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鍛冶屋ではじめる異世界スローライフ  作者: たままる
第14章 秘密のインク編

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友の食卓

「結局、今回の目的はインクの話もあるんだろうけど、ルイ殿下と顔をつなげるのが目的だったのか?」


 食事が半分ほど消え去ったところで、俺はマリウスに尋ねた。マリウスは肩をすくめる。


「そもそもはルイ殿下が純粋に会っておきたいって言ったからだよ。だから、その質問の答えは是でもあり非でもあるね。こっちとしても王弟殿下が顔を知っている人物か、あるいはその家族がいるとなれば、エイゾウに対して強硬手段を取ることはないだろうから、その意味でも都合が良かった。実際、エイゾウたちにもメリットはあるだろ?」

「まあね。あれ、じゃあ〝遺跡〟はもともと見つかってたのを出現させたのか?」


 言われたマリウスは大きく首を横に振った。切り札を切って殿下が出てくる機会を作り出したのかと思ったら、そうではないらしい。


「いや、渡りに船ではあったけど、行く前に言った通り、あれは本当に偶然だよ。あれがなければ殿下が下町にお出ましになるときに、その護衛が足りないから頼んだ、とかなんとか別の理由をつけるつもりだったさ。大元はそっちの話を取り付けようとしているときに起きたからね」

「なるほど。そう言えば近衛兵がたくさん来るって言ってたけど、全然だったな」


 マリウスは第一層までは近衛兵がわんさかついてくると聞いていたのだが、俺の記憶では数えるほどしか見かけなかったように思う。アネットさん1人の能力がやたら高いから不要と判断したのかも知れないが。


「殿下は何も仰らなかったが、あれは公爵派が手を回したんだと思うよ」

「公爵派が?」


 今度は首を大きく縦に振るマリウス。彼は自分でデカンタのような小さい瓶から杯に飲み物を移し、一口飲んでから続けた。


「閑職だとしても、流石に今日の人数はちょっと少ないからね。ここは殿下が表向きの顔を優先してくださってそのままになったけど、いつもより減らされてたのは間違いない」

「人手を減らす……? ああ、もしかして」

「うん、〝黒の森〟に回す人手がいなくなった、そっちの用件に回すって名目だと思う。全く、転んでもただじゃ起きない連中だ」


 マリウスと侯爵も向こうからはそう思われている可能性が高いと思うが、それは言わないでおく。

 それにしても、ずっとこうやってやり合ってるんだな。


「公爵派は警備が手薄なら機会がある、と思ってたかも知れないけど、ヘレンがいたら手出しはできなかっただろう。行き帰りは馬車に乗っている上に、減ったとは言えそれなりに護衛もついてるわけだし」


 ヘレンが頷いて口を挟んだ。


「チラチラこっちの様子を窺ってるのはいたな」

「そうなのか?」


 ヘレンは小さく頷く。


「伯爵が言うみたいに手出ししてくる様子も合図を送ってる様子もなかったから何も言わなかったけど。言ったらどうしても皆緊張するし、そうなればこっちが気づいたことがバレる」

「ふーむ」


 俺は腕を組んだ。今回公爵派は思ったより自分たちの計画を進められていないのではなかろうか。こういうとき、公爵はともかく下っ端が暴走して、ということは十分考えられる……と思う。

 ルイ殿下と顔見知りにはなったし、向こう1ヶ月ほどなら何も気にせずに暮らせるかと思ったが、多少の警戒はしておいたほうが良さそうだ。


「まぁ、街に呼んだときみたいに切羽詰まってそうな状況になることはしばらくない、と保証しておくよ」

「わかった。ありがとう」


 食事中だが、俺はマリウスに手を差し出した。前の世界でもマナー違反だと思うが、感謝の意は早めに伝えるに限る。

 一瞬面食らった表情になったマリウスだったが、ニッコリと笑うと俺の出した手をグッと握った。

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― 新着の感想 ―
公爵派の悪巧み?の描写が全くないから、何が起きてるのかイマイチ分かりづらいよね
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