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鍛冶屋ではじめる異世界スローライフ  作者: たままる
第6章 帝国革命編
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作戦開始

 翌日、俺たちは自由市での出店をやめて街へ出た。

 カミロが言うには「2日商売して1日他のことをするのは別に怪しむようなことでもない」らしいので、その辺りは大丈夫だろう。

 今日はいよいよ怪しい一箇所に探りを入れる日である。今の時間は朝を少し回ったくらいだ。


 馬車も宿屋に預け、3人で街路を行く。初日に来たときにも思ったが、王国と変わらずここも様々な人種がいる。

 獣人もいれば、マリートもドワーフもいる。エルフは生活に必須な魔力が足りないのでここでも見かけない。

 王国の街と少し様相が違うのは巨人族が目立つところだろうか。

「“向こう”と違って巨人族が多いな」

 俺はカミロに聞いてみた。

「ああ、巨人族は元々帝国に住んでた種族だからな。長距離を移動するには不都合も多いし、大半が帝国にいるのさ」

「なるほど」

 巨人族のところに人間が来たのかそれともその逆かは分からないが、例の600年前の大戦争の時に手を組んでからは仲良く(?)暮らしているということなのだろう。

 よくよく屋台の様子を見れば、人間達の値段の他に巨人族向けの値段が書いてある。

 体の大きさに見合って補給物資がより多く必要なのだとしたら、遠征には不向きというのは分からないではないな。


「彼らが“あれ”に参加する可能性は?」

「そりゃ大いにあるさ。彼らも帝国の一員だ。扱いは人間たちとそう変わらないんだし」

「そうなったら大混乱だな」

「戦力としては大きいからなあ……」

 巨人族の体に見合った大きさの武器なら、それが振るわれただけでも十分脅威であることは言うまでもない。

 もし彼らが革命に参加すれば、ほとんど攻城兵器と変わらない脅威だろう。その時の防御側の恐怖たるや察して余りある。

 逆に言えばその場合の混乱も大きいだろうから、救助のときに発生していたら乗じれば脱出が楽そうだ。


「例の場所はこの先ですね」

 フランツさんが足を止めた。街の少し外れだが、外周と言う程でもないような場所である。

「思ったより中心に近いな」

 俺が言うとカミロが答える。

「そりゃ外周だと運んで行くのに目立つからな。そのうち移送したりするなら少しだけ外れの、さっと人混みに紛れられるような場所がいいんだよ」

「俺たちにも都合はいいな」

「だな」

 少し奥まっていて入り口はよく見えない。だが余り覗き込んだりすると完全に怪しいし、顔を覚えられるのも不都合がある。

 俺たちは裏手に当たるところに向かって歩いていった。


 目的の場所の真裏には別の倉庫が建っている。間は空いているようだが、直接目的の場所の裏には侵入できそうにない。

 道の両端には石造りの倉庫が立ち並んでいて、あたかももう1つの防壁をなしているかのようだ。

 俺たちの他にも数人が道を行き交っているので、俺たちはそれに紛れて前を通り過ぎた。


「中が見えないのは当たり前としても厳しいな」

 かなり行き過ぎてから、カミロがそうこぼす。

「倉庫だからなぁ。どこかから様子だけでも伺えればいいんだが。下水とかはないのか?」

「あるにはあるんですが、倉庫の下を通す理由がないですからねえ……」

 俺の疑問にはフランツさんが答えた。となると、もし居たとして下水道から逃げる手段は使えないということになる。

 人を囚えておくのに逃走経路を用意する必要もないしな。

「どうしたものかな」

 カミロが歩きながら考え込む。


「1つ俺に考えがある」

 その様子を見て、俺はカミロに声をかけた。


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― 新着の感想 ―
[一言] これ救出したら匿うって名目でまた「家族」が増えるのかなあ
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