八章 〜おや、花が散ってしまいましたね〜
皆さんお久しぶりです。色々忙しくてなかなか更新してませんでした。笑
皆さん、前話の内容を覚えていますか?
いいんですよ、正直に言って。ちなみに僕は、覚えてませんでした。笑
住人の避難も終わり、約束の時間を待つ中、
「おいおい〜、雷、武器屋の店主と喧嘩したらしいじゃないかー。」
と、ミガリウッドに言われた。
「あぁ、それには事情があってだなぁ。」
と、俺が言うと、
「事情?なになに?詳しく聞かせてくれよ。」
と、食いついてきた。
「それはな、あの武器屋の店主な------。」
と、俺が言いかけた時、
ドゴーン!
大きく空間が揺れた。
「よぉ、風神川雷。あれ?全然疲れていなさそうだなぁ。」
と言いながら、ウルフが現れた。
「やっぱりお前か。」
と、俺が言うと、
「あれ?バレてたの?」
等とウルフと会話する中、ミガリウッドはキョトンとしていた。
だから俺は、
「このコートは、武器屋に特注で作ってもらったものだ。いくら武器を身につけてなかったとは言え、流石に自分で作った物くらいは覚えているだろう。つまり、あいつは偽物。しかも、あいつが逃げ出したあと、街の人達は、『何をしていたんだろう。』と言っていた。つまり、偽商人が、催眠系の魔法で街の人達を、操っていた。そうだろ?」
と、説明した。
ミガリウッドも、話を理解出来たようだ。
ウルフは、
「くっくっく、ご名答。」
そして、立て続けに、
「だがな、俺は王より『タイホー』や、『バクダン』それに、『ピストール』を授かっている。どれもここにしか存在しない物だ!」
俺は、一切動じず、
「クラタール、フィガリット」
と言って、剣を出した。
それを見てウルフは、
「ふはははは、剣などで我々の武器に対抗できると?笑わせてくれる。おいお前達!1発だけ『タイホー』を撃ってやれ!」
すると、やつの手下が、1発だけ撃ってきた。
俺は、ミガリウッドを守るように前に1歩出た。
それを見たミガリウッドは、
「あ、危ないぞ!雷!」
と、言われた。
それとほぼ同時に、弾が俺のすぐ目の前に来た。
ドゴーン!
ミガリウッドは衝撃で少し後ろに飛ばされた。
「おい!雷!」
と、ミガリウッドが俺を心配して声をかけた。
それと同時に煙が晴れた。
「ミガリウッド、俺は大丈夫だよ。」
と言いながら、真っ二つに割れ、地面に突き刺さった弾を剣先で指した。
ウルフが動揺する中、俺は
「俺はな、知ってんだよ!『大砲』も、『爆弾』も、『ピストル』もな!」
と言って、
「ワガケシンヨワレヲマモリタモウナ。ダブルス!」
と、唱え分身し、さらに
「ケシンヨサラニフエロ。エンドレス!」
俺は、大量の化身と共に奴の部下に攻撃を仕掛けた。
ドカンドカンと、大砲の発射される音や、爆弾の破裂音などの近代兵器音が鳴り響いた。
そして、どちらも攻撃を続けた結果、俺の化身がギリギリで勝利した。
俺が、元々立っていた位置に戻り、化身を消すとウルフが、
「ほう、なかなかやるな。だかな、我の特殊魔法のことも忘れるなよ!」
ウルフは、あの硬い石の他にも、下の石や、大砲の欠片、爆弾なども同時に浮かせてきた。
「ワレノソクドヲアゲヨ。スピードブースト!」
俺は自身のスピードを上げ、勢い良くその場を飛び出した。
走りながら、
「ワレノチョウヤクリョクヲアゲヨ。ジャンプブースト!」
俺は跳躍力も上げた。
そして、走りながら跳んだ。俺は高く上がった。そして、民家の屋根の上に着地し、次々と屋根の上を飛び越していった。
ウルフは、自身の魔法で俺に一点攻撃をしてくる。もちろん俺は避ける。抜けた弾等をミガリウッドが受け止めている感じだ。避けてるとは言え、爆弾等だと、さすがに少し攻撃を食らってしまう。そこで、後方支援として、リンが俺とミガリウッドに継続治癒魔法をかけている。
ランと、シルは、ミガリウッドが抑えきれなかった弾を2人で弾いている。
俺はさらにスピードをつけ、壁を走った。
その後、ウルフの隙をつこうと走り続けていたが、一向に隙は出来ない。
建物と、建物の間をジャンプする瞬間、俺はふと下を見た。
俺の目には、建物の影でうずくまる、1人の少女が写った。
その後は一瞬だった。俺の中に戸惑いが生まれた。それをいい事にウルフがここぞとばかりに攻撃を仕掛けて来た。俺は、その攻撃の衝撃波にやられ、吹き飛んでしまった。幸い、ミガリウッド達が攻撃を防いでくれたので、軽傷で済んだ。
俺はその後、建物の下に落ちた。
俺は一瞬気絶してしまった。
