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鍛冶屋ではじめる異世界スローライフ  作者: たままる
第12章 オリハルコンのナイフ編
680/981

7巻発売特別編「村の暮らし」

今回は7巻発売記念の特別編となっております。

この内容は本編には直接影響しませんので、ご承知おきください。

「精が出ますねぇ」


 畑に鍬を入れて耕す〝俺たち〟にそう声をかけてきたのは、村長の奥さんだ。かなり若い。

 というのも当たり前で、この村の村長はかなり若い。

 そもそも、俺たちがこの村に来ることになったきっかけはこの村長夫婦を旅の途中で助けたからだ。

 俺たちが事態を知ったときには前村長――今の村長の父親――を助けることは既にできない状態であったため、助けた後に今の村長がそのまま後を引き継いだのだ。


 そして、何から助けたかと言えば、魔物の襲撃から、である。街道のほうまで逃げることが出来たこの村の住人に助けを求められたのだ。

 俺は一見して戦力になるように見えないだろうが、ヘレンやディアナがいるし、街道を行くときはサーミャとリディは弓を、ハヤテは槍……というか薙刀を持っていたので、助けを求めるには十分だと思ったのだろう。

 その判断は決して間違ってはいなかったのだが。


 そして、なんとか魔物を追っ払った俺たちは、荒れた村(この村は王国領だった)に立て直すための人員が来るまでの間、少しばかり復興の手伝いをすることになった。

 その一環として、家の建て直しと、畑を少しばかりやっているのである。


「おかげさまで」


 俺は村長の奥さんにそう返す。パタパタと緑の髪の女の子と、やや灰色に近い黒髪の女の子が村長の奥さんに駆け寄っていく。


「あら、クルルちゃんとルーシーちゃん。お父さんとお母さんのお手伝い偉いね」


 彼女が2人の頭を撫でると、土に塗れた顔で2人はニンマリと笑った。俺たちもそれを見てほんわかした空気になる。


「今からですか?」

「ええ」


 俺が尋ねると、村長の奥さんは頷いた。彼女は今からこの村にほど近い森へ、薪や食べるものを集めに行くのだ。

 俺が鍬を振るっていたヘレンとリディ、そしてサーミャのほうを見ると、3人とも首を縦に振る。彼女たちは畑の傍らに置いてあった剣や弓矢を取って、村長の奥さんについていく。

 リディの見るところでも「向こう数ヶ月は魔物が発生することは無さそう」とのことだったが、念には念を入れてである。


 森へ行くみんなについていこうとしたクルルとルーシーが、アンネに首根っこをつかまれている。最初はしょんぼりしていた娘たちだったが、アンネが片腕ずつに抱きかかえて振り回すと、すぐにキャッキャとはしゃぎだした。

 傍らではハヤテが少しハラハラしながら、リケは微笑ましく見守っている。

 俺はその光景を見ながら言った。


「しかし、馴染んだなぁ」

「そうねぇ」


 額の汗を手ぬぐいで拭きながらディアナが答えた。彼女の手には、やはり鍬がある。王国の伯爵家令嬢らしからぬ姿ではあるが、いつの頃からか普通に見えるようになってきた。


 最初の頃は村での暮らし、というものが合うかどうか全く分からず、若干の不安を覚えていたが、いざ始めてみれば気にすることも少なかった。

 まぁ、この世界でも相当の僻地である〝黒の森〟に住んでいる経験があってこそだとは思うが。

 気がつけば、もう何年も昔からこの村で暮らしていたかのようにすら思うことがある。


「おとーさん」

「かーちゃん」


 アンネから解放された娘たちが、俺たちの所へ駆け寄ってきた。俺とディアナはそれぞれ頭を撫でてやる。


「よーし、それじゃあ石拾いだ」

『おー』


 元気よく返事をする2人を見て、この〝いつも〟をもう少し重ねるのも悪くはないな、そんな風に、どこか違和感を覚えながらも、そう思った。

7巻が発売になりました。今回は48P小冊子がついてくる特装版もあります。

書店様の特典も発表になりました。こちらは特装版と通常版で共通になります。

https://kadokawabooks.jp/product/kajiyadehajimeruisekai/322208000941.html

もちろん通常版もあります。

https://kadokawabooks.jp/product/kajiyadehajimeruisekai/322208000939.html


どちらも紙の書籍、電子書籍両方が各サイトにて好評発売中ですので、よろしくお願いします。

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