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鍛冶屋ではじめる異世界スローライフ  作者: たままる
第13章 〝黒の森〟探検隊編
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金床

「加工するには金床がいるなぁ」


 俺はザラザラと簡易急造火床に炭を投入しながら考えた。森の中には大きめの石がいくつもある。チートの手助けがあればそれを使ってかなり正確に作業することもできそうではある。

 だがしかし、チートの話は伏せつつ、それをリケに話すと、彼女は眉根を寄せた。


「うーん、石でやるなら数を用意するか、かなり大きいのでないと、すぐ割れそうですね」

「そうなんだよなぁ」


 それなりの大きさでも、薄くて一撃でダメになってしまうようだと困る。いや、5回くらいは叩かれても耐えてくれなければ作業にならない。

 一方で、岩と呼ぶほど大きくても、今度は作業するのが難しくなってしまう。

 それに、都合良く平たいものでないと困る。

 まぁ、多少の凸凹は金槌(もちろん、魔力マシマシにしてある)を使って均せるが、その作業も少ないに越したことはない。


「しまったな、石を見つけてから火床を作ってもらえば良かった」


 俺は頭に手をやった。完全にうっかりしていた。それなりの大きさの石となれば当然、相応に重量がある。

 それを移動させるとなるとなかなかの重労働である。

 着火してから火が回るまでに結構な時間がかかるから、その間に金床になりそうなものを探せば……と思っていたが、甘かった。


「ということだ、すまん」


 石を持ってこないといけないのを失念していた俺は頭を下げた。ここは俺一人で石を持ってくるとしても、それは当然だな。

 石を運んでくるまでは火床に火を熾しておいてもらうか。そこはリケに見ておいて貰えるし……。


 と、思っていたら、


「久々にエイゾウのうっかりが出たな」


 と、ニヤニヤ笑いながらサーミャが言った。他の皆もにんまりしている。心なしか娘たちもニヤリと笑っているように見える。いや、マリベルは実際にニヤニヤしているが。

 樹木の魔物の様子を見て戻ってきたラティファさんが、俺たちの様子を見てオロオロしていた。


「あ、あの……」

「いつものことですから、大丈夫ですよ」


 静かだが力強い声でリディが言うと、ラティファさんはコクコクと頷く。

 やはりエルフの言葉だと樹木の妖精相手には説得力が違うのだろうか、などと益体もないことを考えていると、ラティファさんは再び様子を見に行った。


「ここはアタイたちにも任せてほしいところだね」


 グッと力こぶを作るヘレン。ディアナが仁王立ちで腕を組み、大きく頷く。


「私たちは鍛冶じゃあまり役に立たないからね、これくらいはさせてちょうだい」


 ディアナの横にはアンネもいて、こちらはマッスルポーズのようなものをとっている。ふざけてやっているのだろうが、身長タッパがあるので、僅かばかり迫力があった。


「よし、それじゃあお願いしようかな」

「任せとけ!!」


 ドンと胸を叩くサーミャ。そこへ娘たちも、


「クルルルルル!」「ワンワン!」「キューウ!」「もちろんあたしも!!!」


 と、加勢する声を上げる。

 俺は少しばかり俯いたあと、精一杯の笑顔を見せて言った。


「じゃあ、お願いしようかな」

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― 新着の感想 ―
[気になる点] ハンマーは持ってきてるのに野鍛冶の用意も無かったりそもそも森を進むのに斧の一本の備えも無いとか、ここ数回展開に無理を感じました。
[一言]  薄氷があるんなら、岩くらい真っ二つに出来そうに思えるけど、生憎それをやってこなせる腕前がないってとこかな?
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