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しせつのはなしとせいかつのほご  作者: 鹿家加布里
第一次活動期
24/127

心の大本営会議

寒い。

 寒い。

 非常に寒い。

 寒波が入ってきた。

 今日は施設はやっていないので、暖を取る場所が無い。

 施設が開いていればエアコンがガンガンにかかった安らぎの空間を享受できたものを。

 嗚呼、非常に悩ましい状態になってしまった。

 つまり、エアコンを入れるか入れないか、である。


 入れる選択肢を選べば、施設に行っている間できなかった家事関係がはかどる実利がある。

 ただし、電気代が百円単位で跳ね上がる。


 入れない選択肢を選べば、それはつまり一日中布団にもぐりこんで暖を取ることを意味する。

 ただしこちらは、年末年始に録画しておいたテレビ番組を消化する、非常にだらけた生活となる。

 そういえば、今年になって、初めて流行の「ピコ太郎」が動く姿を見た。

 ふーん、という感想しか持たなかったが。

 まあ、そんな事はどうでもいいのだ。


 これを書いている現段階では、エアコンは入れていない。

 布団にくるまって、軍手をはめてキーボードを叩いている。

 書きながらどちらにするかを決めることにしているからだ。

 夏場は鬼軍曹かと憎しみの対象となるパソコンの排熱が、今は大変ありがたい。


 とりあえず今気になっているものと言えば、だ。

 洗濯物がたまっているのが、大変気になる。

 気になるが、この温度と天候だ。

 室内干しをすれば洗濯物は乾くだろうが、間違いなく結露が待っている。

 このアパート、非常に非常に、非常に結露しやすく、梅雨時は、ドアノブすらしっとりする事もある。

 だからと言ってやらなかったら、施設に着ていくものが無くなってしまう。

 ファッションに対して極端にスパルタン、というかまったく興味が無いため、持ち合わせがあまりないのだ。


 それに、掃除機もかけなければならない。

 ただしこれをやってしまうと、せっかく温まっている布団を一旦畳む必要があり、熱効率の観点からいって非常にもどかしい。

 布団のぬくもりを一度捨てろというのか、そんな殺生な話があるか!

 なんて残酷な選択肢だ、異端審問官を呼びつけろ!

 それならエアコンを入れろ!


 ……なんか、こう、あれだ。

 結論が見えた気がする。

 気がするが、あれだ、もう少し落ち着こうじゃないか。

 自分にはもう一つ、つまりは第三の選択肢があることに気が付いた。

 ホットカーペットだ。

 何故忘れていたかというと、ホットカーペットの上に布団を敷いているため、視界に入らなかったのだ。

 普段から、全体面積の三分の一しか、視界に入ってこないホットカーペット。

 それにこれ、数年前に勢いで買ったはいいが、電源を入れた記憶が数回しかない代物。

 せっかくインドネシアあたりの工場でホットカーペットとしての生を受けてきたのだから、使ってやらなければならないのではないか?

 ホットカーペット生をちゃんと全うさせてやるのが義務ではないか?

 嗚呼、またしてももどかしい事案が浮上してしまった。

 というか、使ってやる義務云々いう以前に、髪の毛がへばりついてて大変汚い。

 これじゃホットカーペットも報われぬ、なら掃除機を、いや、そうしたら現在のあたたかさを一旦放棄する必要がある、ならエアコンを入れて掃除機をかけて……。


 どうしよう。

 本当にどうしよう。

 もうこのまま、いっそ一日だらけたい気分。

 エアコンを入れて家事をすべきだという正論。

 家事をしてから改めて布団を敷き、ホットカーペットでブースト効果を得ればいいじゃないか、という妥協案。

 どれを採用しようとしても「陸軍としては海軍の提案に反対である」と、心の大本営で我が陸軍が異を唱えてしまう。

 提督の決断が必要な事態に陥ってしまった、こんな優柔不断だから自分は戦に敗北したのだ。

 

 不幸中の幸いというか、こんなこともあろうかとというか、半額弁当は昨日五パック買ってきてあり、糧食関係の懸念は一切ない。

 コメも炊いてある。

 なんと、みかんもある。

 そのため、外を出歩く必要はまったくない。

 陣地構築に甚大なる不備が見受けられるが、兵站に余裕があるのだけは唯一の救いだ。

 

 この状況下、自分が選択した答えは――。

選択の結果は、またあとで。

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