第三十話 凶弾・救命・誘い
皆様お待たせしました。
第三十話、どうぞ!
Tips:森の中には狙撃手が潜んでいる可能性があります。注意してください。
「っ!!!」
突然頭の中に響いた声。俺は咄嗟にランを庇いに行く。
が、その努力むなしくランの胸に矢が一本、突き刺さった。
「へっ……?あっ……けふ……っ」
小さい悲鳴をあげ、ランの体はゆっくりと地面に倒れていった。
矢が放たれた方を見る。そこにさっきの範囲魔法を食らったゴブリンの生き残りが弓を持って息絶え絶えで笑っていた。
「ギ……ギギギギギヒ……ィ……」
矢を放ったと思われるゴブリンは、勝ち誇った笑みを浮かべ絶命した。
「チッ……おいラン!」
俺は大きな舌打ちをし、慌ててランに駆け寄るも、もうすでに意識を失って危険な状態になっている。
その胸元からはどくどくと血が流れてきている。
心臓は外しているみたいだが、出血が多過ぎる……。このままでは……。
とにかく救護班を回してもらわなきゃ……!
俺は急ぎフィールェさんに連絡をとった。
《なんだエルマ……何かあったの「ランが矢にやられた。回収班に速度を上げるよう指示してくれ!」か……了解。急ぎ回収班はラン・エルマの交戦ポイントへ急げ!》
よし。次は応急処置の方だが……むやみに矢を抜くと出血量がひどくなるって聞いたことがあるし……どうすれば……!
Tips:手遅れです。
無情すぎる……手遅れって……そんなのやってみなきゃ分かんねえだろ!
こうしているうちにも、彼女の顔色はどんどん悪くなっていく。
くそ……なにか方法が……何かないのかッ!
Tips:救命方法はあります。しかし、推奨はしません。
今そんなこと気にしている場合じゃない!教えてくれ!
Tips:一生その責任を負えますか?
ここで死なせるよりマシだろっ!いいから早く教えてくれ!
Tips:吸血と眷属への誘いは、、被対象者が瀕死の状態でも使用可能です。 その際、被対象者は、完全な状態へ再生します。
……っ!それは……!
吸血。
あの夢を思い出してしまう。
“少女は表情を変える。首筋に走る痛みに顔をしかめ、痛みが引くと今までに味わったことのない感覚に困惑した顔になり、最後はその行為特有の快楽を覚え恍惚の表情になる。”
“少女のその整った顔は次第に血の気を欠いてゆき、どんどん青白くなっていく。”
“そしてそのまま少女を吸ってゆき……”
“あ……あははははっ……は……ぅ……”
“少女は恍惚の笑みを浮かべながら、小さいうめき声とともに力尽き”
“あ……あぁ……ッははっあはははははははははははははははッ!!!”
俺は、吸血の快楽と大量殺人の責で、ぐちゃぐちゃになって、狂ってしまった。
頭に浮かんでくる夢の回想を無理やり振りほどき、俺は倒れているランに向き合う。
その顔はもうすでに生気を感じられなくなってきており青白を通り越して真っ白になっている。そろそろ本当に命が燃え尽きようとしていた。
「あんな夢みたいになるのはゴメンだけど、やるしか、ない!」
腹をくくる。一生だろうがなんだろうが責任はとってやる!
辺りに漂う血の匂いが鼻腔をくすぐる。
それだけで、心が狂気に支配されそうになる。
それでも、耐える。夢であろうとももう自分ではなくなってしまうのはゴメンだ。
俺は倒れているランの首筋に顔を近づけて……
ゆっくりと、牙を突き立てた。
なんだかんだで三十話になりました。
皆様応援ありがとうございます!
誤字脱字、ご意見ご感想なんでもお待ちしております!
2016/4/10
気になったので修正。
更新ができていないのはやる気がないわけじゃないよ!本当だよ!
2016/12/27
が、その努力むなしくランの胸に矢が数本突き刺さった。
↓
が、その努力むなしくランの胸に矢が一本、突き刺さった。
その他、やや修正。




