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鍛冶屋ではじめる異世界スローライフ  作者: たままる
第15章 竜の目覚め編
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渦を巻く

 タガネで魔力を集中させる部分にも溝を施してみる。

 これも形は色々試す必要があるだろう。放射(集中)型や、渦巻き型、それを組み合わせた形状に、それぞれ線の長さや太さ、密度も変えてみた。

 組み合わせなので、全部でそこそこの数が出来上がる。


 前の世界でコーヒーに凝っていたとき、抽出する器具の壁面にリブという線状の突起がついていて、その形状で抽出速度が変わったりしていたのだが、それに近いものを感じるな。

 実際にそれに似ているなら、何もないものが最も溜まりやすいはずだが、そう単純なものでもないんだろうなぁ。


「よし、これで試してみよう」


 こうして新しい試作品が完成し、観察が始まった。


「これが一番いい感じですね」


 少しの間、再び観察を続け、リケが俺に報告した。指差しているのは渦巻き状で、最初から最後まで線が繋がっていて、線が細く間が詰まっているものだ。


「魔力の流れがスムーズなのはこれです」

「なるほど、でも時間がかかるのもこれだなあ」

「ですね」


 いかなる理由によるものかは定かではないが、それが一番いいというのはわかった。

 だが問題は渦巻きは線が長いことだ。細くて間が詰まっているとなれば尚更である。

 つまり、その分加工には時間がかかるということになる。


「これも型を使えば時間が減らせるかな」

「試してみる価値はあると思いますよ。ダメだったらもう少し簡素なものにしてみましょう」

「そうだな」


 俺は再び型を作ってみた。型を作る時間はかかるが、一度作れば後の時間を減らせるメリットがあるからな。


 一度作っていることもあり、型はスムーズに作成できた。それを使って刻印するように打ち付けると、思った感じの筋が出来上がる。


「これならなんとかなりそうかな」

「そうですね!」


 リケが大きく頷く。


「これなら量産もできそうだな」


 俺は満足して言った。打刻のようになっているので、それで出たバリというか、盛り上がりなどは多少対応しないといけないだろうが、その対応にはさほど時間もかからないだろう。


「次の納品の時には、新製品として出せるかもしれないな」


 こうして、我がエイゾウ工房の新たな製造方法が確立された。

 型を使った効率的な葉脈模様の彫刻と最適化された渦巻き状の集中点。これで魔力が抜けるという事態の解決……とまではいかずとも、多少なりと遅らせることが出来れば新製品として出せるだろう。


 ふと外を見ると、ポツポツと雨が降っていた。木々の葉に落ちたそれは、葉に沿って集まり、落ちてくるのだろう。

 そう、うちの新製品のように。

 今後はもっと自然の造形に目を向けても良いかも知れないな。そんなことを考えながら、少しだけ強くなる雨を俺はしばらく眺めていた。





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― 新着の感想 ―
魔力が流れる仕組みを分解したらわかる状態で売ってたら、悪用とか模倣が怖いのう。
次回は家族ナイフの改良かな?
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