切る。その断面から飛び散る毒液がダンの髪やマントを溶かす。

体勢を崩したナナをレンダーが受け止めた。

苦痛に顔を歪めるナナに、すぐさまモモが駆け寄り、解毒と再生の魔法をナナに付与。


 ザックが衝撃波を連続で繰り出し、残り三枚の葉の防御を崩す。しかし、トルチェの地獄の炎(リプカインフェルノ)で焼け散ったはずの二枚の葉が再生した。


「げっ!!こりゃ、細胞ごと消滅させないとダメなヤツっすね!」


ザックの言葉に、仲間が次々に頷き、散開した。

先行してカロルが、空に魔力を込めた矢を放つと、L範囲で大量の雷の矢がベラドンナに降り注ぐ。

まるでゲリラ豪雨の様に、その矢が次々にベラドンナの葉、実本体を貫いていく。


「ギャァァァァァァ!!!」


そこへ更にトルチェがしばらく消えない炎の柱(ピラズファイア)を詠唱。

葉と実本体にかなりのダメージを受けたベラドンナだが、カロル達の攻撃は蔓を仕留めきれていなかった。数えきれない蔓が、カロル、トルチェ、そしてモモに向かって来る。

 回復したナナ、ダンそしてペルが素早く蔓に斬撃をくらわす。

そして、レンダーの防御障壁に守られていたモモが、ダン達の攻撃に蔓が怯んだ瞬間、聖なる矢(ホーリーアロー)をベラドンナ向けて放った。

 モモの矢が蔓を潜り抜け、ベラドンナ本体の実に直撃。


「ギッ ギャァァァァァァーーーーーーーーーー!!!」


その衝撃で、蔓や葉が浄化され打ち消され、どす黒い紫色の実になったベラドンナが、実体を失い

虹色の透明体になった。

“悪魔”の術から解放されたベラドンナが両掌に視線を落とす。


「――――――アタクシは…一体…?」


今までの自身の状態がわかっていないような素振り。


「ベラドンナ…?」


モモの問いかけに、はっとベラドンナはモモに視線を合わす。


「アナタがアタクシを…解放してくれたのかい?」

「あなたは“悪魔”に操られていたと聞いたわ。」

「ああ…―――、そうか、あの時に、アタクシは闇に堕ちてしまったのか――――」


ベラドンナは静かに天を仰ぎ、目を瞑った。つぅ―――と、涙が一線、その頬を伝って流れた。


「ベラドンナ、あなたの黒幕の“悪魔”って一体…?どうしてあなたは“悪魔”なんかに操られていたの?」


モモの問いかけに、ベラドンナが閉じていた目を開け、まっすぐモモを見つめた。


「―――消えゆくアタクシに、もう時間はない。ただ、“悪魔”が黒幕だった事は確か。

あやつの名は、魂を好む“ベルゼ”と―――」


その悪魔の名を口にした途端、ベラドンナは消え散った。

その場には、何かの黒い欠片(カケラ)が宙に浮いて残っていた。
























お読みいただき、ありがとうございます。

至らぬところばかりではございますが、楽しんでいただければ幸いです。


 作者事ではございますが、子供が小学生になりました。すでに「勉強キラーイ」とか言っています(笑)

仕事と育児を頑張るワーママさん達への尊敬の念は堪えません。

作者も頑張ってモモ達の成長を綴れたらいいなぁと思っております。

 小学校の入学式では、校長先生の話、国家斉唱(久方ぶり)、一年生の小さな机といすに感動を覚えました。我が子に限らず、全ての新一年生が素敵な思い出を作れますように祈っています。

 北海道は、運動会が秋ではなく、もう5月に行われます。

作者は移住前は埼玉県人だったので、違和感堪えませんが(笑)晴れたら…いや、日焼けはイヤだから、曇りがいいなぁ^^

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