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鍛冶屋ではじめる異世界スローライフ  作者: たままる
第8章 帝国の皇女編
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注文内容

「その代わり、こういうのは1回きりですよ」


 俺は渋面を作りながらそう言った。そもそも面倒事と言うなら、アンネが来た時点でとっくに巻き込まれてるしな……。

 本当は書面なり残したいくらいなのだが、作ったところで内容を保証してくれる人がいない(カミロにさせたところで彼はただの商人だし)ので意味はなかろう。


「すまんな、助かるよ」


 マリウスが困ったような顔をして言った。中間管理職が大変なのは前の世界でもこっちでも変わらないということか。俺は心の中でそっと慮っておく。


「うむ。あまり無茶を言ってへそを曲げられても困るからな」


 俺に負けず劣らずの渋面を作る侯爵。どこかの職人に何かを頼んでへそを曲げられた経験があるのだろう。渋面は俺に向けたものと言うよりは、それを思い出してのもののようだ。前の世界でもこっちでも変わらないのは、職人の頑固さも同じらしい。

 実のところ俺は“黒の森”から移住するのはほぼ無理と言って良い状態なのだが、それを知らない侯爵にしてみれば、無茶を言い過ぎてそれこそ帝国にでも逃げ出されたら損という計算なのだろう。

 今のところはその計算に乗っかるほうが得だ。カミロみたいな人間にこの先出会えるかどうかも分からんしな。


「では、納期とお代金ですが」

「そうだな……」


 俺の言葉に考え込んだのは侯爵だ。一連の計画は侯爵がしてるんだろう。このオッさんも政治やらが絡まなきゃいい人なんだけどな……。


「なるべく早くがいいが、いつなら出来るのだ?」

「そうですね……3日もあれば」


 4本も頼むのであれば、装飾については不問であろう。全く同じものをオーダーしてくるなら、余計な装飾は無いほうが区別しにくいからそっちのほうがいいまである。

 それなら多少作業時間がかかることを考えても、それだけに取りかかれば3日あれば十分だ。前の世界でASAP(なる早)と言われたら嫌な思い出しかないが、こっちの世界ならマシだろう……マシだよね?


「そんなに早く?」

「ええ、まぁ」


 俺の言葉に侯爵が驚きを隠しきれず、片眉をあげた。

 しまった、「2週間くらいかかるっすねぇ~」とか言っておけば良かったか。いや、前に一般モデルとは言え1週間で50本とか納品してるし無駄だったかも知れない。そう思っておこう。


「ふむ……それなら1本あたり金貨15枚支払おう」

「えっ!?いや、フガフガ」


 俺としては特注品クラスとは言っても、大したことのない槍に15枚は多すぎると思い、10枚くらいでいいですよと言いたかったが、左右から手が伸びてきて俺の口を塞いだ。

 しめて金貨60枚である。口止め料も含めてと考えるとまぁまぁな金額……なのだろうか。


「それでは4日後、都に品を持って来てくれるか?」

「都にですか?」

「ああ」


 都で何が行われるのだろう。厄介事には巻き込まないという話だから、納品だけで終わってくれると思いたいが。


「うちが馬車を出すよ。それにお前と皇女殿下を乗せて都へ行く」

「アンネさんも?」


 カミロは頷く。既にほぼ全てが決まっていて、俺の槍が出来上がれば進むって感じだな。


「分かった。うちの家族を連れて……は行かないほうが良さそうだな」


 マリウスの顔色を見て取って、俺はそう発言する。ほぼ納品だけにせよ、あまり見せたくないことは少なからずあるという事か。

 ディアナは俺の言葉に不満そうだったが、身振りでなだめる。


 とにかく、とりあえずはこれで受注完了だ。俺は立ち上がって侯爵とマリウスと握手をしておく。さて、ちょいと頑張りますかね。



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― 新着の感想 ―
この話主人公はちょっとありえないな なんで自分の信念曲げてまで作るのに値段下げようとしてるのか意味不明だし 侯爵には今後関わらないくらい言って欲しかった
[一言] エイゾウって静かにぶっ壊れてる気がする。お人よしに見えるけど善人とはちょっと違うというか。 もしかしたら話が進めば掘り下げられるのかなと思って読んでます。
[一言] 知り合いに甘い主人公な時点で、最早読む価値なしだな、、、
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