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鍛冶屋ではじめる異世界スローライフ  作者: たままる
第13章 〝黒の森〟探検隊編
741/984

書籍8巻発売特別編「森をお散歩」

今回は8巻発売記念の特別編となっております。

この内容は本編には直接影響しませんので、ご承知おきください。

「とーちゃん!」

「おとうさん!!」

「とうちゃん!!!」

「はいはい」


 緑の髪の少女と、黒い髪の少女、そして赤髪の少女に手を引かれて、俺は〝黒の森〟を行く。グイグイと引っ張るその力強さが彼女たちのワクワクの度合いをあらわしているようで、引っ張られながらも俺は表情が緩むのを抑えることができないでいた。


「クルルもルーシーも、マリベルもあまりお父様を困らせてはいけませんよ」


 困った顔をしてたしなめているのはリザードマンのハヤテで、歳は俺たちよりかなり若いがクルルたちよりはずっと上なので、ルーシーより後でうちに来たがお姉さんとして振るまっている。

 その様子はその様子で微笑ましいのだが、口に出すとへそを曲げかねないので、口に出して言ったことはない。


 今日のエイゾウ一家は〝黒の森〟のパトロール……と称したピクニック中である。

 ここ最近、森の動物達の動きが活発になっていると、いつも狩りに出ているみんなから報告があった。

 それで「なにか良くないことが起きてないか」を確認しに出てきたというわけである。何もなければそれに越したことはないが、なにか起きていたときに、対処可能なものなら早めにしておきたいのだ。

 まぁ、よほどのことであれば〝黒の森の主〟たるリュイサさんが「あらあらいけないわね」とかなんとか言いながら、俺たちに対処を依頼してくるだろうから、特にリュイサさんから何も来てない時点で大きな問題が発生していることはないだろう、というのが家族全員の見解ではある。

 なので、危険がありそうなら家に置いてくる娘たちを、恐らくピクニック以上のことにはならない、との判断で連れてきたのだ。


 その娘たちはというと、クルルの


「むこうまできょうそう!」


 との提案に、ルーシーとマリベルが


「「おー!」」


 とのっかるなり、俺を引いていた手を離して急に走り出していた。

 この森に暮らして長いからか、娘たちの足の速さは相当なものがある。俺でもちょっとすぐには追いつけるか自信がない。

 そんな娘たちを見て、ディアナが目に見えてハラハラしているが、3人に張り付くようにサーミャとヘレンが追走していた。森のプロと〝迅雷〟の足に「かーちゃん(おかあさん)」の愛情があれば造作もないらしい。


「こら、急に走ったら危ないだろ」


 そう言ってヘレンがクルルとルーシーの首根っこをひっつかんで持ち上げる、2人ともだらんとぶら下がっているが、それはそれで楽しいらしいキャッキャと喜んでいた。

 マリベルも仲間外れということはなく、ヘレンのすぐ後に追いついたサーミャが小脇に抱え、こちらもキャッキャとはしゃいだ。


「らくちん!」

「らくちんらくちん!」

「らくちーん」


 3人娘は今、サーミャとヘレン、そしてアンネにそれぞれ肩車されている。サーミャはそうでもないが、ヘレンとアンネは身長が高いので見晴らしがいいだろうな。


「途中でご飯にするからね」

「ごはん!」

「たべたい!」

「たべたいたべたーい!」


 リケの言葉に3人娘が「食べたい」の大合唱をはじめた。

 そこへリディが、


「お利口さんにしてないと貰えないかも知れませんよ」


 と少し茶化すように言うと、3人ともピタリと黙り、〝黒の森〟には一瞬の静寂が訪れたが、それはすぐに家族の笑い声に覆われるのだった。

本日7/10に8巻が発売になりました。


各書店様の特典ありますので、ぜひご検討ください。

https://kadokawabooks.jp/product/kajiyadehajimeruisekai/322303001161.html

どちらも紙の書籍、電子書籍両方が各サイトにて好評発売中ですので、よろしくお願いします。

発売直後からKindle様で新着ライトノベル1位、honto様でライトノベル電子書籍ランキング1位など、ご好評いただいております。ありがとうございます。


また、シリーズ累計が97万部を突破いたしました。Web版含め、支えてくださる読者の皆様のおかげです。こちらも合わせて、感謝申し上げます。

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― 新着の感想 ―
[一言] そろそろ 本当にふてぶてしい雄のデブ猫が家族入りしても良さそう
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