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しせつのはなしとせいかつのほご  作者: 鹿家加布里
赤貧期
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最低の時間つぶし

暇なので酔った勢いで書いてます。

 暇だ。

 暇で仕方がない。

 所謂「正月感」が日本から薄れてきて久しいが、今年はなおのこと暇さを感じてしまう。

 働いていた頃なら、ちょうど仕事始めになるのだろうが、前提条件となる仕事が無い。

 メールをチェックしても、変なSPAMしか来ていない。

 まるで、社会から切り離されたかのようだ。

 酷く落ち込みそうになったので、出かけることにした。

 人ごみが嫌いなので控えていた三社参りに、ようやく行ってきたのだ。

 すでに人はまばらで、いつものように閑散としたものだった。

 併設の公園で、祖父母に手を引かれた幼児が遊んでいる。


 二礼二拍手一礼、賽銭は五円玉。

 さて、何を祈ろうか。

 自分は「信じて頼まず」の精神でこれまでやってきた。

 なので、こういうとき、というか毎年、困る。

 神はいるだろう、だが、頼ったところでコトが劇的に変化するとも思えない。

 なるほど、こんな考え方をしているから、せっかく転がってきた運を拾い損ね、そのツケが溜まりに溜まったのが現在なんだろう。

 元旦はぜんざいが振る舞われたらしいことを、貼りっぱなしになっている掲示物で知り、少し後悔した。

 甘いものは苦手なので、これまでなら大したことだと思わなかったはずだが、現状は違う。

 胃に溜まるものなら、なんでも嬉しいと思うようになる日が来るとは、想定すらしていなかった。

 貧しく、さもしく、あさましい。

 いつになれば、職にありつけるのだろうか。

 この立場から抜け出せるのだろうか。

 そうか、今年は「早く仕事が決まりますように」と願えばいいのだ。

 簡単な話ではないか、何故失念していたのだろう。

 数十歩離れてしまった境内を振り返り、再び手を合わせる。

 この距離感が、現実のそれと似通っているように思えてならない。


 家に帰ると、また独りになった。

 ゲーム機でもあれば気も紛れるだろうが、それは実家に置いてきてある。

 しかしそれは、学生時代に買った初代プレステとドリームキャストであり、かえって使いどころに困ってしまうだろう。

 では、スマホで何かしらのゲームをダウンロードすればいいのではないか?

 これは、やめた。

 一時期、World of Tanks Blitz にハマっていたのだが、そこは如何せんスマホ。

 画面が小さいので、根を詰めてやると目が疲れてしまいどうにもならない。

 自身の衰えをむざむざ再確認しに行くような真似はやらないに越したことは無い。

 だったらパソコンで無料ゲームを探せばいいのではないか?

 もう少し若ければそれをやっただろうが、今はどんなジャンルが人気なのかわからない。

 第一、だ。

 今更食費を削ってファミ通を買うような気にもならない。


 そう考えると、施設の有り難さを再認識する。

 一食の飯と、話し相手が居る環境。

 人間嫌いだが孤独も嫌いだというわがままが通ってしまう場所。

 カネは無くても、一定以上の娯楽感が味わえる、良いところだ。

 無論、自分を含め、精神を病んだ人が集う場所であるが故の問題はある。

 例えば、本人にはそのつもりはないのだろうが、心にしたことを黙っていられなくてとんでもないことを平気で言い出してしまう人。

 例えば、一度ウケたと思った話を、延々と、何度も何度も繰り返し振ってくる(しかも同じ反応を返さないと怒り出す)人。

 例えば、いきなり後ろに回り込んだかと思えば男女構わず抱きついてくる人。

 まあさすがにコレは驚いた肉体が条件反射で動き、相手の脇腹をぶん殴ってしまい、スタッフから双方注意されてしまったが……。

 だが、三例目を除き基本的には無害な人たちだし、話の通じない人とはこちらから距離を置きさえすれば問題はない。

 向こうから寄ってくる場合の対応には、苦慮することもあるが、それでも孤独よりはいくらかマシである。

 通い始めて半年も経たないが、生活の一部になっていることは確かだ。

 

 日も高いうちから、一升瓶に手を伸ばす。

 あと半分くらいになった焼酎を、数の子をツマミに、大事に大事に飲み下す。

 付き合い酒も無い、健康には非常に良い節制だが、これはこれでまた寂しい。

 精神障碍者、生活保護受給者と言っても、もとは普通に社会で仕事をしていた身の上だ。

 誰が好きでこの場所に収まるというのだろうか。

 所謂「普通の人」が仕事始めの日、自分は、昼から酔い飽かしていた。

お酒って、どうして飲んだら減るんでしょうかね。

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