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鍛冶屋ではじめる異世界スローライフ  作者: たままる
第6章 帝国革命編
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再びの依頼

 それから幾日かはいつもどおりの作業をした。ナイフと剣の製作である。リケが通常モデル、俺が高級モデルなのもいつもどおり。

 だが、少し違っているのは俺が作る速度が上がっていることだ。これはチートが体に馴染んでいるのか、それともチートそのもののレベルが上がっているのか、そのどちらなのかはわからないが、やはり新しいものを作るたびに速くなっていくのは間違いなさそうである。

 であれば、今後1日程度ずつでも新しいなにかを作る時間をもうけたほうが良さそうだ。それで新たに売れそうなものがあればエイゾウ工房のラインナップに加えてもいい。カミロのところで売れ筋のものを聞いておいたほうがいいかな。


 そして納品の日がやってきた。荷車に荷物と自衛用の武器を積み込んで、お出かけと分かって上機嫌なクルルを繋いだら出発である。

 ガラゴロと森の中を行く。リケが操縦に慣れてきたこともあってか、なかなかのスピードだ。あの虎はもう元の住処へ帰っただろうか。

 なるべくなら熊と出くわしてお互いが怪我などしないに越したことはないんだが。時折、車輪の音に混じって鳥の声がかすかに聞こえ風景が流れていく中、俺はそんな事を考えていた。


 リケの操る竜車はすぐ街道に出る。ここからは更に速度が上がっていく。今回の一番大きな違いは投射武器が3つ増えていることだろう。森の側はともかく反対側は平原だし、見つけ次第撃ち方はじめでいいのは心強い。


 それが分かっていたわけでもないだろうが、速度はともかく心情的にはのんびりと街道を進み、街についた。ハルバードを持った衛兵さんに会釈して街に入る。前に来たときよりは多少マシな顔になっているように見えるから、おそらくはマリウスがちゃんと通達を出してくれたんだろう。


 街の中をゆっくりと進む。前に来た時よりもジロジロと見られることが減っている。来る回数自体はそんなにはないが、そういうものだと知られてきたということだろうか。街は活気があるが、それよりも慌ただしさのようなものを感じる。

 賑わいというよりはバタバタの方が近いと言えばいいだろうか。俺たちはやや不穏な空気を感じながら、カミロの店に到着した。


 倉庫に荷車を入れて、クルルを裏手に連れて行き、商談室へ向かう。少し待つとカミロと番頭さんがやはり少し慌ただしく入ってきた。

「忙しそうだな」

「まぁ、ちょっとな」

 カミロがこういう言葉の濁し方をするときはあまり良くないときだが、一旦スルーしておく。まずは商売の話が優先だ。それはカミロも承知しているだろう。

「持ってきたのはいつもどおりだ。荷車に投げ槍と弓を載せているが、そっちは売り物じゃないから気をつけてくれよ」

「分かった」

 カミロが番頭さんのほうに視線を向けると、番頭さんは頷いた。

「こっちは種芋は手に入った」

「おお、そうか。ありがたい」

 これで芋が手に入れば、以前よりも森に引きこもりやすくなる。勿論芋だけに頼るわけにはいかないので、多少ではあるが。

「北方の調味料の方は手配中なんだが……」

「だが?」

「帝国の方で問題が起きていてな。そっちの都合で今は王国まで運び込むのが難しい」

「問題か……。気長に待つと言ったんだ、気にしないでくれ」

「すまん、助かる。それでその問題について、1つ協力して欲しいんだが」

「俺には後ろ盾も何もないぞ?」

「そっちは期待してないよ」

 俺の言葉にカミロは苦笑する。エイムール伯爵家の力は借りられるかも知れないが、そっちならカミロは俺を介する必要ないしな。


「その問題解消の一環として、お前にはまた武器の大量生産を頼みたい」

 カミロは単刀直入にそう言った。

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