第二話 森・戦闘・緊張
主人公、戦います!
「ここは、どこだろう……。」
目が覚めると、生い茂る木々が視界に入ってきた。
体を起こす。周りを見渡すとここは森の中だった。道らしきものはあるが、けもの道にしか見えない。
「はぁ……いくつか場所は予想はしてたけど、よりにもよって森の中とはな……。」
ため息をつくと、頭の中に声が聞こえてきた。
Tips:この道をまっすぐ2日進むと街に出ます。
「へぇ……便利だな。神の導きってやつかな?まぁこのままここにいても仕方ないし、言われた通りにするかな。」
ん?なんか声に違和感が。
……まぁ、そんなこと気にしてても仕方ないや。
俺はとりあえずけもの道を進むことにした。
どのくらい経っただろう。
空は木々たちに隠されて時間の概念がわからない。
Tips:後10分で川に到着します。
おぉ、つくづく便利だこのTips。
5分程度歩くと水の音が聞こえ始め、更に3分程度歩くと本当に川があった。
「まさか本当に川があるとは……。」
Tipsはかなり高性能みたいで、今必要なヒントを的確に教えてくれるみたいだ。
ともかく、水で渇きをいやし、近くの岩に腰を下ろして休憩していると、声が聞こえた。
Tips:森の中には襲撃者が存在します。注意してください。
「ッ――――!」
周囲を見渡す。耳を澄ませる。足音は――――――――――聞こえない。
胸をなでおろし、再び腰をかけようとした瞬間、頭の上でひゅん、という風切り音がした
「――――――!!!」
慌てて前に走る。振り返るとそこには2mはあろう大きな熊がいた。
「GAAAAAAAA!!」
さっきの隠密行動と打って変わって、熊は大きな雄叫びをあげた。
確かにモンスターがいるとは聞いていたが、いきなり襲われるとは思わなかった。
「落ち着け、落ち着け……。」
自分にそう言い聞かせ、足元に落ちていたちょうどいい木の枝を拾い、熊の方を向いた。
出来れば戦いたくはない。元いた世界の熊は、熊と自分の間に木を挟んでゆっくりと後ずされば襲ってこないと聞いたことがあるが……。
ゆっくりと足を上げ、一歩後ろに下がった瞬間、熊が襲ってきた。
「GRUAAAAAAAA!!」
「うわあああああ!!!」
殺られる――――と思ったが、熊の動きはゆっくりだ。これならば――――!
俺は熊の突進を避ける。心臓がばくばくと音を立てる。なんとかこの危機を逃れたい。
相手がもう一度突進を繰り出してくる。
「GYAAAAAAAAAA!!!」
「おおおおおおおおお!!!」
俺は木の枝を大きく振りかぶり、突進してくる熊の頭にめがけて振り下ろした。
「ギャッ!!!」
ミシッという音と悲鳴を上げ、熊は動かなくなった。
「はぁ……はぁ……。」
やった……のか?
見ると木の枝は折れ、熊の頭はひしゃげている。
おぉ……グロい……。
やっぱり大きな熊に襲われるといくらチートを持っていても心臓に悪い。
Tips:後数時間で街の門に到着します。
まぁこんな場所に長居は無用だしな。
ところで、この熊どうしよう……
捨てるのももったいないし、街で引き取ってもらえるかな?
俺はズルズルと熊を引きずりけもの道をひたすらに進み、ようやく森の切れ目を発見するのだった。
いかがでしたでしょうか。
うまくかけているでしょうか・・・。
誤字脱字報告感想等お待ちしております。
2014/10/7
表記追加
ところで、この熊どうしよう・・・
捨てるのももったいないし、街で引き取ってもらえるかな?
を追加
俺は熊を引きずり→俺はズルズルと熊を引きずり
友人の指摘でこの文章を追加。
やっぱり何かと理由がないと不自然ですよね。