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鍛冶屋ではじめる異世界スローライフ  作者: たままる
第15章 竜の目覚め編

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微睡む竜

「もしかしてですけど、リディさんが体調を崩されたことは?」

「え? ええ、ありますけど……」


 ジゼルさんの質問に、リディが答える。


「それも今回のことが影響しているかもしれません」


 少し前にリディが倒れたのは、〝大地の竜〟が目覚めかけていることが影響しているかも、と思ったが


「今は平気なんですよね?」

「ええ。特に異常はありません」

「ちょっと失礼」


 ジゼルさんはそう言って、ふよふよと空中に浮かびながら、リディの頭の上から足先までをじっくりと見ていく。

 その間、リディは居心地悪そうにじっとしていた。


「確かにお体に問題はなさそうですね。ご自身で見るのは難しそうですから、失礼ながら見せていただきましたが」

「ありがとうございます」


 リディが頭を下げる。俺は少し食いつき気味にジゼルさんに聞いた。


「ジゼルさん、もしかしてエルフの身体の調子がわかるんですか?」


 きょとんとしたジゼルさんは頷いた。


「え、ええ。それがエーテル……魔力によるものであれば、ですが。人間族でもかかるような病の場合もある程度は分かりますけど、熱があるから病だろうなとかなので」

「もしリディの身体に何かあったら、ジゼルさんにも見てもらうようにすることは可能ですか?」


 うっかりしていたが、妖精族が魔力に関することに詳しくないはずがない。

 そもそも、うちが妖精族と知り合ったのは、妖精族には魔力が抜けていく病があるからで、であれば、その前の状態や、よく似た症状などの知見も持っているはずだ。

 随分と慌ててしまっていたことに、今更ながら気づく。


「もちろん。お急ぎであればリュイサ様経由でも……今はそれも難しそうですが、解決すればいつでも」

「ありがとうございます!」

「いえ、同じ〝森の仲間〟ですからね」


 そう言ってニッコリと微笑むジゼルさん。しかし、その顔もすぐに引き締められる。


「今リディさんに問題はないとしても、リュイサ様と連絡が取れず、〝大地の竜〟が目覚めるかも知れない事態をどうすれば……」

「緊急時にはこうしろ、みたいなことを聞いていたりは?」


 もし、緊急時の対応を〝黒の森〟の整備を任されている妖精族の皆さんが知らないとなると、リュイサさんにとっても、今の事態は想定外ということになる。

〝大地の竜〟がいつかは目覚めるが、それはもっともっと先の話で、このタイミングで目覚めるかも、というのは分かっていなかったのだとすれば、教えていなくても不思議ではない。


 ジゼルさんはしばらく考え込んでいたが、やがて、何かを掘り当てたような顔になって言った


「かなり昔、そう、皆さんが生まれるよりも前くらいに一度、『もし、森のことで困ったことがあったら、ここにおいで』と言われた場所があります」

「それは……?」


 ジゼルさんの顔に逡巡の色が浮かぶ。俺達にそれを教えていいかどうか、迷っているのだろう。

 意を決したらしいジゼルさんが、俺の目を真っ直ぐ見据えて言った。


「〝黒の守り人〟たる皆さんには教えたほうが良いかも知れません。この世界の真ん中、とリュイサ様が仰っていたその場所を」



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