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鍛冶屋ではじめる異世界スローライフ  作者: たままる
第9章 伯爵閣下の結婚指輪編

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測定と形成

 チートの能力で魔力を込めると、鋼は普通よりも硬くなる。ナイフの切れ味やショートソードの耐久性はその硬さが貢献している面もある。

 そして硬さが重要なものと言えば防具だ。もちろん硬いだけでは脆いので、ある程度のしなやかさも必要なのだが。


 ヘレンから相談を受けた翌日。俺は早速防具の製作に取り掛かることにした。納品物はほとんどできているし、2~3日別の作業をしていても問題はない。


「リケはどうする?」

「見学します」


 リケも特に急ぎの作業はないらしい。じゃあ、休みを言い出せばいいのになとは思ったが、それは言わないでおく。


「あー、それじゃあ、ヘレンを測ってもらっていいか」

「わかりました」


 ヘレンとリケ、そして手招きされたアンネが家の方に引っ込んでいった。ここで測ってたら意味ないからな……。

 アンネは多分手伝いだろう。ヘレンは身長が高いから、同じく身長の高いアンネに手伝ってもらうのがいい。リケに頼んだのは、そのへんの測定の勝手を知っているのがリケだからである。


 その間に俺は胸甲に使う板金の準備をはじめた。板金はそれなりの大きさがあるが、胸甲にするには全く足りない。

 板金は長方形だ。それを2つ積み重ねて加熱し、金床で叩く。キッチリくっついている必要はないので、ホウ砂などはつけたりせずに叩いていく。


 倍くらいの幅になったらタガネで折り目を入れてから曲げていく。厚みが倍の板金が出来たので、更にそこにもう一枚板金を追加して同じように加熱して叩き、折り曲げる作業を繰り返す。


 折返しを数度繰り返した板金、と言うよりも既に鉄塊と呼ぶべき物体をいよいよ延ばす作業に入る頃、ヘレンたちが戻ってくる。測らないといけないところはそんなにないはずだが、結構時間かかったな。

 ウチではめったに使わないが、こういうときのために少しだけ紙もあるし、筆記具も用意されている。チートを使えば目で見るだけでも正確な形状にできるのだろうが、測ったから出来たと言い張るために、測定したという事実を残しておいたのだ。


 リケに手渡された紙には幾つかの数字が書かれている。王国と帝国では少しだけ度量衡の単位が違うらしいが、うちにある尺は王国式なので、それで測った数値であろう。

 インストールとチートの合わせ技で確認しても合っているようだ。俺はチラッとだけ紙を確認すると、ちょうど温度の上がった鉄塊を火床から取り出した。


 ここから形をつくっていく。両胸が分かれているタイプと一緒になっているタイプがあるが、今回は一緒になっているタイプだ

 そして、鎧として機能させるために、中央部分は厚く、端へ向かうに従って薄くしていく必要がある。

 まずは普通の金床で伸ばし、全体に4センチほどの厚みになったら、真ん中が2~3センチほどで端はもう少し薄い鋼板にする。成形するときに薄くなってしまう分も考えての厚みだ。

 そしていよいよ胸の部分の形成……の前に昼飯の時間になった。作業を一時中断する。


「どうですか、親方」

「うーん、鋼は鋼だから今のところ大きな問題はないかなぁ。厚みを変えるのも思ったより大変ではなかったし。今後、胸のところの成形がネックになるかも知れないけどな」


 昼飯にするべく鍛冶場を出る時にリケに聞かれたので、俺は素直に答えた。

 実際、今のところは厚みを変える必要があったとはいっても、鋼板を作った以上でも以下でもない。さして困るような作業でもないのだ。

 俺の答えはリケにとっても想像通りだったようで、それ以上詳しくは聞いてこなかった。


 カーブを整形するには、普通の金床では少し難しい。俺は普段使わない小さくて丸い形状をした金床を鍛冶場の隅から持ってきて、いつもの金床の横に据えた。

 そこに曲げたい箇所を置いて、包み込ませるように鋼板を叩いていく。

 少しずつ位置をずらして叩かないと実際に包み込まれてしまうので、そうならないように欲しい形状を目指してずらしながらカンカンと甲高い音と、真っ赤な火花を飛び散らせながら、魔力もこもるようにと鎚を何度も振り下ろす。

 すると、鋼板はゆっくりゆっくりと俺の願いに応えるかのように、その形状を変えていくのだった。

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はじめまして。 刀は鑑賞するのも振るのも斬るのも大好きなこともあり、そっちもドストライクなので、いつも楽しく拝読しています。 「甲伏せ」とか「四方詰め」とか出てくると、鍛冶の様子がありありと思い浮かん…
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