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鍛冶屋ではじめる異世界スローライフ  作者: たままる
第8章 帝国の皇女編
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作業に戻ろう

 言い方は悪いかも知れないが、心鉄は通常より手を抜いたものである。皮鉄に力を入れて作ってあるから問題無い確信も持ってはいるが、それでも確認するまでは多少なりとも心配だった。

 しかし、ヘレンの力量で問題なかったのなら、大きな問題はあるまい。

 1つが出来れば残りはその1つを作るよりは簡単だ。自分の作ったものをそのままお手本に出来るし、何より1つは作ったノウハウがある。

 ほとんどチートの力とは言っても、経験の有無は時間などに大きく作用している……ように思う。


 見た目が同じということは、観賞用のイミテーションを作るのでもなければ、構造的には同じものになるはずである。

 であるならば、同じ部品を作ればいいわけで、まとめて同じ工程を行える方が(俺の場合は)効率が良い。

 その分を見込んでの3日という“工数見積もり”であったが、概ね外してはいなかったようで、俺はホッとした。納期遅れはこう、俺要因だったかどうかによらず、前の世界のトラウマが蘇るからな……。ふふ、35連勤したっけ……。


 俺は頬を手で張って、遠い目をしていた焦点を目の前の問題に戻す。

 まずは先に心鉄になる部分を3つ量産する。気を遣うのは、ここで力を入れてしまうと普通に硬いものができあがってしまうことだから、そうならないようにしなければいけない。

「性能を若干落とすのに気を遣う」というのもおかしな話だが、そうしないといけないならそうするよりない。


 板金を取ってきて火床で熱する。やがて炎に負けず劣らず赤くなったそれを取り出すと、金床に置いて叩き形を整える。最終的にきっちりと形を整えるのはもっと後の工程になるから、ここではある程度整っていれば良い。

 うっかり魔力を込めないように気をつけて角柱形に整えたらそれで一旦終わりだ。2本目に取りかかろうかというところで、みんなが戻ってきた。


「あれ、もういいのか?」

「2人とも満足したみたい。お水を飲んだ後、自分たちで小屋に戻っていったわ」

「そうなのか」

「結構遊んでましたからね」


 ディアナママとリケお姉ちゃん(とクルルとルーシーは思っているだろう)2人によれば、皆と一通り遊んだら満足したのかすぐに戻ったようだ。


「にしても、ルーシーは成長が早いなぁ。力だけで言うともうすぐ小さい鹿くらいは狩れるんじゃないのか? アタイたちに強く噛みつかないのはクルルがちゃんと教えてるんだろうけど」


 何の気なしに言ったのであろうヘレンの言葉に、俺とリディは顔を見合わせた。アンネは知らないが、ルーシーはただの狼ではない。魔物になってしまって群れを追われた子なのだ。

 いまいち本人(本狼?)にその自覚がないためか、今のところ「可愛い子犬」で通っているが。


「やっぱりアレかね」

「アレでしょうね」


 アンネには分からないようにその話をリディとする。誤魔化しがきかなくなってきたら森狼の中でも特殊なやつなのでは、で押し通すつもりではある。

 そもそも、人に慣れている魔物の取り扱いとかどうなってるんだろう。当たり前だが法治が徹底されているわけではないこの世界の場合、魔物討伐も根拠法があっての遠征、討伐ではないだろうが「かくまったら死罪」なんて法があったら、ちょいと困ったことになるしな。

 都に行ったときにマリウスにでも聞いてみるか……。


 俺は頭をかきかき、行く先に頭を悩ませながら自分の作業に戻った。

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