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鍛冶屋ではじめる異世界スローライフ  作者: たままる
第11章 北方からの来訪者編

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流れる水

 小竜に運んでもらうにしては大きめの紙に書かれていたのは、だいたい次のような内容である。

 カミロは今回北方へ赴いたらしい。とは言うものの、北方は1~2週間でたどり着けるような“近場”ではない。例え馬車にサスペンションが組み込まれていたとしてもだ。

 となればそれでたどり着けるところに用事があったわけで、つまり先行して北方からは南下して来ている人がおり、途中で合流したのだ。


 そこで落ち合った相手とは、カタギリ家の人物であるらしい。ご当主様ではなかったみたいだが。かいつまんで言えば、カレンがここに来たのは計算違いであったそうなのだ。

 北方以外で、とは申しつけたものの、ギリギリ外(つまりはカタギリ家がすぐに手を出せる範囲)か、実際には北方の中で修行に出るだろうと思っていたら、いつの間にか南方の商人に伝手ができており、それを頼ってはるばる南方に流れてしまったため、カタギリ家は結構慌てたらしい。

 すぐに連れ戻そう、という話も出たらしい。今のところ、その案は不採用なようで、その旨読み上げるとカレンはホッとしていた。まぁ、そりゃあ当主が「出ていけ! 一人前になるまで戻ってくるな!」と言ってしまった手前、「そこまで行くと思ってなかったから戻ってこい」となかなか言い出せないのはそれはそうである。

 カレンにしても「絶対に一人前になってギャフンと言わせる」のを目標にして出てきたし、その覚悟はしっかりとあるので、「ありゃあ、すまんかった」と言われて「そうですか。それでは帰りますー」とはいかないのもそうだろう。


 これでは意地の張り合いですなぁ、ワハハハで終わるのかと思いきや、さにあらず。どうやら落ち合った人物は先触れで、すぐに追ってご当主様がいらっしゃるらしい。

 カレンを連れ戻す、という話では無いそうなのだが、ではどういう話なのだろう。その詳しいところは帰ってから、つまり、当初言っていた3週間後、今から見れば1週間と少し後の話になるそうだ。

 そこで先触れの人から話を聞く手筈になっていると言うから、先にあったようにカレンをとにかく連れ戻すという話でなさそうなのは確かだ。結果的に戻ることになる可能性は十分にあるが。


「まとめると、この人から話を聞くまでは不明だが、ここまでくるのは想定外だったので一度話し合いをして今後を決めたい、ってことみたいだな」


 俺が言うと、カレンも皆も複雑そうな顔をした。そうしていないのはクルルとルーシー、それにハヤテとアラシのうちの娘さんたちだけである。


「先に手紙を寄越したのは、カレンが戻る可能性を考えて、だろうな。アンネのときは結果的には戻ってきたわけだけど、随分とバタバタしたし」


 カミロの書いた内容からすると、出先から早馬のようなものでカミロの店に届けて、そこからアラシ便で届けてくれたようである。早馬も安くはなかろうに、そういうところは気が利くんだよな……。


 場がシン、と静まり返る。お互い長い付き合いになると思っていた間柄だ。ある程度の余裕があると言っても1週間とちょい。何かをするにはちょっと短い時間だ。まだギリギリ温泉も完成していない。

 俺は静寂を破るように、しかし、あまり大きくない声で言った。


「温泉を完成させよう。1週間後には戻ることが決まったとしても、カレンには『南方で立派な温泉に入ったことがある』ってのを思い出にして欲しい。どうだろう?」


 皆から声は返ってこなかった。しかし、ハッキリとした頷きが返ってきた。明日から忙しくなるな、そう思いながら、俺はアラシを労い、家に入った。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] ハヤテともう1羽はアラシでしたか。変身忍者?
[良い点] せやな、温泉で懐柔しようそうしよう
[一言] そうだ、温泉だ♪
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