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鍛冶屋ではじめる異世界スローライフ  作者: たままる
第14章 秘密のインク編
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お取り寄せ

「こんなもんかな」


 手紙には端的に「カリオピウムの加工に必要になりそうなので、ドラゴンの内臓や分泌液があるなら送るか、取りに行くから譲ってほしい」とだけ書いておいた。

 かかるであろう金には糸目をつけないつもりである。これまでのなんやかやで結構貯まってるしなぁ。


 あ、家族に相談はいるだろうか。と、思ったところでちょうどリケがリディを伴って戻ってきたので、2人に聞いてみる。


「どうかな。うちのお金だから全く相談しないのもどうかと思ったんだが」

「良いんじゃないですかねえ」

「ですよねえ」


 リケがどこかのんびりした口調で答え、それにリディが同意した。


「うちに貯まっているお金の大半は親方の稼ぎですし」


 普段の生活費――と言っても食事では小麦や調味料、他には燃料や普段の作業で使う素材が多少だが――は、皆で作っている普段の納品物で賄えている。

 俺1人くらいなら今後困らないくらいの貯蓄は普段とは違う「特注」の仕事なんかで稼いだもので、それはほぼ俺が作ったものだ。


 とはいえ、俺としては家族の共有財産として考えていたのだが……。


「いいのか? 家族で必要になるときがあるかも知れないが」


 俺がそう言うと、リディがクスリと微笑んで言った。


「以前聞かせていただいたぶんからすると、うちで必要になるとしても十分な額があるように思いますよ」

「サーミャたちに聞いても同じことを言います」


 リケが言葉を引き取って胸を張った。2人がそう言うなら、大丈夫か。


「じゃあ、お言葉に甘えて」


 俺は手紙を振ってそう言った。


「それじゃ、頼むな」

「キューイ」


 脚に手紙を括り付けられたハヤテは、高々と鳴くと素早く羽ばたき、凄い速さで飛び去っていく。

 アラシは度々こちらへ来ているが、ハヤテがあちらへ行くことはほぼない。運動という意味では毎日クルルやルーシー、マリベルと一緒に遊んでいるので十分だと思うが、それと空を飛ぶのとはまた違うだろうしなぁ。


 ハヤテが帰ってきたときに満足そうなら、どうでも良さそうな内容であっても、手紙にしたためてカミロに送ろうかな。〝黒の森〟の話とかはカミロも喜びそうな気がするし。


 振り返ると、家族全員がハヤテを見送っていた。

 ディアナがハア、とドデカい溜め息をついた。


「帰ってくるとわかってても、ちょっと心配になってしまうわね」

「空では最強なんだろ? 平気だろ」


 ヘレンが呆れたように言う。同じように呆れた声でアンネが続ける。


「ハヤテはドラゴンだし、より大きいドラゴンが来ない限りは大丈夫よ。そんなドラゴンがこのあたりにいるって話は〝あっち〟にいるときも聞いたことがないしね」


 どちらの言い分もよく分かるのだが、ここは娘が立派に仕事を果たすことを信じて待っていたいものだ。


「手紙を届けるだけだし、そんなに経たないうちに帰ってくるさ」

「鍛冶場の扉を開けておこうかしら」

「別にそれくらいなら良いんじゃないか」


 過保護だとは思うが、それはそれ。別に熱をこもらせなければいけない道理もないし、襲撃対策についても、警報装置はつけたから、むしろその音が聞こえやすくなって良いかも知れない。


 俺がそう言うと、サーミャが溜め息をついて言った。


「なんだかんだ、エイゾウが一番過保護な気がするぞ、アタシは」


 俺は反論しようとしたが、うんうんと頷く皆の様子を見て、ぐっとそれを飲み込むのだった。

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― 新着の感想 ―
「カリオピウムの加工」はルイ殿下の極秘の依頼ですよね。それを商人のカミロに伝えていいのでしょうか。
[良い点] そのエイゾウに最初に助けられたくせに〜〜w [一言] しかしこれだけハーレムみたいな状況になっててもお金の使いみちが少ないとは……家族としてしか考えてないとはいえプレゼントがいまだにナイフ…
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