一章 ~日が沈みそうですよ~
どーもどーも、元ゆっくり系実況者だった僕がなんでこんなとこにいるんだって?そんなこと気にするな!
本編はじめるよー!
コロコロ...
俺を乗せた馬車は見たことが無い美しい花畑の中を、のんびりと進んでいた。
「んー、空気がいいなー」
俺が伸びていると、
「そうでございますね。」
と、ローブの人が機嫌をとってきた。
「はー。堅苦しいなー。」
つい、俺は言ってしまった。
「なにか、ご不満な事がございましたか?風来様?」
俺は呆れて、
「それだよそれ。その、『フーライサマ』っていうやつ。堅苦しいっしょ。」
すると、ローブの人は、
「では、いかがいたしましょう。」
と聞いてきた。俺は、
「んー、そーだなー、...川...神...風...雷...雷か...そうだ、俺のことは『雷』と呼んでくれ!」
すると、ローブの人は、
「分かりました、雷様」
と答えた。俺は、ため息をつきながら、
「...なぁ、俺ってさ、王様何だろ?なんか命令出来ちゃったりするの?」
興味本意できいてみると、
「ええ、もちろん出来ますよ。」
といってきたので、俺は、にやっと笑った。
「?」
ローブの人は、キョトンとしていた。
「まずー、敬語禁止な、つぎにー、名前を教えてくれ。最後にー、顔を見せてくれないか?」
出会った時から、この人は、ずーっとローブをかぶったままだった。するとこの人は、なれない様子で、
「分かりま...分かった。雷さ...雷。あと、名前はありません。」
そう言いながら、こいつはゆっくりと、ローブを脱いだ。
「なっ...?!」
フードのしたから、銀髪を腰まで伸ばした青い目の美しい、女の子が出てきた。俺はつい、
「かわいい...」
と言ってしまった。
すると、彼女の顔は、たちまち、赤くなってしまった。
「名前...本当にないのか?」
俺が言葉をつまらせながら聞くと、
「ええ。下の方の地位の人は名前を貰えないし、顔を見せることも出来ない。かといって、仕事をしていたからって、高い地位に着ける訳でもない。雇い主が気に入った人から昇格させていくから...」
彼女が悲しそうにいった。
「...なるほど...つまり、顔を見せられない低い地位の人は不利なわけか...」
彼女は静かに首を立てにふった。
「よし、きめた。」
俺が言うと、
「ど、どうしたの?」
と、キョトンとしながらいってきた。
「いや、何でもない。フードつけていいぞ。周りの奴らに怪しまれるだろ。」
彼女は、静かにフードをかぶった。
空が少し曇ってきたところで俺たちは、王城に着いた。
「さっき、町で雷の存在には皆さんお気づきになってると思うので、すぐに演説になるでしょう。」
俺は、
「が、がんばるよ...」
と言った。
俺は服装を整え、演説に向かった。
「演説は、4階のバルコニーからです。」
と言われたので、軽く、
「あいよ。」
と答えた。
いざ、バルコニーに立つと、心臓の鼓動が耳にも届くほど緊張していた。 眼下には、数千人の人々、更にマイクの音は全国一斉放送されるとか。俺は、恐る恐る演説を始めた。
「あぁ、えっと、ど、どうも皆さん。ぼ、僕は、川神風雷です。さっき、演説のことを聞かされて何もわからず、立っている所存でござります。」
したから、ちょっとした笑いが聞こえた。
「えーっと、急に王様という地位になれたのは嬉しい事ですが、どうにも確信を持てません。皆さんに質問です。僕の命令を、しっかりと聞きいれてくれるのでしょうか?」
するとしたから、すごい拍手と、歓声が聞こえて来た。俺は、ローブの彼女に少し、耳打ちをした。彼女は、とても驚いていたが、なんだか嬉しそうだった。歓声が終わるのを見計らって俺はまた演説を始めた。
「じゃあ、試しに1つお願いを聞いてもらおーかなー?」
と言うと、また、歓声が起きた。
「前へ!」
俺は言った。したからどよめきが起きはじめた。
「みんな、こいつのことは知っているか?」
すると、
『チッ、顔も見せられない、薄汚い地位の人間か。』
とか、
『あれは、王城の恥だ。』
などと罵声がとびかった。
