表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/251

弁明――前書き

0章は、少し冗長です。

流し読み推奨。


 姓はミラ、名はマロリー。

 私の帰化名であり、元の名とはやや異なる。

 名の方が苗字に見られる事があるが、マロリーの方が名であると明記したい。

 日本の友人達からは良く、あの有名なデンプン麺の名前で呼ばれる。

 気に入っている。

 

 当日記の原文著者であり、これからプライベートなどを仔細書き記すであろう女性の生業と同じ、フリーランスの技術者でもある。

 その女性のプライベートを記す事に関して、許可は本人から得ているが、詳細はあまり伝えていない。

 なぜ許可を得る事ができたのか、正確な理由は不明だが、それなりに交友が深い記憶はあるため、機会があれば、改めて何かの折に尋ねてみたい。


 その女性について書き記してゆく前に、著者自身について特筆すべき事が一つある。

 技術者となる前の前職、その特異性について触れたい。

 その職業の名を、日本語で端的に記すなら『神』であろうか。

 なんとも、おこがましい名称ではある。

 とはいえ、便宜上の『神』である。

 全知全能や、世界の破壊創造などという壮大さとは無縁な職分を持つ。

 一部に埒外な者も居るが、あくまで宇宙全体という意味での世界全体や、限定された一部のエリアに対して、オブザーバーのような立場で関わる職種の事を、そう呼んでいるに過ぎない。

 もっとも、声の大き過ぎるオブザーバーも、多数存在するが。


 その便宜上の神という職、基本的には永久就労職だが、一身上の都合、もとい一世界上の都合により辞する事となったその理由は、ひとまず置いておこう。


 その神の職を辞して以降、現在の職に就き、大規模なプロジェクトをいくつか終えて一息ついていた先日、業務委託系のとある依頼を受けた。

 

 それは、以前プロジェクトを共にした、同業の技術者に関する話であった。

 その者が、先に記した女性である。

 依頼内容は、その女性のリサーチ、及び業務経過観察との事。


 依頼にはそう記されていたものの、経過観察と記すのは聞こえが良過ぎるかもしれない。

 正しくはストーキング幇助。

 更に正しく記すなら、幇助というか端的に言ってもはや、ただの盗撮。

 観察者が同性である事は、言い訳にもならないであろう。


 今現在、目下にはその女性が見えている。

 単に見えるばかりか、過去の様子や、その思考を辿る事まで可能であり、そのためのツールを扱えるからこそ依頼されたのであろう。


 なぜこのような事を、という話ではある。

 一応名目上は、この女性がその便宜上の神という物に、新たに任命される事が内定してしまったためである。

 任命である。

 依頼や、スカウトでは無い。

 誘拐、拉致とも言える。

 それにより、この女性の来歴把握、及び就任後の就労状況監視が求められたという事になる。


 要するに、新人の盗聴、及び盗撮。

 不本意ではあった。

 しかし、これがまた実際、試しに覗き見たところ、存外に興味深いものであったため、正式受諾後、ここに仔細つらつらと書き記して保存して、あわよくば布教というところまで行き着いてしまった。


 以上が、弁明の全てである。

 いや、前書きか。


 ともかく、これよりリサーチ、及び経過観察を始める。


 



 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