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しせつのはなしとせいかつのほご  作者: 鹿家加布里
第一次活動期
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使い捨てあれこれ

鏡開きは終わったけど、昔はアオカビまみれの奴を削ってたよね。

 病院併設型だから、というのもあるが。

 施設の設備運用はとにかくカネがかかっている。

 例えば給食の配膳時は必ず使い捨てマスクの着用が義務付けられているし、施設利用者で掃除を行うときは、使い捨てのビニール製手袋が全員に支給される。

 風邪気味を訴えたものにも使い捨てマスクが支給される。

 使い捨て、使い捨て、使い捨て。

 医療機関として、防疫を大事にしているのはわかるし意図もわかる。

 わかるが過剰とも取れてしまうのだ。

 スタッフに怒られたのでできなかったが、掃除に使った手袋を持ち帰ろうかと考えたこともある。

 その点、徹底している。


 昭和の「もったいない」精神で生きてきた自分からすれば、大量投入・大量消費励行の徹底ぶりには違和感すら感じてしまう。

 集団感染が起これば元も子もない、それがわからないほどの鳥頭ではないが、経営面に立ってみると、これで採算が取れているのかが心配になってしまう。

 そこに思いをはせると、自営をやってた頃の苦い思い出と、他人の心配がごっちゃになる。

 この時期は、そろそろ確定申告の準備で大わらわ、原価計算やら領収書管理で忙しく、また、年度末締め切りのオーダーをこなしていたな、と思い出す。

 業界には戻りたくない、いや、使い潰されて捨てられたわけだが、懐かしくは、ある。


 ふと、ソーシャルワーカーやハローワークが紹介してくれる仕事に、どんなものがあるのだろう。

 と、考えてみる。

 当然、自分だって資格を少しくらいは持っている。

 もっとも、イマイチ使いどころに困るような代物ばかりだ。

 自動車免許、これはまだいい。

 ところがその他は、乙四類危険物と、図書館司書。

 なかなか、使い道なんてあったもんじゃない。

 それに、自動車以外のどいつもこいつも現場に出たことは無いので一つもわかりはしない。

 就職活動で有利になるか、と言えば、恐らく何の足しにもならないだろう。

 嘱託でも、図書館司書にはなってみたいものだとは思う。

 本に囲まれているだけで幸せを感じられる人間には最高の職場だ。

 だが、この図書館司書という仕事、実習でやったことはあるが結構な肉体労働である。

 問題は、それが募集をかけてくれているかの一点に尽きるのだが。


 それよりなにより、今度はいいように使い潰されない仕事をしたい。

 地位や名誉はくれてやる、飯の足しにもならんものを、さも立派なものだと思いたい奴は思っておけばいい。

 それにカネが絡んでくるのなら話は別だが、ベンチャー企業の常務やってても、自営やってても、やることは一つ。

 喧嘩別れしない程度の距離まで、頭を下げることくらいのものだ。

 例えば「そんなことじゃお宅の信頼が~」とか言ってくる奴は、八割がた、たいした人脈を持っていないもんだ。

 本当にそんな強固な人脈を持っていれば、変な難癖付けをつける前に自分の人脈で済ませてしまうものだ。

 技術を買う認識を持たず、パソコンという先行投資さえあればやっていけてるんだろうという理由で値切ってくる、頭がおかしい「経営者様」はたくさん見てきた。

 そういう腹の座らん奴に限って、尊大な真似をする。

 逆に、信頼関係や規模がそこそこの会社だと、もちろん値切り交渉はあるがそこまでエグイ真似はしない。

 何を言われようが構わない。

 こうやって使い潰されて、初めて知った現実だ。

 自営は悲惨だ、実務も経理も計画も立てなきゃならない。

 直接取引の会社を一つ持っているだけで安心感が半端ないのだ。

 逆を言えば、そこの組織改編に巻き込まれると、奈落の底。

 自分の場合はそれだった。

 それでも、かろうじて自営を維持させた。

 結果、文字通り「頭の病気」と「精神の病気」を患ってしまい、このざまだ。

 何の笑い話にもならない。

 潤沢な資金、贅沢な戦争が出来るのは限られた一握りだ。

 そういう連中は、すみっこで細々やってる自営の縄張りを平気で蹂躙していく。

 残るのは、紋切型で面白味も何もない「実績」の山くらいのものだ。

 一人では対抗できないからと徒党を組んでもたかが知れている。

 自分の姿は、施設で使われているゴム手袋によく似たもんだ。

 悔しい話だが、これが現実だ。

餅の保存は水張ったバケツのなかでした。

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