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鍛冶屋ではじめる異世界スローライフ  作者: たままる
第8章 帝国の皇女編
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連絡手段

 一通り話が終わった頃、カミロが部屋に戻ってくる。


「いやぁ、ありゃなかなか良いもんだ」

「槍か?」

「ああ」


 新しいものを作るたびに、少しずつではあるが色々なものの出来が良くなっているのは確かだ。前の世界の小説で見た“ステータス”のようにハッキリとした数字で表されるわけではないが、それは分かる。

 海千山千であろうカミロから見ても良いものだと太鼓判を押してくれたのなら、品質については心配いらないな。


「とりあえず今回はこれだけ渡しておく」

「いつもすまんな」

「なに、これが仕事だろ? お互いにな」


 そう言って俺に革袋を渡しながら、いつもの似合わないウィンクをするカミロ。仕事をして対価をもらう。のんびり好きなようにやってることでそう出来ているのはありがたいことだ。


「そう言えばだ」


 カミロがふと思い出したように言った。


「今回みたいに“予め知ってたら用意したのに”って場合もあるだろ?」

「そうだな」


 特に今回は何らかの連絡方法で事前に言っておいてくれれば確実に用意が出来た。ここに来る以外の方法で連絡手段と言えば、エイムール家騒動のときに緊急に用意したあの手段くらいである。

 しかし、あの方法はカミロ側は行き帰りの途上だから良いとしても、俺の方は森の入口まで確認しに行く必要がある。郵便受けが2キロ先にあって毎日確認が必要、となると正直に言えば面倒くさい。

 かと言って家族の誰かを向かわせるのも、その間は作業が止まってしまうから、できれば避けたいところだし。狼煙なんかで合図する方法は目立ちすぎる上、森の中にあるうちからは森の入口付近で合図されてもほぼ見えないだろう。

 となると今のところは1~2週間ごとのやり取りになる。やたらと時間がかかってしまうのも事実だった。


「何らかの手段を考えたいんだよな。今後エイゾウに緊急で発注したいものも出るかも知れないし」

「ふむ」


 カミロの言うことはもっともだ。しかし、あまり気楽に連絡されても嫌だなと思う。最終目標はスローライフなのだし、できればゆっくりのんびりしたい。

 だが、そうは言っても腹は減るのだ。「遊んで暮らせる」まではそれなりにこなしていくことも必要ではあるだろう。


「逆にエイゾウたちからも何か連絡したいこととかできるかも知れないだろ? 今週は納品を見合わせたい、とか」

「それも確かにそうだな」


 今のところは“ウォッチドッグ”がそうしてくれたからか、病気らしい病気もなく、大怪我もない。しかし、こっちの世界に来て間もないわけで、今後もずっとそうであるとは限らない。

 そんなときに何らかの連絡手段があれば便利なのは間違いない。


「手紙の遣り取りが出来る魔法の道具みたいなのはないのか?」

「うーん、あるにはあるんだがな……」


 なんとはなしで聞いてみたのだが、あるらしい。それならもっと普及していても良さそうなものだが。


「やたらと高いし、流通には制限がかかってるんだよな」


 なるほど。簡便な連絡手段なんてもの、軍事でも重要な品であるのは間違いないし、おいそれと隣国と連絡などされても国としては困ることもあるだろうから、そうそう普及はさせないか……。


「まぁ、こっちで考えておく。エイゾウの方で連絡手段を整備するのに異論がなけりゃだが」

「うちは大丈夫だよ」

「分かった」


 当面はあって困るものでもなさそうだしな。ここはカミロの好意に甘えておくか。


「それじゃ、また4日後に」

「ああ」


 俺とカミロは握手をした。そこへ番頭さんが来たので、軽く挨拶をして入れ違いにぞろぞろと部屋を出る。


「さーて、帰ったら頑張らなきゃな」


 俺の言葉に、家族の皆とアンネも一緒に手伝いを申し出てくれる。俺はそれにちょっとホッコリしながら、「ありがとう」と礼を言っておいた。


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