目を覚まし、起き上がると、さっき上から見つけた少女が俺の事を心配そうに見つめている。
ウルフはそんな事お構い無しに、攻撃をしてきた。
俺は急いで少女の前に立ち、
「スレイヤー!」
と言って、ドラゴンスレイヤーを呼び出した。
そのまま、
「竜化!」
と言って、竜神の姿になった。
そして、俺はその少女を抱きかかえ、後方のリンの所に行って、
「ちょっとこの子を見ていてくれ。」
とだけ言って前線に戻った。
俺は翼を広げたまま、ウルフの前に出た。
するとウルフが、
「やはり貴様だったか!川神風雷!」
と言ってきた。
俺は落ち着いたまま、
「あぁ、そうさ。」
といった。
ウルフは、
「おい川神、お前は双剣使いのはずだ。大剣1本で何ができる?」
「それはこれを見てから言ってもらいたいね。」
俺は、エグゼートを取り出した。
「ほぅ、そう来るか。」
そういいかながらウルフは攻撃の準備を始めた。
それに合わせて、俺もまた化身を6体出した。
気づけば、ウルフの浮かせていた爆弾などが消えている。多分全て使い切ったのだろう。
それを狙い、6人の俺達はいっせいに襲いかかった。が、少し時間が遅すぎたため、ウルフの硬石が出現し、攻撃が弾かれてしまった。
ウルフは、俺達に向かって無数の硬石を撃ってきた。
俺は2本の大剣に集中した。
そして、飛んでくる石に向かって斬りかかった。
スパッ。
硬石が切れるのを感じた。俺は硬石を切り続けた。
攻撃が止んで、攻撃による砂ぼこりが晴れて、事の重大さにようやく気づいた。
辺りは荒れ果てていた。俺がいた所は、ほとんど荒れていなかったが、化身は消え、化身の背後にあった建物は姿を変えていた。
俺が辺りを見回していると、ミガリウッドが倒れているのを見つけた。
「大丈夫か!」
と、俺はかけよった。ミガリウッドは、弱々しく、
「あぁ...俺は...大丈夫...だ...。それより...シルちゃんが...。」
俺は顔を上げ、辺りを見回した。瓦礫のしたから、シルの頭が出ているのを見つけた。
「おい!シル!」
俺は急いでシルに駆け寄った。意識がない。
ランが駆け寄ってきた。
俺は、
「ラン!大丈夫だったか?」
ときいた。
ランは、
「えぇ。危なかったけど、擦り傷程度で済んだわ。それより、シルがやばいんじゃないの?私に任せて!しっかりリンの所に連れていくわ!」
俺は、
「任せた!」
と言った。
俺はウルフに向かって、
「てめぇ!」
と言った。
ウルフは、にやけ顔で、
「おやぁ?君の化身が弱かったせいであの子達は巻き込まれたんじゃないのかい?人のせいにするのは良くないと思うよー?」
と言ってきた。
俺はブチ切れた。
「てめぇ、ふざけんなよ?俺は、被害を少なくするために、化身を集団で、俺と対角線上にスタンバイさせていたのに、なぜこんなに辺りがあれるんだ?てめぇがシル達を狙わなければ、こうはならなかったはずだが?」
と言った。
すると、ウルフは、
「ふふふ、くっくっく、ワーッハッハッハ!」
と、笑いだした。
そして立て続けに、
「まぁ、用があるのはお前だけだ、川神風雷。たがらな、その他がどうなったって俺は構いやしねぇんだよ! 」
と言ってきた。
「てめぇぇ!」
俺は、エグゼートを離し、スレイヤーを、両手で持った。
そして飛び上がった。
それを見たウルフも危険を感じたのか、自身の魔法で生み出せる最大硬度の硬石を出して、盾を作った。
そして、俺の振り下ろした剣と、ウルフの盾がぶつかった。
辺り一面にとても大きな衝撃波が走った。そして、ウルフも俺も、弾き飛ばされた。
俺とウルフはほぼ同時に立ち上がった。
そして、俺は
「くそっ...。」
と言い、ウルフは
「なかなかやるな...。」
と言った。
俺とウルフは同じような事を何度か繰り返した。
やがて、ずっと動き続けていた、俺の体力がほぼ限界を迎えた。
俺が壁に寄りかかりながらフラフラしていると、
「スレイヤーを地面に刺して、呼吸を整えろ。」
と、どこかで聞いた事のある、天の声が聞こえた。それは、武器庫で俺に双剣を進めた声だった。
俺は言われたとおりにした。
すると、空から大きな雷が俺に落ちた。
そして、俺は光の中へと姿を消したように周りからは見えた。
光が消えた。
今まで体感したことないような大きな力が自分の中にあることに気づいた。
俺を見たウルフはすごい物を見たという顔をしていた。多分ほかのみんなもそうだろう。
俺の顔が剣に反射しているのを見つけた。
よく見ると、俺の頭には、曲がった角が生えていた。