「俺は今日、この時を持って、この最低地位のメイドを、最高地位の側近とする!王の命令は絶対だ。ちなみに名は『シルレ』とする!今日の演説は以上!」
そう言って俺は立ち去った。俺は帰り道、崩れるように倒れてしまった。
目を覚ますと、そこにはシルレがいた。
「雷、大丈夫?」
そう俺に話しかけてきたシルレは、もう、フードもローブもつけていなかった。
「あぁ、大丈夫だ。」
と俺は、疲れきった筋肉を無理やり動かして、笑顔を見せた。シルレは、
「ねぇ、雷?なんで、私はシルレなの?」
俺は笑ながら、
「あぁ、それはだな、お前の髪の毛が銀色だから、『Silver』の『Sil』でシル、青い目をしているから、『Blue』の『 l e』でレ、我ながらいい案だと思ったけど、不満?」
俺が少し不安そうにいうと、
「いや、大丈夫。むしろ、シルレではなく、シルと呼んでほしい。」
シルレは、頬を赤らめていった。
「分かったよ、シル。」
俺はにっこりと言った。
次の日の朝。
「なぁーシルー、街を案内してくれないかー?」
と俺が頼むと、
「別にいいけど、あんな演説をしたあとだから一応、武器は持っていこう。」
とシルレは言った。
俺と、シルレは、武器庫に向かった。すると、シルレは、
「私はもう、自分の武器を持っているから、雷は選んできていいよ。私、外で待ってるからさ。」
俺はうなずきながら、武器庫に入った。
武器庫の中の机の上に、片手剣が、不自然に置いてあった。俺は、しまい忘れかと思い、その剣を手に持った。すると、どこからか、声が聞こえた。
「そこの若者よ、そなたにあたいする、良い剣を置いておいた。片手剣だが、盾は要らぬだろう。その代わり、わたしが1つ秘密を教えよう。それはーーーーーー」
俺は、驚いた。
いわれた通りに、俺はその片手剣だけを装備して、外に出た。
「よう、待たせたな。」
シルレはなぜか。俺を見つめていた。
「なんだよ」
と言うと、
「ダメ...」
とつぶやいた。
「な、何がだ?」
俺はさっきの声がシルレにも聞こえていたのかとドキッとした。
「ダメ、その服、ダサい。」
と苦笑いしながらいってきた。
「おいおい、シルさんよぉ、あんただってまだ、パジャマじゃあーりませんかねー?」
そう言って二人で笑った。
俺は、着替え室にはいり、緑のネルシャツに、青いカーディガン、白いコートを選んだ。
外に出てもまだシルはいなかった。俺はそのへんにあったベンチの上でぼーっとしていた。
少し時間が経ってから、シルレがきた。
「どう...かな?」
とてもかわいかった。
紫色の服に、水色のスカート、青い裏地のしろいコート。
「おー!似合ってんじゃん!」
と俺が言うと、シルレの顔は真っ赤になった。
俺たちは、二人で街に出た。街は、中世のような、カラフルな家々に、活気のある市場。
街を存分に堪能し、俺達は何か食べられるものを探していた。
「お!あれ美味そうじゃん。買ってくるからまっててくれ!」
俺が行ったあとに事件は起きた。
シルレが座っていると、いかにも悪そうな二人組が近づいてきて、「なぁお嬢ちゃん、ちょっと来いよ。」
と言ってきた。
「やめ...ろ!」
シルレの声は一歩届かず、裏路地に連れて行かれてしまった。一人はシルレの手を持ち、一人はシルレの首元にナイフを突きつけた。
「お前さん、シルレとかいうやつだろ?お前、最低地位のクセに調子乗って王都をフラフラしてんじゃねーよ。」
と男はいった。
「ただで済むと思ったら大間違えですからね。」
と、シルレは必死で抵抗した。
「ふん、知るか、んな事。やっちまえー!」
バキッ。
男は壁に頭をぶつけ、気絶していた。
それを見たもう一人の男は、全速力で逃げていった。
「雷...!」
「よー、シル!間にあって良かったなー!」
その日の夜、俺はシルレを部屋に呼んだ。
コンコン。
「雷、いってもいい?」
「どーぞ」
シルレは静かに入ってきた。
「どうかしたの?部屋なんかに呼んで。」
「まぁ、こっち来な。」
と軽く声をかけた。
俺は、シルレに紅茶を出した。
「あ、ありがとう。」
少し混乱気味のシルレに話しかけた。
「なぁ、シル、この前俺が聞いた、王の事とかこの世界のことを詳しく教えてくれないか?」
