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しせつのはなしとせいかつのほご  作者: 鹿家加布里
赤貧期
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からまわる心

明けてもめでたいことはありません。

久しぶりに焼酎買いました。

 特にめでたい事のあるでもなし、年が明けた。

 それでも、少しだけ気の晴れることもあった。

 年末に受診した際、就職活動を始めても良いと主治医からゴーサインが出たのだ。

 ああ、これで職業欄に無職と書かないで済む、失った場所に戻れるんだなと思った。

 とはいえ、すぐに職探しに打って出られるわけではない。

 自分は、障碍者手帳を取得している。

 そのため、ハローワークには障碍者枠というものから仕事を探すこともできるのだ。

 あまり期待できそうではないが、選択肢の一つとしては、ある話だ。

 何より先に、施設が雇用しているソーシャルワーカーへの相談を行うことが可能だ。

 施設側にはその意向がある旨、話してある。

 すべては正月が明けて、施設が再開してからの話だ。

 だが、それでも、将来に希望が持てる喜ばしい状況である。

 施設内で自分より先に就職活動を始めた人から話を聞くと、やはり現実はうまくいかないようなので期待はしない。

 期待はしないが、希望の目にたどり着けそうだというのは、大きい。

 アウシュヴィッツの標語、労働が自由を生む、だったか。

 ろくな未来観を持っていないようだが、これでもうれしさを表現しているつもりなのだ。

 そうは見えないだろうが。


 職種の希望はなんだろうと自問してみる。

 IT関係、これはアウトだ。

 最新技術から離れてしまったブランクを埋める自信も無ければ、ディレクションを担当するにも胃を粟だらけにするほど精神を病んでしまう原因となった職種だ。

 精神衛生上、これは最悪の選択だとはっきりわかる。

 軽いPC操作、軽微なフォトショップ使用くらいならまだしも、がっつり四つに組んでやるべき仕事ではない。

 では肉体労働はどうだろう。

 これに関しては、やったことが無いから何とも言えない。

 学生時代に港湾荷役の日雇いをやったことはあるが、アレは若かったからできた事。

 長きにわたるデスクワーク生活だったのだ、不安が残る。

 ……だめだ。

 自分は何もできないのではなかろうか、と考えてしまう。

 選ばなければ仕事はあるのだろう。

 だが、選ぶ基準は持っておくべきだ。

 施設のスタッフから、それは言われたことだ。

 カネに重きを置くのか、休日に重きを置くのか、そこから考えなければならない。

 理想は金払いが良くて余暇もしっかりとれるような会社がいい、そんなのは決まっている。

 だが、現況を考えれば妥協点、落としどころをしっかりしたものにせねばなるまい。

 

 楽しい。

 建設的なことを考えるのは。

 悲観的な考えに浸っていた時期が長かった分、楽しい。

 もちろん、立ちふさがる現実は獰猛で、手におえないだろう。

 如何せん中年親父な自分、残された時間はあまりないが、先ずはソーシャルワーカーとの面会からがスタートラインだ。

 まだスタートラインにも立てていないのに、気をもんだって仕方がないではないか。

 仕事が決まるまでの間は、生活保護が背中を支えてくれる。

 支え棒を取っ払っても大丈夫なようになるのが最大目的だが、精神的な病も寛解したわけではない。

 ここを忘れれば、また悲惨な日々に逆戻りだ。

 自戒を込めて、これだけは言っておかねばならない点だ。

 浮き足立てば転ぶ。

 勢いに任せれば、また病む。

 思いつめれば、碌なことにならない。

 もう若くないのだ、計画性を以て事にあたらねばならない。

 

 めでたいこともない年明け。

 心だけが、ただ、空回りしていた。

やはり、酒はいいものですよね。

おせちは結局、高すぎるので買えませんでした。

数の子だけ好物なので単品で買いましたが。

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