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鍛冶屋ではじめる異世界スローライフ  作者: たままる
第12章 オリハルコンのナイフ編
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お仕事待ちはたいくつ

 朝食が終わると、実際のところ俺たちはしばらく暇になる。

 王国と帝国の会談は、帝国側として出席することになっているアンネを除き、俺たちは顔を出せない。

 平たく言えば「家族のお仕事が終わるまでは待機」である。


 そして、会談はいつもの侯爵の別邸ではなく、今回はこのエイムール邸で行われる。つまり、この屋敷をウロウロするわけにもいかないし、庭でクルルやルーシーをかまってやるのも難しいということだ。

 しかし、外に出て都をぶらぶらもアンネを放ったらかしていくことになる以上、ちょいと気がひける。

 なので、ちょっと何ではあるが、会談が行われている部屋から、かなり離れた部屋でひたすら待つことになった。広い部屋なので小物を持ってきてもらって。ちょっとした修理なんかはできるだろうけど、その音を響かせるわけにもいかないので基本的には我慢の子である。


 元々エイムール邸で働いている人たちは、今日もほぼいつもどおりに活動している。多少の動きの違いを聞かれたら「昨日やってきた客人の対応」ということで通すらしい。

 俺たちを呼んだのはそのあたりもありそうだ。ちょいと遠くから来た客をもてなすなら相応の対応が必要になるだろうから、普段と違っても違和感はなさそうだ。


「クルルとルーシーは大人しくしているかしら」


 ボーマンさんが入れてくれたお茶を一口呑んでディアナが言った。


「2人とも賢いし、大丈夫だろ」


 サーミャが言って、俺たちは頷く。みんなに聞いてみるとここの家の人にも懐いているそうなので、大人しくしていてと言われたら、大人しくしているだろう。

 しかし、全く心配ないわけではない。俺は少しの心配を口に出した。


「〝腹具合〟は平気かな」


 俺の言葉に、リディに視線が集まる。エイゾウ一家で一番魔力に詳しいのは彼女だからな。ちょうどお茶を口にしていた彼女は、コクリと飲み干すと静かに言った。


「大丈夫だと思います。昨日の様子だと明日いっぱいくらいまでは平気なんじゃないでしょうか。〝黒の森〟の魔力が濃いのと、普段以上にごはんをもらっているのが影響してそうです」


 リディの話を聞いて、皆一様に胸をなでおろす。マティスも可愛がってくれているようでなによりだ。

 しかし、もし長逗留することがあれば気をつけないといけないな。際限なく食わせる可能性がある。

 ヘレンがスッと部屋の外に視線をやった。もちろん、ガラス張りなどではないので、そこには壁があるだけだ。

 ボソリとヘレンが呟いた。


「……来たな」

「うん」


 サーミャが頷く。俺には物音一つ聞こえてこないが、2人には何か感じ取れるものがあったらしい。


「頑張ってね、アンネ」


 そう呟き、手を組むディアナ。恐らく自然とそうしたのであろう姿を見て、俺たちも揃ってアンネの健闘を祈るのだった。

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