第二話 人さらいと拷問部屋のウワサ
□□ 登場人物紹介 □□
ユッコ:高橋真由子 本作の主人公。やきもちやき。
マツリ:神代茉莉 ユッコの親友。空気読める人。
タッキー:滝川つばさ ユッコの彼氏。女難の相。
オカ氏:岡田孝志 オカルトマニアな少年。影薄い。
to-ko:東堂塔子 トラブルメーカー的存在。
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タッキー 「えー、ここはもともと裏野ドリームランドというテーマパークのあったところですが、今は見ての通り廃墟となってます。まだ昼間で明るいですが、今日はここでドキュメントタッチの短編ホラー映画を撮ろうと思います。メンバーは俺、タッキーと」
to-ko 「はーい、お色気担当のto-koさんと、オカルトマニアのこっちのオカ氏」
オカ氏 「紹介に預かりました。オカ氏です」
カメラマン 「そして、カメラマンの私マツリ。この四人で撮影にあたりますよ」
タッキー 「さて、マツリ、こっちを映してくれ。ああ、そうそう。ご覧くださいこの廃屋、今は当時の見る影もないですが、開園時にはドリームキャッスルという人気アトラクションだったそうです。しかし、開園していた当時から、ダークな噂がありました。はい、オカ氏、パス」
オカ氏 「説明しよう。裏野ドリームランドが開園していた当時、この近辺で子供の失踪事件が何件かありました。そして、どういう流れか、このドリームキャッスルには地下に隠された拷問部屋があって、そこに失踪した子供たちが閉じ込められているという噂が立ったのです。今日はその噂の真相を確かめるべく我々が調査に乗り出したところ、中に潜んでいた怪人に襲われるというシナリオで撮影いたします」
to-ko 「じゃじゃーん! そして、私がその怪人です。私が被っているこのマスクは、このランドのマスコットキャラ、その名もウラギ君をオカルトテイストにアレンジしたものです」
II 0:05
「ねえ、なにこの気味の悪いマスク」
私はそのマスクの気味の悪さに思わず動画を一時停止して、マツリにつっこんだ。
私はマスコットキャラであるウラギ君のイラストと、着ぐるみウラギ君の写真を見たことがある。ウラギ君はピンク色のうさぎで可愛らしい印象のキャラだった。だが、このマスクときたら…。ウラギ君はもうちょっとふっくらした顔で可愛げがあったはずだ。しかし、to-koが被っているそのマスクは、シリコンのような素材でできているように見えて妙に質感が生々しく、人の顔のラインに近い細面。それなのに肌の部分にあたるところはウラギ君と同じピンク色をしていて、気色悪いったらない。おまけに、耳はだらりと肩のあたりまで垂れ下がっている。そんな異形な様相で、表情は笑顔ときたもんだ。
「なかなか良い出来でしょ、ウラギマスク。特注品なんだよ」
「アンタねえ、これはひどいわ。リアルド〇えもんとか、リアルガチャ〇ンとかのイラスト見た時も恐怖を感じたけど、これはさながらリアルウラギ君ってとこかね。それにしても、このウラギって名前もどうかと思うよね。裏野のうさぎでウラギ君ってことだろうけど」
「うん、なんでも、ランドのオーナー社長がこの名前を気に入ったみたいで、この名前になったらしいよ。その社長、子供好きだったらしくって、時々ウラギ君の着ぐるみの中にに入ってたみたい。それでドリームキャッスルの前に立って、子供たちの相手をしてたみたいだよ。でも、ランドの経営が傾くと姿をくらましちゃったみたいだけど…」
「ああ、なるほど、思い出したわ。それで裏切りウラギ君? 確かウラギ君におかしな二つ名があったよなと思ってたんだけど、そうだわ、裏切りウラギ君! そうかそうか、そんな事情があったからあんな風に呼ばれるようになったわけだ」
しかし、なんで最初からあんな名前にしたかね。名は体を表すって言うじゃない。
「ねえ、早く続きをみようよ。ここから本篇だよ」
「はいはい、わかったわかった」