表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鍛冶屋ではじめる異世界スローライフ  作者: たままる
第12章 オリハルコンのナイフ編
718/985

家へ帰ろう

「ええ、そうね。下手に動いて尻尾を掴まれたくないもの」

「だろうなぁ」


 侯爵もマリウスも相手のミスを見逃すようなタイプではない。


「でも、いつまでも手を出してこないとは思えないぜ」

「そうだな」


 ヘレンの言葉に俺は頷いた。どうにも俺達を狙っているっぽいことを考えれば、今は一旦保留なだけで、いずれ何かを仕掛けてくることは間違いない。


「家に帰ったらあれこれ準備するか」

「あれよりもっと砦みたいにするんですか?」


 リケが笑いながら言った。俺は頷く。


「まぁ、限度はあるけどな。さすがに油を撒いて火をつけるとかは、俺たちがやったらリュイサさんに叱られるだろ。リディにもかな」


 俺が言うと、リディはわざとらしく頬を膨らませ、その様子にみんなあまり大きくない笑い声をあげ、リディも微笑んだ。


 そこへ、控えめなノックの音が響く。いつの間にかドアの側に近寄っていたサーミャが俺の方をチラッと見たので、俺は頷いた。サーミャの後ろにはこれまたいつの間にかヘレンが控えている。

 返事はせずに、サーミャはドアを開けた。ヘレンも剣の柄に手をかけていないので、危険な気配ではないのだろうし、友人宅で用心しすぎかとは思うが、念には念をだ。


 ドアの向こうにはボーマンさんがにこやかに立っていた。突然開いたにもかかわらず、全くビックリした様子がないのは流石だな。


「皆様お帰りになりましたよ」

「ありがとうございます。それじゃ、我々もお暇しますね」

「それでは準備いたします」


 そう言ってボーマンさんは下がっていった。


「それじゃ俺たちも帰る準備をするか……」


 俺が言うと、パラパラと了解の声が上がる。もう大きな声でもいいのだが、なんとなく皆小さな声なのが、どこかおかしみを感じた。


 帰る準備を済ませた俺たちは屋敷の外に出る。


「クルル!」

「クルルルルルルル」


 ディアナの声に、クルルは駆け寄ってくると、そのまま彼女に頭を擦りつけた。


「お利口さんにしてた?」

「クルルル」


 クルルは今度はペロリとディアナの顔を舐め、ディアナがくすぐったそうにする。


「ワンワン!」

「おっ、ルーシーも大人しくしてたみたいだな」


 俺のところにルーシーが駆け寄ってきた。思い切り尻尾を振っているので、頭を撫でてやると、その手をベロベロと舐め回される。

 なんだかこうされるのも懐かしいような気がしてきて、俺はルーシーの顔を撫でまわすと、ルーシーは、


「ワンワンワン!」


 一層尻尾を振って喜ぶ。俺がひとしきり撫でたあとは、リディやヘレンの所へ行って同じ事をしてもらっていた。

 俺たちが再会(というほど離れてないが)を喜んでいると、マティスがやってきた。


「2人ともいい子だった」

「だったら良かった。世話をかけたな」

「いい。それじゃ」


 相変わらず言葉が少ないやつだが、去り際に凄くいい笑顔をしていたから、どうやらうちの娘達はマティスに気に入られたようだ。

 これなら次来た時にも快く面倒を見てくれるに違いない。気に入らなかったからといって手を抜くようなやつではないが、仕事は楽しくできるに越したことはないからな。


「よーし、それじゃ帰るぞ!」

『おー!』

「クルルルル」「ワンワン!」


 さてさて、ひとまずは無事に家に帰れるよう、道行きをお天道様にでも祈っておこう。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=509229605&sツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