その角から感じるオーラの量は尋常ではなく、まるで自分の翼の色のオーラを吸い込んでいるかのように見えた。
俺は、改めて深呼吸し、
「スレイヤー、力を貸してくれ。」
と言った。
すると、すごい量の魔力とオーラが、スレイヤーに移動するのを、感じた。
俺の頭の中にふっと、呪文のようなものが出てきた。
「スレイヤー王技、ストームドラゴン!」
俺は剣先をウルフに向けて、1突きした。
すると、剣が砲台になったかのように、剣先から2本の黄色と緑の光線が出て、やがて交わり、竜の形になってウルフに襲いかかった。
ウルフは最高硬度の硬石でガードをした。
しかし、竜は、その石ごとウルフをくらい尽くした。
ウルフは、竜が消えると同時に消滅した。
俺はその場でフラフラと倒れた。
空から優しい雨が降った。
そこにレッドが来て、俺を家まで運んでくれたらしい。
俺は目を覚ました。
辺りを見回すと、3人が寝ているのが見えた。
俺は外の空気を吸おうと、外に出た。
空は満点の星空である。
すると、
「目が覚めたっすか。」
と、声をかけられた。
ふと見ると、例の少女がいた。
俺は少女に優しく微笑んだ。
「いきなりで悪いっすけど、あんた、何者っすか?」
と、不思議そうに聞いてきた。
俺が考えていると、
「ま、知ってるんすけどね。」
俺はため息をついた。
「あんた、ボロボロッスよ?風呂でも入ったらどうっすか?」
「ええ!?なんでまた急に...?」
「まぁまぁ。」
と、半強制的に風呂に入れられた。俺が湯につかっていると、
「んー!やっと入れるー!」
と、あの子が入ってきた。
「んな------!?」
俺が驚いていると、
「あ、言い忘れてたっすけど、あたし、男っす。ちゃんと色々着いてるんで。」
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ?!」
俺は思わず叫んでしまった。
それに反応したシルたちが入ってきた。
「ら、雷、初対面の女の子に何を...?」
と、シルに言われた。
「はい?」
俺がキョトンとしていると、リンに
「最低です...。」
と言われた。
「あのー...、何か勘違いをしていませんかねぇ...?」
と言うと、ランが
「私も雷と、お風呂に入りたーい!」
と言ったから、俺は、
「うん。ランは一旦置いとこうか。」
と言った。
そんな中、冷静に、
「あの、皆さん?あたし、男っすよ?」
と言った。
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ?!」
もちろん3人も俺と同じような反応をした。
少し落ち着いた後、
「あたしの名前はクルミ。年齢は14歳。簡単に言えばおとこの娘っす。11歳まで女として育てられてきたっすけど、娘が出来たって言って、その時に親から捨てられたっす。」
と、クルミが自己紹介をした。
俺は、
「えっと...クルミ?俺の力の事なんだけど...。」
俺が恐る恐るきくと、
「あぁ、あたし、捨てられてからずっと路地裏の孤児として住んでいたっすけど、避難の時に、来るなと言われたっす。あたしには帰る場所もないんで、口封じに殺してくれちゃっても構わないっすよ。」
と、目を合わさずに言ってきた。
俺は、少し考えた。
「そうだな、何か、得意な武器とかはないのか?」
「そうですね...。捨てられてから、一応ハンティングで生計を立ててきたので、遠距離武器は得意っす。」
「わかった。んじゃ、口封じのために、クルミを俺たちの仲間に入れよう。」
すると、クルミの顔がパァっと明るくなった。
「ほんとに...いいんすか...?」
「これから宜しくね。」
「はい!よろしくっす!」
こうして、俺達にもう1人仲間が加わった。
数日後。
俺達の家や土地が、突如、異空間に飛ばされた。
驚いて、みんな家の外に出た。
同時に、空からなにかが降りてきた。
「私は目無しのエンジェル。神国13幹部の1人よ。風神、貴様の心を読み取ったぞ。」
俺達は、そいつに武器を構えた。
すると、エンジェルが、
「風神、ふふふっ。コノモノガマモリトウオモウイノチ、ワレノメイニヨリタエヨ。」
俺はその詠唱を止めることが出来なかった。
すると、後ろの4人がバタバタと倒れた。
息がない。
「な、何を...?」
「ふふふっ、私は心を読める。貴様が守りたいと思っている命を絶ったまでよ。」
「て...てめぇぇ!」
俺は、竜化し、襲いかかった。
「マモレ。」
エンジェルがそう言うと、空から剣が降ってきて、俺の右の目辺りを切った。
八章 終