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鍛冶屋ではじめる異世界スローライフ  作者: たままる
第5章 荷車と魔族の刀編
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部品生産

 懐かしい感覚を味わいながら、板金を伸ばして細長い板状にしていく。長さや厚みなんかはチートだよりだ。硬さは特注モデルでやる。

 鋼をただ伸ばすだけではあるので、1本目はすぐにできあがる。バネ1箇所辺りに7本ほどは長さを変えて必要だから、同じようにして伸ばしたものを用意した。1番長いものだけは両端を丸めて、小さな筒がついているような形にする。

 ナイフを作るときならこのまま形を作っていくのだろうが、今日はこのナイフになる前の状態のまま焼入れなんかの処理をする。そう言えば前の世界でもトラックの板バネはそこから削り出してナイフにするのにちょうどいいんだっけか。

 今の俺は逆にナイフの材料から板バネを作っている。そう思うと、なんだかちょっと面白い。


 板金を伸ばすのとちょっとした細工だけだったので、あっという間に作業を終えたが、前輪部分の試作で時間をとっていたこともあって、この日はこれでタイムアップとなる。細かいパーツや組付けはまた明日だな。


 翌朝、水汲みの時に試作品のミニ荷車を使ってみることにした。水瓶に蓋をかぶせて、縄でミニ荷車に固定する。これは商品運搬のときの、荷車の使用状況の簡単な再現でもある。昨日も実験はしたが、これで問題なければ問題ないことに確信が持てるというものだ。

 今朝もクルルは家のすぐ外で待っていた。クルルにミニ荷車を引っ張るための縄をくくりつける。

「今日はこれで頼むな」

「クルル」

 クルルはガラゴロとミニ荷車を引っ張りながら、一緒に俺と歩き始める。中身は空の水瓶だが、空の樽よりは重量がある。結構安定しているし、時々ガタンと揺れる以外では不安定になることもない。

 クルルも特に牽きづらそうでもないので、とりあえずは問題なしと判断する。本番は水を汲んだ水瓶を載せてからだ。


 湖について水瓶に水を満たしていく。ミニ荷車に載せると、流石に大きく沈み込む。重量としてはかなりあるからな……。

 水瓶に蓋をして首の部分に縄を絡ませて荷車に固定する。さあ、これでどうだ。


 結論から言えば、ミニ荷車自体は普通に成功できた。蓋をしていて縄で固定しているから水も漏れないし、倒れないのは当たり前なのだが、揺れがかなり少ない。これなら荷車につけたとしても同じ効果が期待できるな。

 ただ1つ失敗だったのは、クルルが少しつまらなさそうだったことである。どうも朝の水汲みでは荷車などではなく、自分で運びたいらしい。

 俺は苦笑しながら、明日からはクルルに運ばせることを約束した。


 朝の日課をすべて終えたら、俺の今日の作業はパーツ作りだ。リケ達は今日もショートソードとロングソードを作業分担で作る。


 今日作るパーツはバネをまとめるものや、バネを荷車に固定するもの、車輪や車軸、台車をところどころ補強するための薄い板などである。ミニ荷車を参考にして、実際の荷車に取り付ける大きさをチートで作っていく。

 このチートがなかったら、いちいち寸法を測って作って……とかになっていただろうとは思うが、そこはチートだ。バネを荷車に固定するパーツなんかはそこそこ複雑な形状だったりするのだが、正しい寸法で正しい形状を一発で作り出すことができる。

 俺なら仕組みさえ知っていれば、初期の自動車でも作れるかも知れないな。だが、そういうものを作るつもりは今の所は全く無い。なるべくこの世界に合わせた良いものだけを作っていきたいものだ。


 スムーズに流れる分担された流れ作業の横で、バタバタとワンオフのパーツを作成していく。その真反対の光景が少し奇妙にも見える。パーツの一揃いが完成し、俺は「どっこいしょ」と、パーツを抱えて荷車のところへ向かった。

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