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鍛冶屋ではじめる異世界スローライフ  作者: たままる
第6章 帝国革命編
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夜の情報収集

 その日の晩飯は宿でなく酒場でとる。情報収集とその裏取りのためだ。

 情報収集をするためなら派手な方がいいが、目立ちすぎると今度はその目的の裏を探られかねない。

 一応カバーとしてこの街で商売を始めたいとはしているが、実際にはそうしないので、どうしてもどこかには綻びがでる。

 だからそれがバレない間にカタをつけておさらばする。可能なら何かの混乱に乗じて逃げられるのがベストなのだが、そこまで狙う時間があるかどうかは微妙なところだな。


 なので情報収集も「この街は商売するには良さそうだ」だとか「そのためには倉庫が必要だが新しく建てるのは無理だから借りなければ」とかそんなことを匂わせるだけだ。

 それで集まる情報は大したものではない。だがそれを精査すれば必要な情報からまた1つ消すことができる。

 そんな風に情報を集めながら飯を食って(酒はほどほどにした)、俺たちは宿へ戻った。


「さて、今日集めた情報だが」

「どうだった?」

 カミロの部屋に男3人で集まって話を始める。

 俺はそっちには疎いから、基本的に精査するのはカミロとフランツさんの仕事になる。

「6つほど該当するところがありましたが、3つはシロですね。1つ確度が高そうなところはありましたが、決め手になるものはないですね。他の2つは疑いありではありますが、さっきの1つほど確度が高そうというわけでもありません」

 フランツさんの報告を聞いて、俺は口を挟んだ。

「じゃあ、その1つを当たってみるのか?」

「それはちょっと時期尚早だな」

 俺の言葉にカミロが返す。

「もう少し確認が取れないと、忍び込んでも普通の賊と変わらん事になりかねない」

「ふむ……」

 それも確かにそうか。乗り込んでもヘレンがいなければ、普通に盗みに入った盗人でしかない。

 それだけならいいが、わざわざ荷物の少ないところに忍び込んだ賊をヘレンを囚えている連中がどう思うかわかったものではない。

 ここは慎重に行くべき、と言うカミロのほうが正しそうだ。

「わかった。なら俺はもう少しただの鍛冶屋をしておこう」

「頼んだぞ。まぁ、革命の準備次第ではそうも言ってられんがな」

「そうなのか?」

「もし始まったら、可能性の高そうな方から押し入る。どうせ混乱してるんだ、誰が入ったかなんてわかりゃしないし、何よりなにが起こるかわかったもんじゃないからな」

「なるほどね」

「とりあえず明日は絞り込みつつ、確度の高いところへのアプローチを考えることになります」

 フランツさんが話を引き取ってこの日は解散となった。


 翌日、この街に来て2日目も似たようなものである。昨日修理を依頼してきた男が宣伝でもしてくれたのか、剣の修理の持ち込みがちょいちょいあったくらいだ。

 いずれも銀貨1枚での修理なのでそれなりの売上になっている。好評なのはありがたいのだが、今回の目的はこれじゃないので複雑な気分だ。

 この日も酒場で夕食をとって宿屋で確認をする。

「やっぱり確度の高い1件がクサいですね。人の出入りも殆どないのはそこだけです。他2件は荷物の出入りはともかく人の出入りは割とありましたし」

「ふむ……」

 フランツさんの報告にカミロが頭をひねる。いつ誰が(無論契約した人ではあるのだが)来るかわからないようなところに秘密を隠しておけるはずもない。


 しばらく考え込んだカミロが口を開いた。

「よし、それじゃあ明日は可能なら中の様子を探ろう。確定したらいよいよ救出を開始だ」

 いよいよか。その時が来たら全力を出してやる。そう思いながら俺はヘレンの今しばらくの無事を祈るのだった。

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