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ひとりじゃないから

 ―――モモが必ず、アナタを幸せにする―――


そうルキスに伝心されたラウルは、失笑しながら


「俺がじゃないのか…」

「??」


モモが不思議そうにラウルを見つめる。


「カロル、情報ありがとう。助かるよ。」

「いいえ、追われたからと言えど、私もマルフォス隊長の身を案じております故、

ラウル殿に託させていただきます。」


カロルの意志に、ラウルは深く頷いた。


「では、私もカピルス村奪還に向けて準備がございますので、一度失礼させていただきます。」


カロルに続き、ルキスとシヴも静かに部屋を後にした。

二人きりになった、モモとラウル。


 久しぶりの二人きりの空気。以前のモモならもどかしくて耐えられないといった表情を浮かべていたが、今回は自然と、耳を赤く染めながらも、ラウルの腕の中に納まっていた。


「…モモ…」


そんなモモを優しく包み込むラウル。


(―――…思い返せば、むかし占い師にも似たこと言われたな…


ピーニャコルダ王国、城下のとある路地裏。こげ茶色のフードを目深に被った年老いた女の占い師だった。


“異世界より現れし聖女を命を賭して護りなさい。さすれば、あなたに恒久の平安が約束される。

これより18の歳になった時、モルネード王国のパロル村に行きなさい。”


 あの頃は、何もなかった日常を変えたかった。

実父の違う兄上は、将来を周囲に期待され持ち上げられ、英才教育を叩き込まれていた。しかし、こども心にわかっていた。ピーニャコルダは女王が実権を握る王国。

俺の父は現国王にも関わらず、お飾り状態だ。俺は自分の人生のレールを誰かに敷かれた上で、ただ過ごすなんてイヤだ。王族としてのマナーは学ぶとしても、武闘を極め、大事な女性をこの手で護れる男になりたい。


 そんな事を考えていた時に触れた、占い師の言葉のままに半信半疑生きて来たけど…ここまで真実味を帯びてくると…あの占い師にもっと聞いておけば良かったな…)


 昔のことを思い返していると、ぎゅっとモモがラウルの背中にまわしていた手に力を入れた。


「…ゆっくりした時間を過ごすことは、中々なかったけど…ずっとこのまま、みんなで過ごせると思ってた…いっつも朝寝坊をリンツさんに怒られて、ラウルとダンが目を覚まして…だるそうな態度のラウルを殿下が怒って…」

「……え…俺、あんまりいい印象なくない?」

「ふふ…」


クスクスと笑いながらも、モモの目は少し赤みを帯びていた。


「ラウルは、ひとりじゃないから…っ。

必ず、助けに行くから、だから…」


わずかに震えているモモの肩。自分を心配してくれる想いが深く伝わってきた。


 ラウルは、そっとモモの頬に手をあて、優しく泣きそうなのを我慢しているモモのおでこ、頬、そして唇にキスをした。

唇を重ねるのは初めてではないものの、恥ずかしそうに頬を赤く染め、瞼を少し閉じ、唇に手を当てるモモの仕草に、ラウルは微笑んだ。


「ありがとう、モモ。

危険だから、シヴを置いていこうとしたんだが、結果ついてくって押し切られたし、

大地の勇者パーティーもいるから、そう簡単にはやられないと思ってます。」

「…なんで敬語なの…?」

「モルネード王国の“大聖女”様だからね。」

「―――――っもう、本当に心配してるのにっ…!」


ラウルは茶化されたと怒るモモの口を、もう一度優しく塞ぎ、力いっぱい抱きしめた。

ラウルの胸元に触れる耳から、彼の鼓動が響く。


「本当は、モモの事、ずっとそばで護りたかったけど…ごめん。

ただ、この先もモモを護る騎士(おとこ)でありたいと思ってる。貴女を想うこの気持ちは出会ってからずっと変わらない。必ず、モモのいるモルネード王国に帰ってくるよ。」


ラウルはモモの耳元に、そっと囁いた。

ラウルの優しく甘い声がモモの耳に残る。耳元からモモの全身にラウルの声が染みわたり、

モモはこの幸せな時間と、抱きしめ合う心地よさを静かに体に刻み込んだ。


 モモとラウル、お互いを想い合う心が重なった時だった。

モモの着装する聖蛇ナーガから賜りし黒曜石のネックレスがやわらかい金色(こんじき)の光を放つ。


「!?」


あたたかい色味(いろみ)をもった金色の光は、優しくラウルの全身を包み込み、胸の中心に納まって消えた。


「な…なんだったんだ、今のは…」


お互い、目を丸くして驚いていたが、モモは静かにラウルの右手を取り、自らの頬をすり寄せ、そっと口づけをした。


「わからないけど、ラウルを護る力だったら、うれしい…」

「―――――!」


モモのめずらしい仕草に、うれしくも少し驚いたラウルだったが、モモの言葉を胸に刻み、

二人は見つめ合い、唇を重ねた。



 時の刻みは早く、空は清められた空気と共に暗くなり、月はその日姿を見せない。

新月の夜を迎えた。












お読みいただき、ありがとうございます。

至らぬところがあるかと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。


キャラメモ ★クアラ★


✿思い立ったら即行動派の元気いっぱい女子。童顔にイエローレッドの前髪ありショートボブ。

✿19歳 A型

✿一人称:私

✿職業:黒魔法使い ランクA

✿黒魔法家系に育ち三姉妹の末っ子、爆発系を得意とする。

✿興味はあるが、彼氏はおらず、腐女子の道まっしぐら。

✿トルチェ同様、特定のパーティーには属さず、フリーで活動。

✿ナルボンヌ討伐には自主的に参加した。

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