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鍛冶屋ではじめる異世界スローライフ  作者: たままる
第7章 アポイタカラ編
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アクセサリー選び

 パパッとディアナに一通り見てもらって、最初はサーミャだ。


「ど、どうかな」


 木の枝が絡んだようなデザインの、金色のネックレスをつけて貰って照れくさそうにしている。

 もっとワイルドな、牙をモチーフにしたようなものを選ぶかと思ったら、かなり落ち着いたものだったので少し驚いた。

 しかし、もちろん似合ってないなんてこともなく、サーミャの可愛らしさ(本人はワイルド系のつもりなんだろうとは思うが)をしっかり引き立てているように思う。

 普段つけている緑の髪飾りにも合っている。金色ではあるが、サーミャは髪や毛が黄色……と言うか虎柄なので、派手すぎに見えない。

 

「似合ってると思うぞ」


 俺は素直にそう言った。サーミャはいよいよ顔を赤くしてモジモジしはじめた。こういうの慣れてないからな。

 

 次にリケである。リケのは銀色のゴツっとしたペンダントトップに小さな赤い宝石が嵌っていて、かなりシンプルだ。

 

「これは鍛冶屋の火ってことか」

「そうね」

 

 俺の言葉に答えたのはディアナだった。かなり小さいが赤い宝石が光を反射して、さながら火が揺らめいているようでもある。良い見立てだ。

 今日のリケは普段よりも露出を抑えめにした(普段は暑いからか割と露出が高い)地味な服を着ているのだが、丁度いいワンポイントにもなっている。

 

「リケもよく似合ってるなぁ」

「えへへ、ありがとうございます」


 リケは満面の笑みで言った。少しだけ照れているようだが、まぁ、うちの家族で1番褒められ慣れていると言うか、鍛冶のほうでよく褒めてるからな。

 皆が皆俺の言葉に照れまくっていたら、俺の気恥ずかしさのほうが限界に達して、俺のほうが店から飛び出しかねない。

 

「リディにはこれよ」

「おお」


 そして、エルフのリディである。サーミャのにも似た感じの、ただしこちらは銀のネックレスだ。リディは銀髪なので、それと合わせたのだろうか。

 リケのと同じような大きさの、こちらは緑の宝石が光を反射していた。これは森のイメージかな。

 サーミャのとリケのを合わせて2で割ってリディ向けに味付けした感じになっていていい。

 そして何より

 

「森の妖精、って感じがするなぁ」


 感じたままに俺がそう言うと、リディは黙ってぽすぽすと俺の胸を殴ってくる。だが他の家族と違って痛くない。手加減しているのか、他の家族との筋力の違いか。

 なんとなく後者のような気はするが、我が家の言わぬが花の1つである。

 

「ア、アタイはいいよ……」

「何言ってるの、家族全員分やるって言ったでしょ」


 蚊の鳴くような声で抵抗したヘレンをディアナがねじ伏せて選んだのは、赤い宝石の耳飾りだった。宝石はリケのペンダントのものよりも一回り大きい。

 今はカツラをかぶっているので髪色が違うが、それでも似合っている。赤毛のときだともっとマッチするだろう。

 ディアナの審美眼もなかなかだ。今の髪色に合わせつつも、本来の髪色でもちゃんと似合うようにしているのだから。

 

「おー、いいじゃないか」


 俺が褒めると、ヘレンも照れて正拳突きを繰り出した。風切り音がしそうな速度である。

 俺はなんとか手のひらで受け止めた。パンと音が響き、俺の手に衝撃としびれが走る。どんだけ本気で繰り出してきたんだ。

 手を振ってしびれを払いながら、俺は続けた。

 

「光って目立つから”仕事”のときはつけられないだろうが、かわいいんだから普段はつけてればいいのに」


 率直な感想を述べたつもりだったが、ヘレンはもう一度俺に正拳突きを繰り出そうとして、止めた。

 その代わりなのか、最初に抵抗したときのような小さい声で

 

「あ、ありがとう……」


 と、ぼそっと言い、俺は心のなかでだけ「そっちのほうが破壊力高いんだがな」と抗議しておくのだった。

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