空の女の子
僕の名前は多々良テンジ。14歳、学生です。キリッ
部活は漫画イラスト研究部。それと学捜に所属しています。
学園犯罪捜査委員会、略して学捜。……どんなところかって?
昨今の警察や政府の対応に不満のある学生たちが、それならば私たちで捜査して解決してやろうじゃないか! という無謀にも野望を抱いた学生の作った、色んな意味で危ない委員会です。
なぜそんなとこに入ったかって?
決まってるじゃない……僕が危ない人間だから、さ!
~ 教室 ~
「きりーつ! ちゅうもーく! れい!」
そのとき、教室がざわついた!!
「「ちゅうもくってなんだ?」」
テンジと同じクラスに転校してきた、美少女……いや、キレイ系の美少女というよりはかわいい系、なんというかリスのような小動物的可愛さを放つ少女、加路里メイトの号令にクラスの皆が驚いていた。
「これは、事件ですねそうですね!」
教科書によだれをたらして寝てたメガネっ娘の学捜書記担当、唐霧チヨが立ち上がった!
「その通りです! さぁ、職務質問をするのです!」
テンジが張り切ってメイトに向かい指を指したそのとき!
「群馬だと注目ってあるらしいよ~。どこに注目すればいいかはわかんないけどね~」
非常にだるそうに顎を机にのせ両手足脱力したまま、馬井コンが答えを言ってしまった。
彼女もまた学捜の仲間であり、委員会の副委員長を務めるエリートである!
「そ、そうなんです! 私群馬から引っ越してきたので、こちらの号令を知らなくって……」
メイトが申し訳なさそうに答える。そんな謝らなくていいよと頭を撫でてあげたくなるような可愛さだ。
「ちぇー。せっかく楽しそうな事件だと思っ……ZZZ」
チヨは長い眠りについた。って授業これから始まるんだけど!
「加路里さん~。わからないことあったら何でも言ってね~」
コンが左手の親指を立てて言った。まるで液体金属と戦ったあとのロボットの最期のようだ。
「ありがとうございます!」
先生がほっとため息を漏らして授業を開始した。
学捜の仕事は実をいうとそんなにない。他の委員会の手伝いや先生たちのお手伝いをすることのほうが多いくらいだ。
故に、事件っぽいものにすごく飢えているのである!
「あぁ、空から女の子が降ってこないかなー」
テンジが授業中に妄想を膨らましながら空を見ていたとき
瞬間、目と目が合う。窓の外の、逆さまの女の子と。
ドスッ 鈍い音が教室に響いた。
「ああああ! 先生! 女の子が!」
急に騒ぎ出したテンジに驚きながらも先生は指さす方へ向いた。
この校舎は5階建て。僕らのいる教室は2階だ。
とすると女の子は想像しがたい姿に……
「多々良、お前が事件を解決したい気持ちは分かるがそういう作り話はいかんなー」
「へ?」
確実に見た。聞いた。寝ぼけていた訳ではない。それなのに作り話?
自分の目を信じるために2階の窓から地上を見下ろそうと窓に手をかけたとき、コンが遮るように目の前に割り込んできた。
「すみません~テンジ君寝ぼけて昨日のラ○ュタの夢を見ていたそうです~」
クラスメートがどっと笑いだした。人が死んだかもしれないのに笑えるか!
「どいてくれ、コン。僕はしっかりこの目で見たんだ!」
「そんなにあの子の死体が見たいの?あの子はもう死んでいるの」
「な、どういうことだよ」
「ゆ・う・れ・いってこと」
耳元で囁かれた言葉の意味が混乱している僕にはよくわからなかった。周りの男子には馬井とキスしたのではないかと噂されたが正直ほんとどうでもよかった。
本物の事件を目の当たりにして戸惑う僕の足は、震えていた。