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しせつのはなしとせいかつのほご  作者: 鹿家加布里
就職活動開始期
57/127

やってしまった

 自分は、いきなり他者から触られるのが極端に苦手だ。

 そのせいで、やってしまった。

 背後から、スタッフに肩を揉まれた。

 一瞬、頭が真っ白になり、全思考がストップした。

 置かれた状況を把握すると、自然と体が動いてしまっていた。


 スタッフの顎に向けて掌底を打ち込み、水月に肘を叩きこんでしまったのだ。

 手加減なんか、一切ない。

 とっさの反応なので、悪意は無かった。

 スタッフには、ごめんなさいというよりほかは無かった。

 冗談やコミュニケーションだということはわかっている。

 わかっているが、嫌なものは嫌なのだ。

 幸いなことに怪我をさせたり失神させたりといったことは無かったが、悔恨の念は残る。

 普段はおとなしい性格の自分が、こんな反応を見せたことに、スタッフは驚いていた。

 しかしこちらとしても、普段から触られるのが苦手だと言っていたにもかかわらず、なのだ。

 極端な反応を示すとは思っていなかったのだろう。

 同好の志の彼と話していて、隙があったというのもまずかった。

 なにより、暴力がない環境下でやらかしてしまったのだ。


 この件に関して、おこられることは無かった。

 スキンシップの一環のつもりが、これほどまで過剰な反応を示すとは思われなかったのだろう。

 悪い事をしたな、と思っている。

 まだまだ、施設に慣れ切っていないのだろう。

 実は以前にも、こういったやらかしはあった。

 施設利用者から、いきなり後ろから抱きつかれたことがあったのだ。

 その時も、拳が出た。

 やってる側は冗談のつもりなんだろうが、やられる側は攻撃対象と認識してしまう。

 触られるのが嫌い、というのは、こういうことなのだ。

 これが子供なら、ここまで過剰反応はしなかったはずだ。

 だが、相手はいい年をした人たちだ。

 同じように精神を病んでいても、平等に扱うというのは、こういうことなのだ。

 嫌なことをされれば、ぶん殴る。

 病んでいるから許す、許されるではないのだ。

 

 確かに、こらえ性が無かった自分にも非はある。

 それは認めよう。

 だが、くどいが、嫌なものは嫌なのだ。

 施設の活動で、コンビを組んで、手を繋いで、といったものはある。

 個人的には、たかが手を繋ぐ、ではないのだ。

 命令だから仕方なく履行しているだけ、なのだ。

 出来る事なら、参加したくないカリキュラムだ。

 だが、やらねばならない。

 分別は付けているが、イレギュラーには弱い。

 たかが肩を揉まれたくらい、で済む話ではないのだ。

 

 けがをさせなくて本当によかった。

 重ね重ね、何度もそう思う。

 しかしまた、危険人物リストに名前が載っただろうと思うと、気が重い。

 就労支援活動に悪影響が出ないかが、大変心配である。

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