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鍛冶屋ではじめる異世界スローライフ  作者: たままる
第13章 〝黒の森〟探検隊編
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武器の準備

「戦いの準備、と言っても色んな相手に備えるのは、なかなか難しいな」


 ズラリと並べた武器を前に、俺はため息をついた。ヘレン以外の皆は食料の準備をすべく倉庫へ行っている。

〝黒の森〟を探検するにあたって、武器は一応各自衛用のものを持っていくことにはなっている。

 並べているのはうちの製品である短剣、長剣、それに普段は取り出しやすい場所にしまってあるクロスボウと、狩りで何か不具合が起きた場合の予備として用意してある普通の弓、非常用の投石紐スリング、更には何本かの短槍だ。


 これらのどれを、どれだけ持っていくのが適切か、それを決めるのにうんうんと唸っているわけである。

 基本的に射程の長いものほど嵩張り、余りスペースを圧迫しないものはその逆で射程が短い。

 あれもこれもと持っていくと、そのぶん荷物を載せるスペースを圧迫してしまう。

 -


 普段みんなが使っているものと言えば、俺が刀、サーミャとリディが弓、ディアナは長剣、ヘレンが短剣の二刀流、アンネが両手剣。

 そして、リケは特になしで、強いて言えば短槍だろうか。


「実は普段からバランスが取れてる?」

「かもな」


 俺の隣で腕を組んでいたヘレンが頷いた。彼女は今のところ口を出してこない、というかあまり出さないようにお願いしている。

 実際にここを放棄して逃亡する際には、この辺りを素早く判断する必要がある。籠城の間にどれを使い、どれを逃亡時のために残すのか。それは勿論状況によって違ってくるだろう。

 これは文字通りに命運を分ける選択なわけで、こうしてじっくりと選べるうちに正しい選択が出来るようになっておきたい。

 そして、その時には誰もが手を離せない状況であろうことは疑いようもない。ヘレンの助言は受けられないだろう。

 なので、まずはヘレンの助言無しに武器を選択し、その後で助言を貰うのだ。


「うーん、今回は探検がメインだから、近接戦闘よりは距離を置いて追っ払ったりしたいな」

「ほほう」

「それなら弓も悪くないかな」


 俺は複合弓とシンプルな弓の両方を手に取った。クロスボウよりも威力は劣るが飛距離は十分だし、発射間隔もクロスボウよりかなり短くて済む。

 ただし、問題は……。


「矢が必要だからなぁ」


 弓を置いて、俺は矢を貯えてある箱の方を見た。整然と矢が並んでいるのはサーミャとリディの2人が整頓しているからだ。

 何本持っていって、どれだけ射ったかを把握するのは必要なことなのだと、どちらかから聞いたような記憶がある。


「そうだな。その分持っていく必要がある」

「うん」


 ヘレンが同意してくれて俺は頷いた。矢は道中で急造したりが難しい。それなりに集中して作業できる環境が必要だ。

 矢を射った時にあらぬ方向に飛んでいってもいいなら別だが、それでは弓を使うメリットがない。ある程度精密(サーミャやリディは完璧だが)に狙えるのも弓の利点なのだから。

 それなら矢をわんさか積めば良いかというと、探検中に見つけたものを積むスペースがそれだけ減る。再利用も不可能ではないが限度があるし。

 しかし、道中狩りが必要な場面で役に立つこともまた容易に想像が出来る。メリットは沢山あるな。


 俺はうーんと唸りながら投石紐を拾った。


「投石紐なら嵩張らないし、弾はいくらでも調達できるな」


 これなら補給の問題もスペースの問題も解決する。だが、石にスピードを乗せるまでの間隔はどうにもならない。

 ある程度まではコツを掴めば早いのだが、それでもそれなりの時間がかかってしまう。

 だが、今回はしめて3週間もの行程を踏む予定になっている。その間、補給として十分な数の矢を積んでいくのは難しいだろう。


 こうして、ああでもないこうでもないと、あれこれ武器を取っ替え引っ替えしながら、ベターな選択を俺は模索するのだった。

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― 新着の感想 ―
[一言] リケは力が強いし慣れてるだろうから大ハンマーでも持たせればいいと思う。熱した金属に振り下ろすように敵をぶっ叩けばいい。
[一言] コーチに見守られながら遠足の荷物チェックをやっている
[一言] 模索は楽しい
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