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鍛冶屋ではじめる異世界スローライフ  作者: たままる
第16章

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1005/1006

いざ帝国へ

コミック版6巻、書籍版13巻の予約が始まっております。

どちらとも電子書籍版の予約も始まっておりますので、電子書籍派の皆様も是非。

コミック、書籍ともに書店特典もございますが、公式のご案内、もしくは書店様のご案内をご確認くださいませ。


コミック6巻

https://www.kadokawa.co.jp/product/322509001139/


書籍13巻短編小説小冊子付き特装版

https://kadokawabooks.jp/product/kajiyadehajimeruisekai/322509000910.html

書籍13巻通常版

https://kadokawabooks.jp/product/kajiyadehajimeruisekai/322509000908.html


なお、次回はコミック発売で特別編の予定です。そのため、年内の本編更新は本日が最後となります。

また来年も本編更新は続けて参りますので、どうぞお待ちいただければと思います。

「どうも!」


そう言ってカテリナさんが、御者台の上から手を振り返してくれる。アネットさんは俺を見ると、小さく頷いた。


俺は素早く馬車に駆け寄ると、荷物を荷台に載せて、自分も飛び乗った。


「てっきりカミロたちが迎えに来るものかと」


俺がそう言うと、アネットさんが静かに微笑んで言った。


「今回は王家も絡んでますし、いわゆる主流派の主導によるものですから」

「ああ、なるほど」


今度は俺がアネットさんに頷く。

王国が絡んでるからと言って、王家の人間が鍛冶屋を送り込むのに随伴するわけにはいくまい。

それは「主流派」と呼ばれる貴族たちも同じで、爵位も領地もない鍛冶屋に貴族が付き添う、というのは明らかにおかしい。


表向きには彼・彼女らが行くのに俺が随伴する、という形式を取れるだろうが、それはそれでしきたりを含む儀礼やなんだと、色々と準備が必要で、時間がかかりすぎてしまう。

それに、今回は帝国の要望ではあるが、あまり大事にしたくないようなので、どうしても目立ちすぎることにはできない事情もあった。


王家の係累で、〝黒ベールの目〟という情報機関に属するアネットさんと、主流派の貴族の一人であるマリウスのところにいて、家の中の仕事はあまりしないらしいカテリナさんを俺につける、というのはベストな選択なのだろう。


「マリウスはどうしてます?」


カテリナさんもアネットさんも、俺とマリウスの関係は知っているので、構わず呼び捨てにしてカテリナさんに尋ねた。


「お元気ですよ。奥様もお元気にしてらっしゃいます。ああ、そうそう、クルルちゃんたちにまた会いたいと、言付かってます」

「あー、そうですねえ。帰ったら折を見てお伺いします」

「お願いします」


そう言ってカテリナさんは笑った。この様子なら、マリウスのところにも危険が迫っているということはなさそうだ。


一方で、立場的なもの以外にも、この2人が俺の付き添いとして選ばれたということはだ。


「公爵派に動きがありそうなんですか?」


荒事に近いところにいるだろうカテリナさんと、情報機関のアネットさんということは、主流派に対抗してあれこれ企て、俺たちエイゾウ一家にもちょっかいをかけてきている公爵派が、この道中でなにか仕掛けてくるかも、と関係者が考えているのでは、と俺は思ったのだ。


「どうでしょう。最近はかなり大人しいですが、殿下は力を蓄えているのだとお考えのようです」


アネットさんの上司たるルイ王弟殿下は、積極的には仕掛けてこないだろうと考えているらしい。


「ただ、最小の手間でエイゾウ様を亡き者にできる機会ではありますので」

「確かに」


苦笑しつつ、俺は再び頷いた。

少人数で街道を帝国へ向けて進んでいる、という探すところが分かりやすい状態なうえ、前後に誰もいない状態も多い。

今は片方に〝黒の森〟があって、どんな危険があるやも知れない、と思われているだろうが、 そうではない森もこの先にはたくさんあったはずだ。

そういう場所でワンチャン狙う可能性は残っている、と言われれば、それは確かにと頷かざるをえないだろう。


「いざとなればお守りしますからね!」

「エイゾウ様のほうがお強い気もしますが……多勢相手もありますし、私も及ばずながらお力添えしますので」


うら若い女性2人に守ると言われて、昭和のオジさんたる感覚だとどこかむず痒いものがあるが、ここは申し出をありがたく受け取ることにする。


「なるべく自分の身は守れるようにしますが、いざと言うときは宜しくお願いします」


俺とアネットさんは頷きあい、それができないカテリナさんがグッと力こぶを作る。


3人の笑い声を乗せた馬車は帝国へと進んで行った。

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