と聞くと、シルレは難しい顔をした。
「いや、何というか、えーっと、そのー、」
俺はとっさにフォロー使用とした時、
「分かりました。」
と言った。
「まず、この世界の事です。この世界は、竜人族を中心に発展してきました。更にこの世界は、1位から60位までの国が存在しています。この世界を立ち上げた竜人国はもちろん、1位でした。そして、最初の王を決める時に、四人の男が決闘により、最初の王を決めたことがきっかけで始まった風習で、今までずっと続けてきました。しかし第三十五代目頭首は優しすぎました。いつも国のお金を貧民街の人々のためにつかってしまったため、国の経済力や、軍事力は衰退してしまいました。そんな国を立て直そうとと、第三十六代目頭首が立ち上がった矢先、ずっと1位を狙っていた、隣国の、『神国』に、ここぞとばかりに竜人国は襲われてしまいました。そのままどんどん順位は下がり、竜人国は60位にまでおちてしまいました。それを不満に思った、第九十二代目頭首は、国として認められていない村たちと協定を結び、商売などで、また国を立て直して行きました。そのまま竜人国は力を伸ばし、第百二十九代目頭首、川神雷神様がなんと10位まで登りつめてくれたのです。しかし、そんな中、雷神様はお亡くなりになりました。その直後、不満に思った、9位の国、『大西国』は、周りの、主な3箇所の村を襲い、破壊されてしまいました。そのため、王が現れる、異世界への門がひとつになってしまったという訳です。」
俺は
「なるほど...」
と言うと、シルレが、
「はい、さらに、風の噂ですと、また神国に目をつけられているだとか...」
俺はつい、難しい顔になってしまった。
「まぁ、ありがとな。」
そう言うと、
「もう少し、いてもいい?」
と聞かれたので、静かに
「あぁ。」
と答えた。
俺がトイレにいって戻って来ると、シルレは、ぐっすり眠ってしまっていた。俺は、シルレにベッドを貸してやった。
次の日、俺はソファーから起きると、シルレはもういなかった。
着替えて、下に下りていくと、いい匂いがした。
「おおおおお、おはよう、ら、雷」
シルレは顔が赤かった。
「どうした?」
と聞くと、
「ご、ごめん、昨日は、雷ベッドで寝てしまったみたいで」
シルレはあたふたしていた。
「いいよ。別に。疲れてたんだろ?」
「だ、だとしても、異性の部屋で、その、」
といってきたので、俺は、
「今日、やりたい事がある。」
と、話を180°回転させた。
「はい?」
シルレはキョトンとしている。
「襲撃された村に行ってみよう。」
と言うと、
「はい。」
と、何のためらいも無く了承してもらえたので俺もほっとした。
襲撃された村の一つ目に向かう途中、俺は、
「なぁシル、お前以外、あの屋敷にメイドは居ないのか?」
と聞くと、
「最低地位の人間と働きたいなんて誰も思いませんよ。」
と悲しそうに言った。
「でもなんで?」
シルレにそう聞かれたが、
「別に。」
といっておいた。
一つ目の村に着いた。
俺は思わず、
「こりゃ、ひでぇ。」
といってしまった。
村は燃え尽きていた。調査しても、何も残っていなかったので、次に向かうことにした。
次の村も燃え尽きていた。やはり、何も無かったので三つ目に向かうことにした。
「はぁ、次も燃え尽きてしまったかなー?」
と独り言を言っていた。
三つ目に着くと燃え尽きていない箇所があるように見えた。俺たちは、2手に別れて捜索した。
パサッ。
近くで何かが倒れる音がした。
音の方向に行ってみると、最低地位のローブをつけた子が倒れていた。
「おい、大丈夫か?」
必死になって声をかけると、「あそこ...家...まだ...妹が...」
俺は急いでその子を担いだまま、妹を助けに言った。
「大丈夫、まだ息はある。」
俺は二人を担いだまま、走って戻った。そこにはシルレがいた。
「あ!雷ー、おそいわよー!こっちにはなにもー...何?!その子達?」
シルレは驚いていた。
「まだ息はある。急いで城に戻ろう。」
そう言って、俺達は大急ぎで王城に戻った。
一章 終