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しせつのはなしとせいかつのほご  作者: 鹿家加布里
就職活動開始期
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就労支援ドクターストップ

 就労支援と就職活動の行き足が止まってしまった。

 体調不良から繋がり、ドクターストップがかかったのだ。

 年齢が年齢なので、焦りはある。

 しかし、年齢が年齢だからこそ、きちんと治さなければならないとの診断だ。

 前に向かおうとすると必ず何かしらにからめ捕られる人生なので、今更という気持ちが無きにしも非ずだ。

 だが、諦めるつもりはない。

 いつになれば活動の再承認が得られるのだろう。


 悩むだけ無駄なのはわかっているので、気分転換に出ることにした。

 映画を観に行った。

 生活保護者が何を贅沢な、と思われるだろう。

 精神障碍者が何を呑気な、と言われるだろう。

 自分でもそう思う。

 思いはするが、酒におぼれるよりはよほどマシな暇つぶしなのだ。

 障碍者手帳を用いての割引申請をすれば、映画は千円で観られる。

 そこに交通費を足しても、二千円を越えない。

 むしろ、焼酎の一升瓶とツマミを数点買うほうがよほど高くつくのだ。

 常日頃から節約節制、臥薪嘗胆の気持ちばかりでいては、気がおかしくなる。

 何もしない事が内包する狂気は、軽視していいものではないのだ。

 特に現状のように、ドクターストップをかけられ、社会復帰見合わせるべしという扱いならば尚更だ。


 結果として、映画はいい気晴らしになった。

 テレビでは味わえない大画面と大音響。

 これは心を癒してくれる。

 障碍者手帳を交付されるまで、映画館なんていうものは縁遠い場所だった。

 ところがそれが、カネさえあれば、健常者よりもはるかに気楽に立ち寄れる。

 流石に毎月とまでは言えないが、隔月では足を運べるだろう。

 そもそも自分の性に合う作品は、よほど調べこまない限り出てこないだろうから。

 言ってみれば、自分が置かれた境遇は、それ自体が非日常なのだ。


 自分は受刑者ではない。

 日々の詮無きことに、悔悛の念を覚えてばかりいても、仕方がない。

 悪い事をして、ここに居るのではない。

 体を悪くしたから、こうなったのだ。

 主治医の診断内容とすり合わせてみて、初めて気が付いた。

 行き足が止まったことを、残念だとは思う。

 しかし、焦りすぎているのではないだろうか、と。

 今の日常を楽しまなければ、と。

 大前提として、自分の境遇の始まりは、体を壊し、精神を病んだことによるものだ。

 ならばどうすべきか、やるべきことは少しでもマシな心理状態を構築すべきなのではなかろうか。

 無論、社会復帰の意欲を失うことを肯定するものではない。

 だが、今のままでは助走距離が足りない。

 ハローワークの障碍者求人枠をみながら、思う。

 もどかしい、と。

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