第十四話 種族・露天・ロザリオ
時間がない☆
「…………暇だ……。」
あのあとすぐに鍛冶屋に直行したのだが、店には “closed” の看板がかかっていた。
何故30分も経たないうちに閉まってしまったかは謎だが。
まぁとにかく俺は今かなり暇である。
特に何もやることがないので街をブラブラすることにした。
初めて通った時は酒場がちらほら営業していただけで静かだったが、メインストリートらしいこの通りは、昼間はかなりの人通りだ。静かな街なのは夜だけだったらしい。
まぁこんなに大きな街で静かなほうがおかしいが。
辺りを見回してみると、何屋かわからない店がたくさん立ち並んでいた。
「こうやって街を見てみると、やっぱ前世と全然売り物が違うな~」
まぁさすがに八百屋とか肉屋とか食料品店はほぼ同じだったが。ってか違うかったらおちおち食事もできない。
今度は店ではなく人に目を向けてみる。
この世界の人は、色々な種族に分かれているらしい。
これはフィールェさんに教えてもらったのだが、
お馴染み人間の他に、もふもふな耳と尻尾を持つ獣人、硬い鱗を持つ鱗人、小さい体だが力持ちな小人、他にも希少種で魔人とか、俺と同じ吸血鬼とか(これも希少種だった)など、他にもカテゴリは分かれているらしいが、詳しくはわからなかった。
テンプレだったら仲が悪かったりもするのだと思ったのだがこの世界では特に種族間での諍いはないみたいだ。
そんなことを思い出していると、
「ねぇねぇ姉ちゃん、ちょっと見てみない?」
振り返ると、見るからに怪しげな男に声をかけられた。
その男はどうやら露天商をやっているようだ。
男が手に持っていたのは、小さなロザリオのようなものだった。
「それはなんだい?」
これは……もしかしての……
「あぁ、こいつは自分が死に至るようなことになったとき、一回だけ身代わりになってくれるお守りさ。」
はい、テンプレいただきました~
予想していた通り、身代わり系アイテムですねはい。
「こいつがたったの金貨1枚、1000ユールだ。」
ふむ。1000ユールか……。高いけどまぁそのくらいなら今の手持ちから出せる。
偽物だったら嫌だが…………あぁそうか、観察眼を使ってみたらいいのか。
これで使えなかったら女神に文句言えるな。
……流石に二連続は怒るぞ?
また慌てて頭を下げる女神を想像しつつ、スキルを発動してみる。すると……
Name:身代わりのロザリオ
Effect:所持者の死亡を一回阻止する。
使用したあとは砕け散り使用不能になる。
どうやら本物らしいので、男に金貨を渡す。
「毎度ありぃ~また来てくれよ。」
という男の言葉とロザリオを受け取りつつ、日が傾いていることに驚き、宿への帰路につくのだった。
エタりそうな予感……
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