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鍛冶屋ではじめる異世界スローライフ  作者: たままる
第6章 帝国革命編
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潜入1日目

 街の喧騒の中をゆっくりと進んでいって、やがて目的地である宿屋に辿り着いた。

 そこそこの大きさでなかなか立派な店構えのところだ。

 カミロは宿の人間に1週間ほどの逗留であることを告げ、3人分の部屋を確保した。今回は御者さんも一緒に泊まる。

 この御者さん、もちろんただの御者なだけではなく、情報収集もするらしい。馬車の荷物は宿の人間に別途料金を払って見張って貰う形だ。


 逗留するのに必要な荷物を部屋に運び込み、一旦カミロの部屋に全員で集まった。

 俺はカミロに話しかける。

「結構立派なところにしたんだな」

「ある程度しっかりしたところでないと、ナメられて大した情報が集まらないからな」

「なるほど」

「それに今後の情報収集にも関わってくる」

「と言うと?」

「倉庫の情報を探すんだから、儲かってるふうを装わないといけない。で、俺とエイゾウは自由市に出て商売をする。本当の目的が何かは言うまでもないよな?」

 俺は頷いた。

「“ここに店を出そうと思っているんだが、倉庫を知らないか?”ってことだろ」

「そういうこと」

 この街の何処かに今もヘレンが囚われていると思うと、一刻も早く助けてやりたいと気が逸るが、こればっかりはどうしようもない。

 御者さん――フランツさんというらしい――が口を開く。

「私は?」

「君は我々が自由市に出ている間の情報収集だな。大きい割に荷物の出入りが少ないところを探って欲しい」

 カミロが返すとフランツさんは「分かりました」と頷く。

「とりあえずは明日様子を探るとしよう」

 カミロの言葉に俺とフランツさんはもう一度頷いて、この日を終えた。


 翌朝、馬車を自由市まで持っていく。勿論フランツさんの操作である。商業都市だけあって、ここの自由市はかなり大きい。

 中にはほとんどここで固定した商店を構えている商人もいるらしいことを考えれば、大きさの程もわかろうというものだ。

 ルール的なものはほとんど俺が行っているあの街の自由市と変わらない。広さに応じた場所代を払って、売り場の台がないやつは借りて空いてるところで商売だ。


 今回俺たちはそこそこの広さのところに陣取る。本気で商売をするつもりでもないので端の方の位置だ。俺が簡易の炉を使うしな。

 カミロが前に立ってナイフやらを並べて商売開始だ。時々切れ味を客にアピールしたりしている。

 その後ろで俺が炉に火を入れて使えるように準備していると、1人の男がやってきて、腰の剣をカミロに差し出す。

「こいつは直せるか?」

 言われたカミロは俺の方を振り返った。俺は立ち上がって差し出された剣を抜く。

 綺麗だが辛うじて鞘に収まっている感じで、歪みも出ているし、刃こぼれもひどい。材質は……チートの感覚によれば鋼だ。なら余裕だな。

「直せますよ」

「どれくらいかかる?」

「1時間ほどですかね。刀身は研ぎますけど、いいですね?」

「ああ、もちろんだ」

「じゃあ、お預かりします」

「頼んだ」

 男はひらりと身を翻すと、立ち去っていく。


「まさか、ちゃんと鍛冶屋の仕事をすることになるとはね」

「これで評判が上がったらこっちに引っ越すか?」

「馬鹿言うなよ」

 俺とカミロは笑い合い、俺は剣を金床に置いた。さて、一仕事しますかね。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] まだ途中までして読んでないけど 登場人物が15分とか一時間とか話してるけど 板バネもなかったような文明の世界に時計あるの? 日時計とかはあるだろうけど15分とか1時間みたいな時間感覚は…
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