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鍛冶屋ではじめる異世界スローライフ  作者: たままる
第13章 〝黒の森〟探検隊編

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一人反省会

 気合いを入れたはいいが、結局斧の形になるかどうかのところで、加工できる温度を下回ってしまい、再びリディに送風をしてもらう。


「疲れたら代わるから言ってくれ」

「これくらいならまだまだ平気ですよ」


 この〝黒の森〟の魔力による助けもあるらしく、魔力を注ぎ込む量の維持に神経を尖らせなくて済むので、まだまだ全然できるということだった。


「それより先に空腹や眠気が来そうです」

「そういえば、そっちはどうにもならない、って前にも言ってたな」


 以前、もし何かで徹夜仕事を続けないといけなくなった場合に備えて、一時的に紛らわすだけでもいいから、空腹や眠気を無くす魔法があるかをリディに聞いたところ、


「思い当たるものはないですね」


 と、にべもなく言われたのである。あると知ったら俺が習得して使いはじめそうなので、教えてくれなかったのかもしれないけど。


 ともあれ、また炭をいくらか簡易火床に投入し、再びゴウゴウと声を上げて勢いを増す火床の炎で赤熱していく斧のできはじめの様子をチェックする。

 俺のチートによる感覚では加工できる温度の下限を下回ったのとほぼ同時に火床に入れることができたため、次に加工できるようになるまでの時間はこれまでの最短であるらしい。


 だが、それでもある程度の時間は必要なわけで、じっと赤熱していく様子を眺めていると、どうも益体もない考えが頭に出てくる。

 たとえば、今回の反省点だ。


 この森で暮らしていくにあたって、必要なものは多い。雨風をしのぐための住居――獣人族たちに則れば、ねぐらでも問題ないが――は勿論のこと、糧を得るための道具も必要だ。

 植物を採るときに道具は不要なことがあっても、肉を得るときには必須になる。サバイバルで一時的なものであればともかく、生活する上では獲物を捕らえ、解体し、肉にする必要がある。


 そうして得た植物や肉は加熱……つまるところ調理したほうが良いわけで、となれば鍋釜などの調理道具はもちろん、燃料になる薪も必要になってくる。

 そして、斧があれば一定のサイズにして使いやすくできるわけである。多少の手間暇はかかるが、木を伐採して燃料や木材を得られる。


 つまりはナイフと斧があれば、森での生活はそこそこ格好がつくと言っていい、と俺は思っている。

 今回ナイフは持ってきているが、斧は持ってこなかった。森を抜けて逃走するなら使うところはないし、斧はなかなかの重量があるので、置いてくる判断をしたのだ。


 しかし考えてみれば、うちの斧ならあっさりと木を切り倒せる。そこを通った証になってしまうかも知れないが、足止めで木を切り倒してルートを狭めたり、一時的な応戦の時の遮蔽にしたりと、活用できるタイミングはいくらでもある。

 それに、生木を燃やすのは良い方策ではないが、背に腹を代えられないこともあるだろう。燃料が必要なのに、底を尽きたときは木を伐採して確保する必要がある。


 今度予行演習するときか、万が一本番ということになったら、その時は忘れずに斧を持ってこよう。


 そろそろ、また加工可能な温度になりつつある鋼を見ながら、俺はそう思った。

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― 新着の感想 ―
[一言] Oh,No! 斧を持ってくりゃ良かった!
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