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鍛冶屋ではじめる異世界スローライフ  作者: たままる
第15章 竜の目覚め編
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温泉卵

 確認したいことがあるので、都合がいい時に訪ねて欲しいとジゼルさんあてのメッセージを伝言に残しておく。

 もちろん、カッコつきで悪いことではないと添えてある。


「よし、これでいいな」


 俺は少しだけ新しくなった「いつもの作業」をしに、鍛冶場に戻る。すると、


「お、戻ってきたな。よぉーし、始めるか」


 とサーミャが掛け声をかけて、作業が始まった。

 新たな工程が増えて、1本あたりにかかる時間が増えたものの、数としては順調に進める。カミロの店に卸し始めてからもう1年以上になるのか。

 カミロの販路がどこまで広がったのかは知らないが、無限に売れ続けるものでもないし、競合他社というものも数多あるだろう。

 それを考えれば、下取りに目処がついたら、普通のものの生産数は絞らせてもらい、なにか他の……高級モデルと特注品の間のような、セミオーダー的なものに主軸を移すのもありかも知れない。

 たとえば「はがねのつるぎ」はそれはそれであるとして、刃の長さを身体を測って適切な長さを決めたり、細かいデザインの注文を受けたりして、それを打つのだ。


 ただ、これをやるにはサイズを測ったりするため、カミロの店に負担を強いるか、たまに俺たちが出向いてやるかになる。

 出向いてといえば、普通モデルくらいなら魔力を篭めた板金を持参して、その場で作るのもありか? いや、火床の問題があるな。

 結構な高温になるし、ガス炉みたいにコンパクトにできるわけでもないから無理か。


 さておき、昼食も挟んで、この日の作業を終えて夕食時。結局今日ジゼルさんは来なかった。毎日来ているわけでもないし、急ぎというわけでもないので来たら話すとして、当面である。


「今日は作れなかったけど、明日は魔宝石を作って保存しておくか」

「いつ必要になるかわからないですしね」


 俺が言うと、リケが頷いた。


「じゃあ、魔宝石を置いておく場所をしっかり作ろう。獣が魔宝石を持っていくとまずいから、鉄のカゴで囲むようにするか。あまり目が荒いと魔宝石が流れていってしまうので、細かめかな」

「あんまり細かいと水が通りにくくなりますね」

「そうだなぁ。そこはいい塩梅で作るよ」


 ディアナが心配そうに言う。


「カゴごと持っていかないかしら。虎は大きいし、狼も持っていけそう」

「ああ、それもあるな。じゃあ鎖で繋いで……」

「妖精族は自分で使えるようにもしなきゃダメなんじゃないか?」


 今度はヘレンの提案だ。武器じゃないときはあまり口を挟んでこなかったヘレンだが、こうやって意見を言ってくれるようになったんだなぁ。

 そんな感慨を覚えながら、俺は返事をする。


「うん。かんぬきのようなものをつけておこう」


 そういえば、カゴやザルに入れて湯につけておく、というものに違和感がないなと思ったが、魔宝石が卵ならまんま温泉卵だな……。

 あれって生食できない卵でも作れるもんなんだろうか。ちょっと怖いので試そうとは思わないのだが、もし可能ならちょっと気になるところではある。

 ちょっとした俺の懐かしさをよそに、俺達は、


「妖精さんが来るならカゴは可愛くしたほうがいいんじゃない?」

「かんぬきは軽いとダメですけど、妖精族ってどれくらいの重さなら平気なんでしょう」


 などなど、ああでもないこうでもないと、カゴについて意見を出し合うのだった。

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