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鍛冶屋ではじめる異世界スローライフ  作者: たままる
第14章 秘密のインク編

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竜の鱗

 ハヤテを見送り、俺とリケとリディ以外のみんなは作業に戻る。


「さてさて、それじゃあ作戦会議だ」


 俺達はこれからドラゴンの鱗の加工についての検討をはじめないといけない。


「ドラゴンの鱗は魔力をこめると硬くなり、抜けると柔らかくなる。これ自体は普通の鋼やメギスチウムも変わらない」


 1/8サイズになったドラゴンの鱗をリディに渡す。彼女は鱗を持ってふにふにと触りはじめた。


「ただ、カリオピウムとは逆に放っておくと魔力が抜ける」

「魔法石とも同じですね」

「そうだな」


 鱗を手にしたリディに言われて、俺は頷いて続ける。


「俺はドラゴンが鱗に魔力を送り続けているんだと考えている。血に魔力が含まれていて、それを送ってるとか」

「ありえますね」


 鱗をリケに渡し、リディはおとがいに手を当てた。


「私達エルフも魔力を取り込んで維持していますし、それで長寿なのだと聞いたことがあります」

「ふむ」


 前の世界でエルフが長寿の理由は作品によって様々だったが、この世界では魔力で身体を維持するので長寿ということらしい。酸素でエネルギーを作る必要がないのでその分細胞が長持ちする、みたいな話かな。

 こっちの世界での医学が発展すれば明らかになると思うが、当面は「そういうもの」として認識するしかない。


 翻ってドラゴンの場合である。


「一応ドラゴンのクルルちゃんもハヤテちゃんも魔力を食べていますからね。同じとすればエイゾウさんの考えは正しいと思います」


 真剣な眼差しでリディが言った。俺は腕を組む。


「さて、そうなると新たな問題だ」


 リケが少し目を輝かせて言う。


「この鱗に魔力を送り込み続けるにはどうすればいいか? ですね」


 リケはこういう問題解決が好きなんだろうなぁ。前の世界でエンジニア系の仕事をやったら大成したんじゃないだろうか。


「前にニルダから報酬で貰った魔宝石は魔力を取り出せないんだっけ?」

「そうですね。あそこまで固まっていると中の魔力を取り出すのは不可能です。壊れませんし」


 リディが力強く頷いた。

 以前、うちに日本刀(本人は日本刀と具体的に指示したわけではなかったが)を打ってもらいにきた魔族のニルダから、報酬として淀んだ魔力が凝固した魔宝石を貰ったのだ。

 あまり大きくないものでも金貨何枚かには相当するというので、宝石としての価値はかなりある。


 ただし、中に魔力が入っていると言っても自由に取り出せるものではなく、希少価値があって綺麗であるという以上ではない。今回の魔力の供給という点では全く使えない。


「うちの魔宝石なら魔力を取り出せるけど、すぐに崩れちゃうからなぁ」

「ですねぇ」


 うちの魔力炉から発生する魔宝石なら魔力が取り出せる。濃度も高いのか、妖精族の人々がかかるという魔力が徐々に失われていく病の治療にも使えるくらいだ。

 ただ、すぐに崩壊してしまうため、作り置きを薬のように妖精族の人たち(族長のジゼルさんとか)に渡しておくことはできないので、発症したら作るという方法を取らざるを得ない。


 翻って今回の場合はすぐに崩壊するので、やはり魔力の供給という点では問題がある。継続して魔力を供給し続ける必要があるからだ。


「最悪でも1日は維持できるようにすれば実用になるんだがなぁ」


 要は空冷服のようにバッテリーに充電しておいて使う、みたいなイメージだ。これなら戦闘が予想される時に魔力を供給し、関係のないときは供給しないということができる。

 副産物として柔らかければ、長距離移動の際は畳んで積んでおく、みたいなことができるかも知れない。「ドラゴンアーマー」と聞いて出てくるものがそれで良いのか、という問題はあるが実用に勝るものはなかろう。


「なんかそういう魔法は無いもんかね」

「うーん、私が知っている魔法も限りがありますし……。知っていたら魔宝石で使っていると思います」

「そりゃそうか」


 魔力の固定ができる魔法を知っているなら、うちの魔宝石に使えば妖精族さんたちに渡す「薬」の問題は解決だ。


「うーん、魔力……循環……」


 俺とリケとリディ。三者三様に腕を組み首を傾げて考え込んでしまうのだった。

活動報告にも記載しましたが、都合により次回の投稿は来週水曜(9/11)になります。

間が空いてしまい、申し訳ございませんがしばらくお待ち下さい。

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