構築
小学校のころから先生には輪を乱すなということを僕はずっと教わってきた。大半の人はその教えを忠実に
守り社会から評価され友人ができ恋人ができ仕事に就き出世をしていく。僕はこの教えを中学に上がってから
おかしい、こんなもの守ってたまるか。そう思ってきた。おかげで周りを見渡せば友と呼べるものは一人も
いなかった。親からも反抗期が長引いている面倒な子供と思われ次第に疎遠になっていった。簡潔に言おう。
仕事をクビになった。そしてもう一つ。面倒な上司と面倒な奴が揉めた。こういう風に感じてもらえたら幸いである。足並みそろえて仕事しろバカと言われたので足並みそろえた結果がそれかと言ってやった。やつも
世間一般的には部長と呼ばれるポジションにいるやつだから僕みたいなやつを協力して消すことなんて容易なのだ。ただ僕は猛烈に腹が立っている。なぜ足並みそろえて仕事をしなくてはいけないのか。仕事ができていればそれに越したことはないのではないか。だが奴らは違う。結束力。いわゆる絆とかいうやつを大切にしたがる。馬鹿馬鹿しいと心底思う。絆があれば何でもできるのか。けっして絆というものをけなしているわけではない。ただ僕には友達がいなかったため絆というものを感じたことがない。それでも中高での成績はトップだったし大学入試には受かった。僕的には順風満帆であった。しかし仕事を辞めさせられた今、僕は敗者なのだ。世の中すべて結果。頑張ったけど出来なかった。僕が世界で一番嫌いな言葉だ。過程なんてただのおまけにしか過ぎない。そこでだ。僕を敗者に仕立て上げた会社をぶっ倒そうと思っている。負け惜しみなんかじゃない。僕はいたってまじめだ。勝者になるにはそれしかない。しかし相手はそこそこ大きな会社だ。いい大学を出たせいで皆が一度は聞いたことあるであろう会社に入ってしまった。決して大学に行けたからって人生
楽しいわけではないと今ここに宣言しよう。そんなことを言いたいのではない。ただ単に会社をぶっ倒すには
どうすればいいのか。僕の頭の中はここ一週間それ一色である。ある日、コーヒーを注ぎながら名案を思いついた。のちに明かそう。僕はネットでこう呼びかけた。急募!新卒の方一名!僕との契約で100万円!
どうだ。やばいだろ。こんなんに寄ってくる奴いないと思うでしょ?人間は予想を超えてくる。2日後にこのサイトに一通のメールが届いた。内容にもよりますが一度お話をお聞きしたいですとのことだ。次の週の水曜日。お会いすることができた。相手は新卒の男性。条件クリア。よし。どんな契約ですか?と聞かれたので
こう説明した。僕が指定する会社に就職してもらって一年ほど働いてもらいたい。それだけでいいんだと。
彼も最初はなんだそれといったような顔をのぞかせていたが100万円が脳裏をよぎったのか。okしてくれた
いやあ。協力してるよ。変な気分だ。まあいいんだ。計画が進むのならね。