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しせつのはなしとせいかつのほご  作者: 鹿家加布里
就労移行支援施設期
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どこまで話せるものか

 就労移行支援施設へ通うための認可が、正式におりた。

 そのため、相互に契約書を取り交わすこととなった。

 就労移行支援施設に通う面々は、プライバシーの観点から言って、守秘義務が特に問われるものとなっている。

 そのため、今まで通っていた施設と比較して、格段に発表してよいかどうかの判断に迷うものとなる。


 どこの、どういう施設かわかってしまう表現。

 通所する人の個人情報。

 これらは、口をつぐむしかない。

 厳重な安全体制を要求される、まあ、言ってしまえば一般社会では当たり前な守秘義務が明記され、サインをかわさねばならない場だという事だ。


 今後、ここで書くに至っては、それが理由で取り出せない話が増えてしまうだろう。

 いや、確実にそれだらけになる。

 就労移行支援施設というモノの存在が、社会的に周知されていない理由は、これが原因なのか、と感じ入る。

 口外した場合の判例が、現状では存在しないのだから。

 こういう言い方をするのもどうかと思うが、通所する人々は、自分も含めてみんな無職だ。

 働き口を探している。

 そんな人々が、裁判を起こされるような面倒くさい真似をするだろうか?

 答えは否であるに決まっている。

 

 となってくると、話せる内容は、カリキュラムについてくらいのものとなる。

 これを少しでも周知する、ただそれだけでも、莫大な労力がかかるし、迂闊なことはかけない。

 自分は生活保護受給者だ、これを誰かが他者に話しただけでも、契約内容に抵触しかねない。

 しかし、こういったセーフティネットがあることは、知ってもらいたい。

 自分の経験が、後に続く人たちのためになればという心があるのだ。

 

 コンプライアンスが十全に機能している、と、言えなくはない。

 だが、情報の発信となると、難しい話になってくるのだ。

 施設見学に来る人は、週に一人か二人といった感触はある。

 だが、施設側には「内容をはっきりと見せる表現力」が欠落しているな、と思う。


 机に向かってパソコンを操作している光景だけを見せても、なんのこっちゃになる話だ。

 実際、自分が施設見学に来た時も「えー、これを見せられても善し悪しとか絶対わかんないわ」という感想を覚えた。

 一言「彼は今、発注書の書式を一から制作するトレーニングをしているんですよ」と、具体的に見学者へ伝えればいいことのはずなのに、それをやらない。

 まるで北朝鮮のようだが、施設側は何月何日の何時ごろ、見学者が来ることを事前のやり取りで承知しているのだ。

 活動内容を見せる人員を用意すること、志願を募ること。

 契約書を見るにつけ、ここが難しい線引きを迫られているんだろうな、とは思う。

 と同時に、そのボトルネックさえ解消すれば、世間への周知はさほど難しい話ではなかろうと自分は思う。

 

 とはいえ、やはり障碍者を受け入れている施設。

 話を向けたその日は良くても当日やっぱり嫌だ、という人間が出てくるのは間違いない。

 この施設の存在を知ってもらわないといけないのは、運営者側も同じ思いだろう。

 しかし、大々的に取り上げていいものかという尻込みの理由もわかる。

 こういう事こそ行政が動いてくれなければならないのに、福祉に使われる税金は無駄だという論調が根強い環境下では、そういう行動に出るのは難しかろう。

 結果、障碍者となった者の就労の機会と場所は拡がっていかない。

 

 自分は、就労移行支援施設を使う側の人間なのに。

 それを運営する側の苦難に思いをはせてどうしろというのか。

 居られて原則二年の施設、つまりは専門学校くらいの期間しか用意されていないわけなので、自分が悩んでも仕方がない。

 だが、それでも、という思いだ。

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