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鍛冶屋ではじめる異世界スローライフ  作者: たままる
第15章 竜の目覚め編
917/980

試験

「他にはあるか?」

「いや、俺からはないな……」


 カミロに尋ねられて、俺は首を横に振った。


「皆はなにか欲しいものは?」


 皆の方を見ながら言ったが、皆も同様に首を横に振った。

 カミロは新製品完成までは今のままで良いと言ってくれているし、ミスリルも手配はしてくれるらしい。

 それでこれ以上何かを要求したら罰が当たると言うものか。


「よし、それじゃあ今日のところはこれで」

「ああ。またな」


 俺とカミロは握手を交わし、俺たちは商談室を後にした。


「今日もすまんな」

「いえ、こう言うのも何ですが、楽しいので」


 丁稚さんにチップを渡しつつ言うと、満面の笑みを浮かべる。

 準備が整った荷車に乗り込みつつ、俺は言った。


「他の仕事もやってるのか?」

「ええ、少しずつですけど、任せていただいてます」

「そうか。頑張ってな」

「はい!」


 頷く丁稚さんに手を振りつつ、俺たちはカミロの店を後にした。


 工房に戻ってからしばらくの間、普通の納品物を作って納品しながら、俺たちは改良型ナイフの製品化に向けた課題に取り組んでいた。

 葉脈型が効率が良いことは分かっているので、本数や太さを色々変えたものを試している。


「しかし、この葉脈の溝、一つ一つ彫っていくのは時間がかかりすぎるな」


 俺は試作品を手に取りながら言った。これまでは実験のために丁寧に彫っていたが、実際に製品として採用するなら、何か簡便にする方法が必要だ。

 生産量はあまり落としたくないからな。


「型を使うのはどうでしょう?」


 俺とリケ、リディで下書きを入れるなどの方法を検討していると、リケが提案した。


「同じ模様を何度も彫るなら、型があれば効率的です」

「なるほど、それはいいな」


 俺は早速、葉脈模様の型の製作に取り掛かった。

 とは言っても、薄い鋼板に葉脈模様を彫り込み、それを柄の部分に当てて模様を転写し、そこをなぞれば良い、と言う方法だ。

 方式としては下書きに近いが、すぐに模様を写せるので効率がいい。


「こんな感じか」


 完成した型を使って俺とリケでそれぞれ試作してみると、確かに今までよりは時間も短縮された。

 これなら、多少は生産数が減るだろうが、大きく落とすことなく量産することが可能そうだ。

 それは家族に伝えると、皆「おー」と歓声を上げてくれる。

 これで葉脈型の生産が少し安定しそうだ。


 だがしかし、である。

 

「後は魔力の集中点のところですね」


 リディがそう指摘した。そう、刃の根元に設けた魔力の集中点は、まだ理想的な形状ではないらしく、あまり綺麗に留まるというか集中してくれない。


「ここが難しいんだよな」


 俺は刃の根元を見つめた。集中点は小さすぎると効果が薄く、大きすぎると刃の強度に影響する。


「それでも大きさを色々変えて試してみるか。いや、形状が先か?」


 俺は腕を組んで考える。一般モデルとしているものは生産スピードを優先して小さくするにしても、高級モデル以上ではそれなりの効果が欲しいところだ。

 となると、


「こっちも色々な形状を試すのが先か」


 俺は鎚とタガネを手に取って、再び作業に戻るのだった。


日森よしの先生によるコミカライズ版の26話②が公開になっておりますので、こちらもどうぞ!

日森先生のオリジナルシーンも追加になってます!(私もチェックだけしてます)

https://comic-walker.com/detail/KC_002143_S/episodes/KC_0021430003300021_E?episodeType=first

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― 新着の感想 ―
植物を採取して参考にしたりしないのかな
いつまで丁稚さん呼びなんだろう?
日森よしの先生のデフォルメキャラ好きよ しかし試行錯誤するにしてもある程度の法則は見つけたいところだけど……落葉樹と針葉樹の葉の形とか黄金比とか? 紅葉や楓みたいな形は魔力を留めるイメージないし梛の…
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