第五話 宿・高級・熟睡
なんか良い話のネタないっすか?
宿もないし金もないと言った俺に、慌てず、
「そういうことならとある宿に話を通しておこう。」
と言うギルドリーダーの一言。
これほど嬉しいことはない。
俺はその言葉に甘え、渡された地図に書かれた宿屋(地図に書いてあったのだが、この街はノーミラというらしい。)に行って見たのだが……。
「でかすぎるだろ……。」
そう、どうやら超高級宿であり、前の世界のビジネスホテルなんか比じゃないぐらい大きな建物であった。
「……よし!」
意を決し、フロントに入る。
「いらっしゃいませ、お嬢様!!!」
俺は燕尾服をしたスタッフ4人に出迎えられた。
まるで本物のお姫様である。
いや、姫、という点については同意しない。しないと言ったらしない。
その中でも、一番ベテランと思われるスタッフに、
「お話は伺っております。スイートに通せとのことですので、こちらへ。」
このレベルの宿でスイートって、一体宿泊費はどのくらいなのだろうか……。
そんなことを考えているうちに部屋についた。
予想はしていたが、まさかこんな部屋とは……。
何をおいても、まずベッドだ。このベッドは天蓋付きなのだ。こんな代物は物語の中のお姫様だけだと思っていた。
いや、俺の心は男なのだが。
次に、大きなガラス張りの窓の外の広いテラスだ。
この宿は街の高台に建てられているため、街を一望できる。
今は夜だが、朝には絶景が広がるだろう。
この他にも、浴室がリビングと同じぐらいの広さだったりと、女性には嬉しいであろう部屋であった。
何度も言うが、俺の心は男だ。
あっけに取られていると、燕尾服が、
「明日のご朝食はお持ちしましょうか。それともレストランにてご用意させて頂きましょうか?」
と聞いてきたのでとりあえず持ってきてもらうことを伝えると、
「失礼します。」
と一礼したあと、部屋を後にした。
「……これ、バトラーやる必要なくね?」
おそらくこの部屋を初めて見たバトラー達の総意であった。
実はギルドが宿を支援しているので、バトラーはこの宿に格安で泊まることができるのだが。俺はそれを後々知ることとなる。
まぁ知っていても知らなくてももともと貧乏性の俺には似てもにつかない部屋であることは間違いなかった。
「まぁ呆然としていても仕方がない。とりあえず今日は寝て明日に備えよう……。」
俺は2日間の汚れを風呂で落とし、そのまま眠ることにした。
「おやすみなさい……zzzzzz」
疲れがたまっているのか、普段なら絶対目が冴えるような天蓋付きベッドでも、一瞬で深い眠りに落ちることが出来た……。
文字数が減ってしまった・・・。
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