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鍛冶屋ではじめる異世界スローライフ  作者: たままる
第6章 帝国革命編
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逃走中の休憩

 1時間ほどうつらうつらもしながら、時折鍋をかき回したり水を足したりしつつ、周囲に目を配る。

 朝日が昇る中、街道は急ぎ足の馬車が街から離れる方だけに向かっている。街に向かう馬車は途中行き違う馬車から情報を仕入れたのだろうか、1台も見ない。

 逃げられる人々は一刻も早く帝国から脱出しようとするだろう。俺が男の子と間違ってしまったあの少女はどうしているだろうか。彼女たちがあの街から逃げる意味はあまりないかも知れないが、戦闘に巻き込まれたりだけはしていて欲しくないな。


 煮込んでいた肉と豆が柔らかくなってきたので、3人を起こして朝飯にする。

「飯はちゃんともらってたのか?」

「一応。ほとんど麦粥みたいなのだけだったけど」

 俺がヘレンに聞いてみると、そんな答えが返ってきた。なので、ヘレンだけは一応肉の量を少なめ、豆を多めによそった。柔らかいから胃が受け付けないということは無いと思うが、びっくりさせるのも良くなさそうだし。

 味つけは干し肉の塩と出汁のみ、具も肉と豆なので(動物性と植物性の違いはあるにせよ)タンパク質オンリーと言う「栄養価?なにそれ?」と言うメニューではあるが、何かを腹に入れているのとそうでないのとでは気持ちもだいぶ違ってくるからな。

 俺も含めてみんな黙々と腹におさめていく。

 様子をうかがってみるとあの街から出て時間も経っているし、かなり元気を取り戻してきたようではあるが、ヘレンから事情を聞くのはまだ早いように思われた。せめて帝国を出てからのほうが良さそうだ。

 腹もくちくなったし、日もすっかり昇ってきているので、鍋は片付けて火も落としてしまう。俺はフランツさんと見張りを交代して、カミロやヘレンと一緒に横になった。


 どれくらい寝ていただろうか、俺はふと目を覚ました。日の傾き加減で言えばまだ昼にはなっていなさそうだが、それなりには時間が経っているようだ。

「お、起きたか」

「おう」

 カミロが声をかけてきたので俺はそれに応える。ということは、少なくともフランツさんとカミロが見張りを交代するくらいの時間は経ったということか。

 俺はうーんと伸びをした。かぶっていた毛布を馬車に放り込む。


「そろそろ出発するか。途中の町にはどのみち立ち寄れないだろうから、帝国を出るまでは野営になるし、途中も小休憩だけになるが」

「最悪、街道から外れることも考える必要があるな。カミロはこの周辺の地理には詳しいのか?」

「街道の近くならなんとかな。地図も持ってはいる」

「それならどうにかなるか」

 地図があるのか。とは言っても国土地理院発行、みたいな精細なものではないだろう。この世界だとそんなものは完全に軍事機密だ。

 それでも今大体どのあたりにいて、どっちの方に行けばいいのかおおよそでも分かればいい。目的は帝国から出ることだからな。


 カミロはフランツさんを、俺はヘレンを起こして馬車に乗せる。俺とカミロで辺りを片付けて馬車に乗り込んだ。

 日も昇ってきて、街道には徒歩の避難民も増えてきた。その中を俺たちの馬車は比較的ゆっくりと街から離れる方向に進んでいくのだった。

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